術中の動脈血液ガス測定は、手術室内のエポックで行っています。臍帯血、CV挿入時の静脈血検体については、ベンチトップ型の装置で測定を行う様にしています。
エポックでは、測定前に機器が自動的に電子QCや校正を行うため、メンテナンスフリーですし、消耗品においては、測定カードのみで、常温(15℃~ 30℃)保管のため、管理は簡単に行うことができます。
測定カードは麻酔カートの引き出しの中に、1ccのシリンジ(抗凝固剤無しの汎用シリンジ)と共に定数枚設置されており、症例終了後にSPDで補充されています。
検査データについては、特に問題なく使用しています。検査項目については、ガス項目だけではなく様々なパラメータが一度に測定できるので非常に助かっています。例えばクレアチニン測定による腎機能評価、乳酸測定による重症度評価なども行えます。
第一に、手術室内で、検査が完結するということは、関わるスタッフにとって、大きなメリットがあります。 新病院の手術室はフロアが広く、もし当該の手術室内にエポックが無ければ、移動距離も最長で往復100m以上となります。その移動の負担と時間に加え、検体を持って手術室の外に出ることは、様々なリスクがあります。血液検体の取り違えや入力ミスのリスクなどもありますし、検体の劣化も挙げられます。さらには、血液汚染の可能性などもあり、感染リスク軽減の観点からも手術室内で完結するメリットは大きいです。
また、手術室内にエポックがあることで、スタッフの状況を考える必要が無く、検査をしたいタイミングで測定ができることも大きなポイントで、非常に効率化されたと感じています。術中管理の安全性を考慮し、医師や看護師は本来の業務に集中することができ、知りたいタイミングで、きめ細かく血液ガス測定が行えるようになりました。
手術室に加えて、前室やリカバリーなどへの増設も考えています。また別フロアのカテ室でアブレーションなどの症例に利用したく、導入を考えています。
当科では、エポックを各手術室に導入し必要な時にすぐに血ガス分析が行えるシステムを構築しております。従来は、血ガス分析用の血液を採取して看護師あるいは後輩医師に渡して手術室内の血液ガス分析装置まで持って行く形で分析を行っていましたが、装置のメンテナンスや他者が測定を行っていると測定できないという点や感染リスク・汚染などのデメリットがありました。自分で測定を完結できるため、血液ガス分析の為のマンパワーを要さず、手術室の効率化を計ることが出来るようになりました。