高精細3Dイメージングで最小侵襲手術をサポート大室整形外科 脊椎・関節クリニック様導入事例

近年、外科的な治療において、患者の身体へのダメージをより少なくする最小侵襲手術(MIS/Minimally Invasive Surgery)への取り組みが進んでいます。MISでは、筋肉や軟部組織を温存する手術方法が注目を集めていますが、安全に手術を進めるためには熟練した技術と、画質と操作性に優れたモバイル Cアームイメージング システムが不可欠です。このような時代のニーズに応えて、2018 年 9月、フラット ディテクタ搭載モバイルCアームイメージングシステムの最上位機種としてCios Spinの販売が開始されすでに国内で稼働しています*。今回は、高度化する外科的手術の現場におけるCios Spinの活用法や今後の期待について、大室整形外科 脊椎・関節クリニックの大室 智士 院長、西川 隆晃技師長にお話をうかがいました。

大室整形外科 脊椎・関節クリニック様

|2018-11-21

富山大学医学部整形外科教授川口先生
富山大学医学部整形外科教授川口先生

大室院長:2012年に導入したSiemens HealthineersのモバイルCアームARCADIS Orbic 3D(以下、Orbic 3D)とブレインラボ社製のナビゲーション装置を使用していました。この 組み合わせによって、それまでの手術環境が劇的に改善されました。手術時間が大幅に短縮され、手術に伴う合併症がほぼゼロになりました。手術時間を短縮することは、侵襲の軽減につながりますし、結果として患者さんの術後の経過もよくなります。Orbic 3Dの術中3D撮影機能と、ブレインラボ社のリアルタイム3Dナビゲーションシステムは、当時としては、とても革新的な技術だったと思います。

大室院長:医療機器の進歩により、2015年頃 から、モバイルCアームにもフラットディテクタ(FD)を搭載した機種が発売されました。その後、Orbic 3D以外にも3D撮影機能を持ったシステムが次々と市場に出てきました。FDによって、透視、3Dともに、画像が劇的に改善すると聞いていましたし、Orbic 3Dもイメージインテンシファイア(I.I.)が徐々に劣化して透視画像が見えにくくなってきていた頃でしたので、他社製品を含めて更新を検討しました。更新の検討を始めた頃はSiemens HealthineersではまだFDタイプがなく、他社製品をメインに製品の比較検討を行って いました。やはり、FDタイプの装置は、透視も3Dも圧倒的に画質がきれいでしたね。しかし、検討したある機種は3D撮影機能だけに特化して いたり、またある機種は3D撮影の際に前準備、撮影ともに時間がかかったりで、導入にまではいたりませんでした。

2018年になって、Siemens HealthineersからFDタイプのCios Spinの発売が開始されると聞き、早速検討を行いました。Cios SpinはOrbic 3Dと同様、アイソセンターを持つCアームが搭載されているということで、3D撮影がとても簡単に行えると容易に想像できました。Orbic 3Dと使い勝手があまり変わらず、透視も3D画像もきれいになるということで導入を決定しました。

大室先生:3D撮影機能に限らず、モバイルCアームとしての操作性がとても高く、汎用性が高い装置だと思います。30cm × 30cmのFDが搭載されていますので、外形の大きさに当初は違和感がありましたが、その分、広い視野で見ることができます。現在は、外形の大きさについては許容 範囲に収まっていると感じています。一番の違いは、画像が圧倒的にクリアになったことです。変性の強い症例の場合、Orbic 3Dの透視画像では「なんだろう?」と判断しづらいことがありましたが、Cios Spinではまったく問題なく見えています。透視、3Dともに1~2椎体分くらい広く見えていると思います。また、3Dの画質も飛躍的に改善しています。
これまでは、上位胸椎や下部頸椎の 症例において、どうしても肩が入るため体厚が厚くなってしまい、画像が不鮮明になっていました。そのためナビゲーション上で、Orbic 3Dの3D画像とCT画像をFusionさせて、画像をきれいに作りこんでからナビゲーションを使っていましたが、その作業に手間と時間がかかっていました。Cios Spinではそれらの部位でもまったく問題なく画像が作れて、ナビゲーションができるようになりました。

西川技師長:Orbic 3Dと比較するとやはり装置が重くなっています。電動の動きがあるため仕方ないとは思うのですが、瞬時にアームを動かしたいときなどは、少し重量感を感じます。しかし、多少重くなったとしても、透視および術中3D撮影の両方で簡単に使える装置はCios Spinしかないと思います。
Cios Spinなら、透視に使用する際にも普通のCアームのように使えます。また、Cios SpinはOrbic 3Dよりも機能が増えて、Cアーム全体としてバランスのとれたよいシステムになっていると感じています。たとえば、WW:WCを細かく調整して、もっとも見やすい画像に調整することができるようになりました。もともとの画質の向上をベースに、さまざまな最新機能が使えますので、とても助かっています。

大室院長:頸椎の手術の際に、これまでは前方プレートか椎弓形成を行っていましたが、Cios Spinの高画質があれば後方固定も安心して行えます。手術の選択肢が増えて、患者さんにとってよりメリットのある術式を選択することができるようになりましたので、本当にうれしく思っています。また、術中に 3D撮影を行えることがとても有用で、スクリューの逸脱が疑わしいときは必ず3D撮影を行うようにしています。MISでは、できるだけ展開する範囲を狭くしたいので、術中に3D撮影ができて高精細な画質が得られるのは非常にありがたいですね。Cios Spinには新しいアプリケーションもあると聞いています。導入して1ヶ月程度ですので、まだ新しい機能を十分に使いこなせてはいませんが、スクリュースカウトにはとても期待しています(図)。今後、効果的に使っていきたいと考えて います。

大室整形クリニック臨床画像

大室院長:先ほども少し触れましたが、3Dの画質が飛躍的に向上していますので、今までならブレインラボのFusion機能を使わなければならなかった症例でも、Spinの画像だけで手術ができるようになりました。手術時間のさらなる短縮にもつながると思います。Cios Spinの画質なら、術中3D撮影が、手術後 にフォローとして行うCT撮影の代わりになるのではないかと考えています。術後CTを省くことができれば、外来患者さんの検査を増やすこともできますし、病院の経営にもメリットがあると思います。

大室院長:私たちが考える以上に速いスピードで医療機器は進化していますので、大変難しい質問ですね。「CTや透視の画像をきれいにしていく」という段階にはすでに到達していると思います。今後は、たとえば、3D画像の立体視や、VRなどの新技術に加えて、どのようなソフトウェアや手法が出てくるのかと期待しています。Cios Spinもそうですが、決して安価な装置ではありません。長い年月使用していく立場からすると、ソフトウェアのバージョンアップや、新しい機能の追加搭載など、常に時代を先取りして使用できるようにしてほしいと思います。

大室整形外科クリニックの皆さま
大室整形外科 脊椎・関節クリニックのスタッフの皆さま

所在地:兵庫県姫路市中地371
病床数:19床
主なご導入装置:Cios Spin, ARCADIS Orbic 3D

お話しをおうかがいした先生
大室 智士 院長
西川 隆晃 技師長


cios spin
FD搭載モバイルCアームイメージングシステムCios Spin