"半定量蛋白/クレアチニン比尿試験紙は、尿生化学検査をすることなく簡易に評価できるため診療所での腎臓病の重症度判定と専門医紹介の判断に役立ちます"
先生からのコメント
小児と思春期の慢性腎臓病(CKD)についての臨床診療ガイドラインが2003年にNKF K/DOQIから示され、成人同様蛋白尿をはじめとした腎障害、または糸球体濾過量(GFR)60ml/min/1.73m2未満が3ヶ月以上持続することで定義されました。
このガイドラインでは、スポット尿の蛋白/クレアチニン比や血清クレアチニンからのGFR 推算式を用いることによる診断の重要性を強調し、スポット尿の蛋白/クレアチニン比について、2歳未満では0.5g/gCr未満、2歳以上では0.2g/gCr未満を正常としています。
我々の施設の腎生検の適応や、“ 愛知県腎臓病学校検診マニュアル” の小児腎臓専門施設への紹介基準においても、尿蛋白/クレアチニン比の0.2g/gCr以上の持続を目安としています。
このような尿蛋白が続いていながら何年も専門医を受診されず末期腎不全となって紹介されるような事例も実際に存在します。診療所の先生方がこのような基準で慢性腎臓病の患者を紹介していただくことにより、このような患者が救われます。半定量蛋白/クレアチニン比尿試験紙は尿生化学検査をすることなくスポット尿の蛋白/クレアチニン比を簡易に評価できるため診療所での腎臓病の重症度判定と専門医紹介の判断に役立ちます。

副センター長 上村 治 先生(写真前列右)
腎臓科医長 山川 聡 先生(写真後列右から二人目)
当院における腎生検の適応
腎機能低下症例を除外した場合、
- 持続性蛋白尿および持続性血尿+尿蛋白(持続性とは2、3ヶ月以上継続する場合をいう)
- 尿蛋白/クレアチニン比(Up/Ucr : 0.2g/gCr)以上