酸塩基平衡の評価について:
アニオンギャップと補正HCO₃⁻
いのちの"いま"を見える化する
血液ガス分析かわら版Vol.8

前回第7号では、酸塩基平衡の解読で最も厄介な「代償の評価」について解説しました。

酸塩基平衡の読み方②(第7号)

血液ガス分析かわら版⑧ステップ

今回は次のステップとして4つの酸塩基平衡異常の中でも代謝性アシドーシスに焦点を当ててみたいと思います。

代謝性アシドーシスの存在は敗血症や糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)など重篤な疾患を示唆するものであり、代謝性アシドーシスの診療は単なるpH補正ではなく、根本原因を鑑別・治療する必要があります。

ここで活用するパラメータがアニオンギャップと補正HCO3になります。

目的:代謝性アシドーシスを AG上昇型 と AG正常型 に鑑別すること

AGは代謝性アシドーシスの鑑別に用いられる指標で、血中の測定されない陰イオンの存在を反映します。血液は電気的に中性であり、陽イオン(主にNa、K)と陰イオン(主にCl、HCO3、AG)の総量は等しい状態でバランスを取っています。この中で、図で示しますようにAGはClとHCO3以外の陰イオンであり、その正体は乳酸や硫酸、ケトン体、アルブミンなどの「酸」になります。そしてこれらの酸が血中に増えるとHCO3は低値となり代謝性アシドーシスとなります。

STEP 4- ② ”補正”アニオンギャップ(AG)は?

目的:AGがアルブミンのせいで偽低値になっていないかを確認すること

血液ガス分析かわら版⑧アルブミン正常

アルブミン値が正常の患者さんで乳酸アシドーシスがあったとした場合、その分AGは基準範囲以上の値まで上昇し、AG上昇型代謝性アシドーシスと確認することができる。

血液ガス分析かわら版⑧アルブミン低値

アルブミン値が低値のためAGの値も低いところにある。
この状態で乳酸が増えたとしても、AGが偽低値となりAG正常型代謝性アシドーシスと誤認してしまう可能性がある。

→補正AG = 測定されたAG +(4※-Alb値)× 2.5
※ 補正AGの基準範囲は通常のAGを使用します。ALBの基準値を4g/dLとして計算

STEP 4- ③ ”補正” HCO3-は?

目的:AG上昇型代謝性アシドーシスの場合、他の代謝性異常を合併していないかを検索すること

補正後HCO3は、「もしAG上昇がなかったと仮定したらHCO3はもとの基準範囲に戻るはず。」これが成立していればHCO3を動かす別の要因はないということになります。
逆にAG上昇分をもとに戻したのにHCO3が正常にならなければ、他にもHCO3が動く要因、つまり別の代謝性異常があるのではないか、という考え方です。

血液ガス分析かわら版⑧AGHCO3
血液ガス分析かわら版⑧AG上昇

あたまの体操!血液ガス クロスワードパズル

▢ に入る文字を組み合わせると何になる?

血液ガス分析かわら版⑧クロスワード

※ 第7号の答えは “ショック” でした

タテのカギ

1. 天ぷらでも人気の、独特な香りをもつ葉

2. “SID”を用いて酸塩基平衡を評価する解析方法を考えた人物

4. 発声時に声がかすれる症状のこと

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ヨコのカギ

1. 画像診断装置やPOCT機器を含む臨床検査機器で知られるメーカー

3. 痛覚・意識・反射を一時的に制御する技術

4. 血液・尿・組織などを検査用に取ること

5. 〇〇HCO3は、AG上昇型代謝性アシドーシスの精査に必要

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8. グルコースを分解してATPを産生する代謝経路