エポック設置前は、検査結果の取り違えが生じるリスクがありました。現在の運用では、ベッドサイドで測定し、その場でエポックの画面上で測定結果を確認できるため、そのリスクがなくなりました。また、看護師からは、「以前は周りの看護師の状況を確認した上で測定を行う必要があったが、今は自分のタイミングで測定ができる様になった」、「以前は検体を持ってベンチトップ型の血液ガス分析装置の場所まで行ったものの、測定順番待ちということがあったが、現在は移動がなくなり、測定の順番待ちがなくなった」など、さまざまな負担が改善されています。
エポック設置当初は測定カード挿入後、3分間の較正を長く感じていましたが、測定カードを入れて検査可能となるまでの間に採血を行うなど、工夫しながらうまく運用することにより、待ち時間がかなり解消されました。エポック導入前では移動時間がかかっていましたので、検査に携わる時間は総合的には短くなっていると感じます。
ガス項目、電解質、乳酸など、必要な項目が揃っているため、問題なく測定できています。特にクレアチニンは、ICUにおける患者状態を把握する上で、大変役立っています。たとえば、AKI(急性腎障害)が悪化しているのか、改善傾向なのかは尿量だけでは判断できないことも多いので、トレンドを見れるということは、医療者として安心感があります。
患者IDをエポックに内蔵されているバーコードリーダで読み込んでいます。これにより、検体取り違えリスクは軽減していると思います。また、検査結果については、エポックの画面上で確認すると共に、データコンバータを通して、患者管理システムにデータを転送し、他の情報と一緒に管理しています。
一番のメリットは、患者サイドを離れずに検査が行えることで、スタッフのワークフローが大きく改善した点です。エポックは、測定可能となってから7分以内に検体注入する必要がありますが、それがもう少し長くなるとより使いやすいですね。
ここでご紹介されていますように、ICUではベッドサイドに置かれたエポックで血液ガス測定を行うようにしました。本装置では血液ガス、電解質に加え、クレアチニンおよび乳酸を測ることができることは良い点です。ICUにおいては、患者さんのそばから離れることなく測定できるので、大変有用と考えます。また、測定時、患者名を画面から選択している施設の場合、検体間違えの可能性が無いとは言えません。しかし、現在のベッドサイドで患者バーコードを読み取り検査を行う方法であれば、そのような間違えの可能性は低いと言えます。当院では、ICU移設に合わせて中央手術室が24室へと拡張され、そのタイミングで総ての手術室にエポックを設置しました。従来、手術室にはベンチトップ型の血液ガス分析装置が2台設置されていましたが、その使用頻度は少なくなり、1台は休止中となりました。医療従事者にとってベッドサイドで測定できるメリットは大きいと思います。
名古屋大学附属病院様の事例