次世代CT装置であるフォトンカウンティングCTのラインアップを3機種に拡大設置性に優れた普及モデルとしてシングルソースフォトンカウンティングCTを日本で初めて発売

東京

|2025-08-18

シーメンスヘルスケア株式会社(東京都品川区、代表取締役社長: 櫻井 悟郎、以下 シーメンスヘルスケア)は、日本初となるフォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha」の発売開始(2022年2月)から3年を経て、幅広いラインアップで医療の現場の多様なニーズに応えるべく、フォトンカウンティングCTのラインアップに、新たに2機種を追加します。

Image of the NAEOTOM Alpha class, NAEOTOM Alpha.Prime in focus.

(左から)NAEOTOM Alpha.Prime, NAEOTOM Alpha.Pro, NAEOTOM Alpha.Peak

フォトンカウンティングCTは、X線の光子(フォトン)を直接電気信号に変換して計測することで、情報の損失と電気ノイズを排除し、被ばくを抑えながら、解剖学的および機能的情報を含む、より詳細な画像を取得できるCT装置です。今後は、既発売のデュアルソース(X線管と検出器を2対搭載したCT装置)フォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha」を最上位機種「NAEOTOM Alpha.Peak」とし、デュアルソースのプロフェッショナルモデル「NAEOTOM Alpha.Pro」、シングルソース(X線管と検出器を1対搭載したCT装置)フォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha.Prime」の3機種を展開します。シングルソースフォトンカウンティングCTは、先に発売されたデュアルソース型フォトンカウンティングCTで得られた知見を活かし、画質や機能を維持しつつ、これまでのシングルソースCT装置と同等の面積で設置が可能なモデルで、一般の臨床向けの製品としては日本で初めての販売となります。

拡大するフォトンカウンティングCTの世界市場
NAEOTOM Alphaは、シーメンスヘルスケアのドイツ本社であるSiemens Healthineersが2021年に世界で初めて発売を開始して以来、一般の臨床使用向けに認証を受けて販売されている唯一のフォトンカウンティングCT*1 として、2025年6月時点で200台以上が導入され、世界中で150万人以上の患者さんに使用されています。フォトンカウンティングCTの世界市場は、年平均成長率(CAGR)29.4% という急成長で、2032年には22億8,000万米ドルに達すると予測されており*2 、今後の医療画像診断の中核技術として期待されています。


製品ラインアップ

Siemens Healthineersは2040年までにすべてのCT装置をフォトンカウンティングCTとすることを目指しており、幅広いラインアップで医療の現場の多様なニーズに応えるべく、ラインアップを拡充します。当社のフォトンカウンティングCTの新たなラインアップと各装置の特長は以下の通りです。

NAEOTOM Alpha Prime

NAEOTOM Alpha.Prime

  • X線管:1管球
  • 撮影速度:345 mm/sec
  • 時間分解能:125 ms
  • 検出器幅:1 x 6 cm
Image of NAEOTOM Alpha.Pro, highlights marked with links

NAEOTOM Alpha.Pro

  • X線管:2管球
  • 撮影速度:491 mm/sec
  • 時間分解能:66 ms
  • 検出器幅:2 x 4 cm
NAEOTOM Alpha.Peak is the next generation of the world's first photon-counting CT scanner, with twice the resolution of conventional CT.

NAEOTOM Alpha.Peak

  • X線管:2管球
  • 撮影速度:737 mm/sec
  • 時間分解能:66 ms
  • 検出器幅:2 x 6 cm

NAEOTOM Alpha.Prime 膵臓の評価
【膵臓の評価】早期発見が困難とされる膵臓がんにおいても、高い空間分解能により、正確な早期診断を支援します。
*Courtesy of Semmelweis University, Budapest, Hungary

優れた設置性で幅広い診療科における診断の質の向上に貢献するシングルソースフォトンカウンティングCT

■ NAEOTOM Alpha.Prime
「NAEOTOM Alpha.Prime」は、Siemens Healthineersが世界で初めて発売したデュアルソース型フォトンカウンティングCTで得られた知見を活かし、画質や機能を維持しつつ、これまでのシングルソースCT装置と同等の面積で設置が可能なモデルで、現在シングルソースCTを使用されているご施設をはじめ、様々な施設に導入しやすい普及モデルとして開発されました。

高精度な診断画像やAIによる診断フローのサポートにより、救急外来なども含む幅広い診療科において、CT画像診断の水準を上げていくことを目指しています。また、AIを最大限に活用した自動化機能で、検査を簡便化・効率化し、一日100件以上の検査をこなすことが可能になるため、高精度な検査がより身近となり、これまでのクリニカルパス水準の向上が期待されます。

高い時間分解能でCT画像診断の貢献の可能性を広げる、デュアルソースフォトンカウンティングCT

■ NAEOTOM Alpha.Pro
「NAEOTOM Alpha.Pro」は、当社のデュアルソースCT技術とフォトンカウンティング技術を融合し、CT画像診断の可能性を広げることを目指しています。主に心血管向けの検査ニーズに応えるべく、高い時間分解能と最大491mm/秒の高速スキャンにより、心拍の影響を受けにくい精度の高い心血管イメージングを可能にします。また、心血管の撮影のみならず、呼吸器科での検査においては患者さんの息止め時間を短縮したり、小児科において鎮静剤を必要としない検査の可能性を広げるなど、患者さんの負荷軽減に向け幅広い診療科で使用いただけます。

■ NAEOTOM Alpha.Peak(既発売のNAEOTOM Alpha)
「NAEOTOM Alpha.Peak」は、737mm/秒(ミリメートル/秒)という高速スキャンと高解像な撮影を両立した本シリーズの最上位機種となります。現在実用化されているCT装置としては、空間分解能およびエネルギー分解能の両面において最も高精度な画像取得を可能にする製品*3 で、被ばく量や造影剤の投与量を抑えながら、各臓器の描出を高精度に行うことで、がんの早期発見や更なる低侵襲な医療への貢献など、医療の未来を変えていくことを目指しています。

「NAEOTOM Alpha.Peak」および「NAEOTOM Alpha.Pro」が持つ高い時間分解能は、血管系の描出、動脈瘤の詳細な解析、動脈解離の評価などにおいて高い評価をいただいているだけでなく、特に高度石灰化冠動脈を有する心疾患患者さんの診断・治療において、侵襲的なカテーテル検査に代わるものとして、患者さんの身体的負荷軽減や、診断から治療までに要する時間の軽減への貢献が期待されています*4 

NAEOTOM Alpha class冠動脈評価

【冠動脈の評価】高度石灰化病変など、高い空間分解能が求められる撮影において、大きな貢献を果たします。
Cinematic VRT / Courtesy of Diagnostikum Graz, Austria

NAEOTOM Alpha class脳動脈瘤評価

【脳動脈瘤治療デバイスの評価】脳動脈瘤治療デバイスの留置後の評価においても、より詳細な診断が可能です。
Cinematic VRT / Courtesy of Diagnostikum Graz, Austria


Siemens Healthineers 新工場イメージ

Siemens Healthineers製のフォトンカウンティングCTに搭載されている検出器はすべて、2012年にSiemens Healthineersのグループ会社となった沖縄県うるま市の株式会社アクロラドにて生産されています。今後の市場拡大および生産拡大に向け、Siemens Healthineersは、8,000万ユーロ(約140億円*5 )を投資し、ドイツ・フォルヒハイム(Forchheim)に検出器の新たな生産工場を建設中です。本施設は2026年の稼働開始を予定しており、グローバル規模での安定供給体制をさらに強化するものです。

シーメンスヘルスケアは、画像診断にブレークスルーをもたらすことが期待されるフォトンカウンティングCTを通して、日本の医療従事者の方々と共に、日本のCT装置の活躍の場を拡げ、ひとりでも多くの患者さんや検査を受ける方々が質の高い医療へアクセスできるよう引き続き取り組んでまいります。

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シーメンスヘルスケア株式会社
コミュニケーション部 堀本