手術室におけるハンドヘルド型血液ガス分析装置
導入による検査業務の改善

東京医科大学病院様

東京医科大学病院様

|2021-04-05

術中のあらゆるストレスを解消!

東京医科大学病院の手術室での血液ガスの測定は、ベンチトップ型の機器に加え、2015年からハンドヘルド型血液ガス分析装置エポックを手術室に設置し測定を行っています。2019年の新病院移転に伴い、手術室が増室(14室から20室)された後も、各手術室にエポックを設置。運用方法とそのメリットについて麻酔科の荻原幸彦先生にお話をうかがいました。

施設概要

  • 主な指定:特定機能病院、地域がん診療連携拠点病院、救急告示医療機関、他
  • 病床数:904床(2020年7月1日現在)
  • 診療科:30科、30センター(2020年7月1日現在)
  • 教職員数:2,850人(2020年4月1日現在)
東京医科大学病院

新病院への移転後は、心臓血管外科手術のみならず、重症患者症例が増えており血液ガス測定も増加傾向にあります。現在、手術室での血液ガス測定は、月間約1,400検体の検査を行っています。
(写真:東京医科大学病院病院麻酔科 荻原 幸彦 先生)

東京医科大学病院麻酔科荻原先生

ベンチトップ型の血液ガス分析は手術室フロア内に設置しており、術中に血液ガスの測定が必要な場合には、麻酔科医師、または外回り看護師が検体を持ち部屋から出て、手術室フロア内のベンチトップ型の血液ガス分析装置まで測定を行っていました。そのため、測定に出ている間は手術室内のスタッフが手薄になり、残ったスタッフに大きな負担がかかっていました。
順調に測定が行われても、部屋に戻るまで5分以上はかかりました。例えば、他の検体と測定のタイミングが重なったり、校正中のダウンタイムなどで検査待ちが発生し、手術室への戻りが遅くなること、また時間の経過により、再採血が必要となり、良好なタイミングでデータが得られない、ということもしばしば発生していました。

基本的に、術中の検体測定は、麻酔科医が手術室内のエポックで行っています。エポックはコンパクトですし、データは無線通信となっているため、置き場所に関しても非常に柔軟性がありますので、麻酔科医が取り扱い易い様に麻酔器の上に設置しています。
測定の面においては、必要なタイミングでエポックに測定カードを挿入すると、約3分の校正が始まりますので、校正終了までのタイミングで検体を採取し、測定を行っています。測定結果はエポックの画面上に表示されると共に、エポックから無線通信で送られ麻酔管理システムのモニタ上にも表示されるため、測定待ちなどのストレスが解消されました。

麻酔器の上にエポックを設置

麻酔器の上にエポックを設置

東京医科大学病院手術室モニタ

麻酔管理モニタ上に血液ガス検査結果を表示

麻酔カート引出にカートリッジとシリンジを収納

麻酔カート引出に測定カートリッジとシリンジを収納

術中の動脈血液ガス測定は、手術室内のエポックで行っています。臍帯血、CV挿入時の静脈血検体については、ベンチトップ型の装置で測定を行う様にしています。

エポックでは、測定前に機器が自動的に電子QCや校正を行うため、メンテナンスフリーですし、消耗品においては、測定カードのみで、常温(15℃~ 30℃)保管のため、管理は簡単に行うことができます。
測定カードは麻酔カートの引き出しの中に、1ccのシリンジ(抗凝固剤無しの汎用シリンジ)と共に定数枚設置されており、症例終了後にSPDで補充されています。

検査データについては、特に問題なく使用しています。検査項目については、ガス項目だけではなく様々なパラメータが一度に測定できるので非常に助かっています。例えばクレアチニン測定による腎機能評価、乳酸測定による重症度評価なども行えます。

第一に、手術室内で、検査が完結するということは、関わるスタッフにとって、大きなメリットがあります。 新病院の手術室はフロアが広く、もし当該の手術室内にエポックが無ければ、移動距離も最長で往復100m以上となります。その移動の負担と時間に加え、検体を持って手術室の外に出ることは、様々なリスクがあります。血液検体の取り違えや入力ミスのリスクなどもありますし、検体の劣化も挙げられます。さらには、血液汚染の可能性などもあり、感染リスク軽減の観点からも手術室内で完結するメリットは大きいです。
また、手術室内にエポックがあることで、スタッフの状況を考える必要が無く、検査をしたいタイミングで測定ができることも大きなポイントで、非常に効率化されたと感じています。術中管理の安全性を考慮し、医師や看護師は本来の業務に集中することができ、知りたいタイミングで、きめ細かく血液ガス測定が行えるようになりました。

手術室に加えて、前室やリカバリーなどへの増設も考えています。また別フロアのカテ室でアブレーションなどの症例に利用したく、導入を考えています。

東京医科大学病院麻酔科主任教授:内野先生

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