放射線治療計画支援機能を追加したフォトンカウンティングCTを発売~高精細・高コントラストな画像と独自のアプリケーションにより、治療計画の精度向上と業務負担の軽減に貢献~

東京|2025-11-26

シーメンスヘルスケア株式会社(東京都品川区、代表取締役社長: 櫻井 悟郎、以下 シーメンスヘルスケア)は、高精細・高コントラストな画像と独自の治療計画支援機能により放射線治療計画の精度向上と業務負担の軽減に貢献する全身用X線CT診断装置「NAEOTOM Alpha.Prime for RT」を2025年12月上旬より販売します。

日本におけるがん患者数は年々増加しており、治療ニーズの多様化とともに、医療現場では治療手法にも変化が見られています。日本放射線腫瘍学会によると、日本においては今後、手術療法は減少し、放射線療法と薬物療法が増加することが見込まれています*1。放射線治療においては、治療計画の精度向上と治療効果の最大化を目的として、治療計画作成のためのCT装置およびMRI装置の活用が不可欠です。また、強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療(SBRT)といった高精度放射線治療の普及に伴い、治療計画用画像の高精度化が求められています*2。こうしたニーズに応えるべく、今回発売する「NAEOTOM Alpha.Prime for RT」は、既発売のフォトンカウンティングCT装置の高精度なイメージング技術を生かしながら、多様な放射線治療手法やその治療計画作成に対応した画像処理・業務効率化技術を搭載しています。


放射線治療計画作成において、CT装置は、患者さんの体内構造を三次元的に可視化し、正確な線量分布の計算をするために用いられます。腫瘍と周囲の正常組織の位置関係を把握することで、標的への最適な線量照射が可能となり、健常組織への被ばくを最小限に抑えることができます*3

今回発売する「NAEOTOM Alpha.Prime for RT」は、2025年8月に発売したフォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha.Prime」に、当社独自の治療計画支援機能を追加した製品です。高精細・高コントラストな画像と高度な画像再構成技術に加え、プロトコルの設定や患者さん情報の管理・共有、線量計算用画像の作成といった煩雑な作業を効率化できることで、治療計画の精度向上と業務負担の軽減を両立し、医療現場の質の高いがん治療に貢献します。

<フォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha」シリーズの特長>

Siemens HealthineersのフォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha」シリーズは、X線の個々の光子をエネルギー別に検出する技術を用いて高感度なX線検出や高空間分解能、低線量撮影技術、スペクトラル情報の活用を可能にすることにより、画像診断のみならず、放射線治療の治療計画作成にも新たな価値を提供します。

  1. 画像描出性能の向上による診断支援:低エネルギー領域におけるX線検出感度の向上により、腫瘍および周囲組織との境界をより明瞭に描出することが可能です。これにより、造影剤使用量の低減が期待され、患者さんの身体的負担軽減に寄与します。
  2. 高空間分解能による構造識別の精緻化:0.2mmピクセルの高精細画像を、低線量で取得することが可能です。これにより、標的腫瘍の同定や正常組織との識別精度が向上し、正確な標的体積の設定や正常組織の同定に繋がります。
  3. 低線量撮影における画質維持:電子ノイズの影響を抑制することで、低線量撮影時でも高画質な画像取得が可能です。これまで描出が困難であった深部臓器においても、細部までの視認性が向上します。
  4. スペクトラル情報による組織識別と線量計算精度の向上: X線のエネルギー(スペクトル)情報を活用することで、組織や物質の違いを明確に識別でき、腫瘍の性状評価にも応用可能です。スペクトラル情報を活用したイメージングにより、組織の性状だけでなく、電子密度や実効原子番号などの組織情報を定量的に取得できるため、線量計算に必要な物理特性の精度が向上します。不確実性を低減し、線量計算精度向上にも貢献します。
Deep Resolve 撮像時間を50%短縮しながら空間分解能を倍増
BioMatrix Sensors 呼吸パターンや心臓の動きを非接触で検出し同期しキャン
NAEOTOM Alpha.Prime for RT CT Clinical image

<当社独自の治療計画作成支援機能>

放射線治療計画の精度向上と業務効率化を支援するため、NAEOTOM Alpha.Prime for RTには以下の機能を搭載しています。

1. 呼吸同期撮影機能:ペクトラルイメージング画像を活用した4D撮影により、呼吸による標的臓器の動きを高精度に把握します。腫瘍や臓器の移動を考慮した治療計画の作成を支援します。

2. 業務効率化支援:

  • 全自動撮影システム「myExam Companion」の放射線治療専用プロトコル:撮影技師が各患者さんに最適な条件で撮影できるよう、治療計画に特化したプロトコルを自動で設定します。経験に依存しない安定した画像を提供します。
  • 情報共有の効率化:患者さんの情報を効率的かつ安全に共有できるプラットフォーム「Oncology Exchange」により、テーブル上の患者さんの体位や固定具の位置、セットアップ条件などの情報を画像とともに放射線治療情報管理システム「ARIA CORE*4」と記録・共有することで、治療担当者間の情報共有を効率化します。

3. 線量計算用画像の自動生成:組織の物理特性に基づく画像情報を提供するスペクトラルイメージング技術「Quantum Rho/Z」や、粒子線治療に必要な阻止能比(SPR)をCT画像から直接算出する機能「Quantum DirectSPR」により、線量計算に最適な画像を自動で生成します。

4. 放射線治療計画CT用フラット天板:放射線治療装置に用いられる寝台と同じ形状のフラットな天板を備え、取得した画像を高い精度で放射線治療計画に使用することができます。さらに、治療計画時に決定した体位を再現するための高精度な設置作業(固定具の使用や位置決めレーザーによるアイソセンタ合わせ)と組み合わせることで、撮影画像を治療計画に最適な状態で活用でき、線量計算の信頼性向上に貢献します。



シーメンスヘルスケア株式会社
コミュニケーション部
堀本