横浜市立市民病院ドクターカー

都市型ドクターカーにおけるハンドヘルド型血液ガス分析装置の必要性

横浜市立市民病院様

横浜市立市民病院様

|2021/11/25

都市型ドクターカーでの必要性

横浜市立市民病院は、三ツ沢公園に隣接した地に2020年5月に新病院として開院しました。また、横浜市では、本病院の開院に合わせ病院敷地内に、医師・救急救命士などの救急医療に携わるスタッフの拠点となる、「救急ワークステーション」を整備しました。この「救急ワークステーション」ではドクターカーの運用も行われており、車載医療機器のひとつとしてハンドヘルド型血液ガス分析装置エポック(以下:エポック)が使用されています。ドクターカーでのエポックの運用方法とそのメリットについて救命救急センター センター長の伊巻尚平先生にお話しを伺いました。

施設概要

  • 主な指定:地域がん診療連携拠点病院、救急医療指定病院、災害拠点病院、地域医療支援病院、神奈川DMAT指定病院、他
  • 病床数:650床(2021年12月1日現在)
    ICU・CCU:18床
    救命救急病床:24床
    NICU/GCU:15床
    緩和ケア病棟:25床
  • 診療科:34科(2021年12月1日現在)
横浜市立市民病院

救急診療科は病院全科の強力な協力体 制の下、24時間365日常に一次から三次まですべての救急症例に対応するER型救命救急センターの中核を担い、その最前線にて救急車の対応および他医療機関からの依頼に対応しています。ドクターカーは2台あり、横浜市消防局救急指令センターが病院の横に併設されています。出動時間は平日(月~金)の9時~16時に運用しており、医師は市内7病院から派遣いただいています。出動範囲は横浜市全域、出動件数は1日平均2件です。一般的には、消防局からの出動依頼に基づきドクターカーが出動しますが、ここは横浜市の消防の出張所になっているため、指令センターにある指令室で覚知した内容を医師がすぐに見ることができ ます。そのため指令センターが判断すると同時にドクターカー担当医師も内容を確認して、出動した方が良いと考えれば能動的に出動ができます。その点は横浜市ワークス テーションのユニークな特徴のひとつです。
(写真:横浜市立市民病院救命救急センター長の伊巻尚平先生)

横浜市立市民病院救命救急センター伊巻先生

ドクターカー1台に対してドクター、看護師、運転手、プラスもう1人救命士が乗りますので全部で4人、さらに追加で実習の救命士達が乗る場合もあります。

血液ガス分析装置以外には、除細動器、心電図モニター、パルスオキシメーター、輸液ポンプ、血圧計、酸素の配管、蘇生用の外傷専用バックです。いわゆる処置室にあるものは全部あります。車内は限られたスペースで様々な物を搭載するため、場所を取らないエポックのコンパクトさはとても魅 力です。さらに充電式バッテリーで駆動し て、かつ検査室の据置型装置と同等の検査結果が提供されることも、救急現場で求められる装置の条件を十分に満たしています。

消防に連絡が入り出発するまでは5分以 内で、できる限り3分以内に出動するようにします。患者の元に到着してからはドクター カーに患者を乗せることもありますが、先着している救急隊の救急車に入れて、ドクター カーの医師がその救急車に乗り込むことも多いです。ドクターカーに患者さんを乗せる場合は病院に移動しながら到着までの約10分間で処置を行います。揺れる車内で行う処置はとても大変です。

血液ガス項目に加え、特に不整脈が出ているようなケースや慢性腎不全など、電解質をすぐに見なくてはいけないケースです。腎機能が悪くなると不整脈や徐脈が出ることがあります。静脈路を確保した後、すぐに治療に移れるようにまず血液ガス測定を行います。エポックは1枚の測定カードで電解質以外にも血液ガス項目から乳酸、血糖、クレアチニン、BUN、他項目が計算されます。この点は、特に様々な状態の患者さんへの対応を行う救急現場のニーズにマッチしており有用です。

横浜市立市民病院ドクターカーの車載の様子

車載の様子

横浜市立市民病院ドクターカー車内の様子

車内の様子

横浜市立市民病院ドクターカーと伊巻先生・長嶌先生

左:伊巻尚平先生 右:救急救命士 長嶌惣一郎さん

ドクターカーの目的は現場で重症患者への安定化処置を行うこと、そして現場で診断し病院到着後の根本治療までの時間短縮をすることです。前述のような不整脈や慢性腎不全のケース以外にも、搬送先の病院で造影CTを行う場合には、事前にエポックでクレアチニンの測定結果を確認しておくことが重要です。病院に到着してから検査を行う場合と比べて、はるかに早く治療にとりかかることができると考えます。素早く適切な判断をするために必要な情報を把握することは、救急現場のアウトカムの向上にとって大事な要素だと思います。

血液ガス装置エポックに関しては機器本体と消耗品はドクターカーの中にあらかじめ準備されており、充電も車内のコンセントから行います。院内で血液ガス装置を管理している検査技師に確認すると、通常血液ガス装置は定期的なメンテナンスが必要になるようです。その点エポックは充電さえできていれば使用したい時にすぐに使用可能です。測定カードは使い切りのため、定期的な較正も必要なくメンテナンスフリーです。また、測定カードは15℃~ 30℃で保管可能と聞いていますので、使いたい時にすぐに使用できます。以上の特徴から、救急現場で装置を使用する医師の立場から見ても、特別な準備もなく、時間をかけて管理する必要がないので安心して使用できます。

横浜市のように病院へのアクセスが容易な地域、いわゆる都市型と、病院までの距離もあり、搬送時間も長くかかる地域、いわゆる地方型とでは、ドクターカーの役割は異なると思います。
地方型では、遠いところから搬送される患者さんに対して早期の医療介入をすることがドクターカーの大きな目標ですが、都市においてもドクターカーは注目されています。横浜市では15分か20分あれば病院に到着するため、その限られた時間の中で都市型は地方型とは違う動きをしなければいけません。短い時間の中でも必要な判断と治療を確実に行い、いち早く患者さんを最寄りの病院に搬送します。地域のネットワークにより搬送先を選び、受け入れてもらうことが都市型のポイントと考えます。地域のネットワークで搬送後の治療を行う場合、定量的なデータが医療従事者間の共通の理解に重要です。当然、血液ガスの測定データもそのひとつです。

横浜市立市民病院では、より良い救急医療を提供するため、我々救急医師だけではなく、院内の関連部署と密に連携を取りながら診療を行っています。今回、お話した血液ガス分析装置に関しては、管理をしっかり行ってくれている臨床検査技師を信頼しています。専門家としての意見を尊重することで、我々医師はベストな装備の中で患者さんへの対応ができています。
今後の課題はエポックで測定したデータのオンライン化です。ドクターカーで使用されているエポックについては院内システムとはオフラインで使用しています。院内で使用されている据置型装置はすべて集中管理システムを介して院内システムと連携されており、検査技師の皆さんが一生懸命に管理してくれています。機器を選定する時もデータの連携機能がポイントになりましたが、将来的に院内システムと連携する場合にも、エポックはWi-Fi、Bluetoothのリアルタイムなワイヤレス通信、そしてデータマネジメントシステムでも対応が可能になると聞いています。小型のハンドヘルド装置とは思えないほど様々な通信形式に対応していることが分かりましたので、今後の活用にも期待したいです。
最後に、我々が公的医療機関であることが、地域のネットワークに支えられた都市型ドクターカーの実現につながっていると思います。今後は地域のネットワークをさらに広げながら、横浜市立市民病院を都市型ドクターカーモデルの種として、みんなの気持ちをひとつにして大事に育てていきたいです。

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