関西ろうさい病院ドクターカー

ドクターカーで活用!救急車で出来なかった医療行為が可能に

関西ろうさい病院様

関西ろうさい病院様

|2021-09-13

救急車ではできなかった医療行為が可能に

関西ろうさい病院は、兵庫県阪神間の高度医療拠点病院として、がん、脳疾患、心臓病、整形外科、救急医療を中心とした先進医療を提供する総合病院です。本病院は特に救急搬送の受け入れ件数が非常に多く、市内及び近隣の他都市からの搬送が増加しています。その様な中、2017年1月よりドクターカーの運用を開始。ドクターカーの車載医療機器の一つとしてハンドヘルド型血液ガス分析装置エポックを活用いただいており、その運用方法とメリットついて、救急部部長の高松純平先生にお話をうかがいました。

施設概要

  • 主な指定:救急医療機関の告示、がん診療連携拠点病院、災害リハビリテーション医療実施施設、他
  • 病床数:642床(2021年9月1日現在)
  • 診療科:26科(2021年9月1日現在)
  • 入院患者数:一日平均514人(令和2年度実績)
  • 外来患者数:1,198人(令和2年度実績)
関西ろうさい病院

当院のドクターカーは乗用車型のRapid Response Carを採用しており、出動は概ね1日1件程度で、年間約300件の要請に対応しています。出動時間は、8:15から22:00までとなっています。住民からの救急通報を受けた消防局では、予め重症と考えられる心停止、重症外傷など、諸症状のキーワードで判断し、ドクターカーの出動要請を出します。要請を受けると、救急科医師、看護師、救命救急士らで構成された医療チームで現場に出動します。直接患者のいる現場、または、患者搬送中の救急車にドッキングし、医療行為を行います。
(写真:関西ろうさい病院 救急部部長の高松純平先生(左)と救急救命士の坪田裕司さん(右)

関西ろうさい病院救急部の高松先生と坪田先生

気道確保に使用する医療機器を始め、輸液セット、除細動器、薬剤一式など、救急外来で使用する資機材を中心に搭載しています。中でも血液ガス分析装置のエポックは、非常にコンパクトで片手で持てるため、精度だけでなく取り回しが良いため、資機材には欠かせません。

ドクターカーに搭載された資機材

ドクターカーが出動する場面では、全症例でエポックを使用し、検査を行っています。一般的に血液ガス分析には、動脈血を用いますが、ドクターカー出動症例においては、迅速に検査を行うことを優先します。ドクターカーが出動する様な状況では、通常、点滴用のルートを確保しているため、動脈血を取る時間も短縮したく、ほとんどの場合、ルートからの静脈血で検査を行います。酸素に関してはサチュレーションで代用する様にしています。正確なPaO2を知るよりは、電解質、代謝項目などを早急に知ることが重要と考えます。

ドクターカーからエポックを取り出す様子

アシドーシス、電解質異常、グルコース、ラクテート、クレアチニンなど、患者の重症度、緊急度を判断するためには、エポックで行う全ての項目が有用であり、必要な測定項目が1回の検査(測定カード1枚)ですべて測定できることがエポックの良い点と思います。
呼吸状態、循環器障害の把握や、病院に到着次第CT検査に進められる様にするために、ドクターカーでクレアチニンの測定できることも重要です。ここで測定された検査結果を搬送先の病院に連絡しておくことで、病院側の準備を進めておくこともできます。病院到着後にクレアチニン検査を行うのと比べて、約30分の差が生じますので、事前に知ることができることは非常に有用です。
意識障害などの場合、患者自身からヒアリングをすることの難しい中でもいち早く医療を行うための情報を得ることができます。また、重症外傷の場合、出血性ショックの状況を確認するためにもラクテートの値が重要です。そして、患者容態を見ることで重症であることは把握できた場合でも、ラクテートの数値を示すことで、患者ケアに関わるスタッフの共通認識を持って治療にあたることができるという点でも有用です。

分類

測定項目

演算項目

血液ガス

pH, pCO2, pO2, TCO2

cHCO3, BE(b), BE(ecf), cSO2, A

電解質

Na+, K+, Ca++, Cl-

AGap, AGap(K)

代謝項目

Glu, Lac, Crea, BUN

eGFR

ヘモグロビン関連項目

Hct

cHgb

エポックは非常にコンパクトなため、小さな測定カードと一緒に救急対応のカバンのサイドポケットに入れてドクターカーに持ち込んでいます。患者の元に到着するとすぐにエポックを取り出し、測定カードを入れ検査の準備をします。較正が終了し検査可能となると、ルートから看護師又は救命救急士が採血し検査を行います。医師の立場から見ると、患者ケアを行っている間に検査結果が出ているという感じです。

ドクターカーで使用する場合には、温度環境が病院内と異なります。測定カードは、15℃~30℃の保管温度で管理しやすいのですが、装置の稼働環境は、15℃~30℃の範囲となっていますので、冬などは移動時に機器が冷えない様に注意が必要です。
そしてエポック自体はメンテナンスフリーなので、取り扱いについてはとても容易ではありますが、院内に持ち帰った際に充電を行う様にしています。救急対応をしつつ検査結果を見るため、検査結果が小さくて読みにくいと思うこともありますので、今後販売される製品で見やすくなることを期待しています。

救急部では、クレアチニンが必要な患者の場合は、その場でエポックを用い測定を行っています。また、手術室においても、術中に血液ガスの測定頻度が高い心臓外科手術でエポックを活用していく予定です。

東京医科大学病院麻酔科主任教授:内野先生

関西ろうさい病院様の事例

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