
医療法人白青会 いしぐろ在宅診療所岡崎 第2回
在宅クリニックで質の高い診療と
スタッフの働きやすさを確保するための
組織運営とは

2021年に機能強化型在宅療養支援診療所としていしぐろ在宅診療所岡崎を開業して以来、24時間体制を維持しながら質の高い在宅医療を地域に提供するため、スタッフの働きやすさや優秀な人材の確保を重視してきたという院長の石黒剛先生に、取り組みの実際についてお話を伺いました。
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業務上の問題は個人で対処せずに
速やかに共有し全員で解決する方針
当院の診療体制は、医師が常勤、非常勤を合わせて1日に4、5人、看護師、医療事務スタッフもそれぞれ5人前後と、医師、看護師、医療事務スタッフの人数比が常時おおむね1:1:1となるように人員配置しています。機能強化型在宅療養支援診療所の要件として、緊急往診にも24時間対応可能な体制を維持しなければならず、医師やスタッフに心身の負担がかかりやすいなか、働きやすい環境の整備と必要な人材の確保には気を配ってきました。
例えば、患者さんや紹介元の介護関係者から問い合わせを受けた際、対応に苦慮するケースがしばしばあります。そうしたときに、自分1人で抱え込んでしまうとストレスになりやすいため、当院ではまず対応策をできる限りルールやマニュアルに落とし込んでいます。さらにチャットツールを使い、他の医師やスタッフに速やかに共有することを全体の方針としています。それにより、問題を抱え込まずに済むのでストレスにつながりにくくなりますし、なにより対応策を複数の目で検討できるのでより良い結果を導きやすくなると感じています。
また、チャットでの情報共有時は、できるだけ特定の人宛ての直接連絡ではなく、グループチャット上でよりオープンな形でコミュニケーションを取るように呼びかけています。問題の内容によってはそれに抵抗感を覚える場合もあり得ますが、問題解決には全員で取り組むということを明確にしているからこその方針なので、1人ひとりの心理的安全性は高いのではないかと思います。
時間外のオンコール対応に代行サービスを導入
医師の負担軽減と患者さんへのより丁寧な応対を実現
働きやすさの向上を目指した取り組みとしては、診療時間外のオンコール代行サービスを導入したこともインパクトが大きかったと思います。これにより、医師は診療時間外に患者さんや訪問看護ステーションからの電話を直接受ける必要がなくなり、外注業者のコールセンタースタッフが聞き取って文章化した内容を確認してから、コールバックする流れになりました。じつは開業当初しばらくは、サービス導入せずに医師が直接電話を受けてオンコール対応していました。しかし、医師も人間ですので、深夜に認知症のある患者さんから電話がかかってきたりするケースもあるなかで、常に丁寧な応対をすることは難しく、心身への負担もやはり大きいと感じていました。コールセンタースタッフがいったん介在する現在の流れでは、報告の文章に目を通し、状況を理解したうえでコールバックするので、落ち着いてより親身な応対ができ、当院医師からも好評です。
ただ、開業当初にしていた直接の受電対応にもメリットはあったと思っています。訪問看護ステーションからの電話があったときには、私たち医師が直接受けることで当院の診療姿勢を丁寧に伝えることができたので、紹介元に対する一種の営業活動として信頼関係を構築することにつながったと感じています。結果的に、その後代行サービスを導入した際にも理解が得られ、比較的スムーズに流れを切り替えられました。

クオリティ担保が困難なレセプト作成は外注
医療事務スタッフへの心理的負担を回避
また、医療事務スタッフの業務に関して言えば、レセプト作成を院内では行わず、代行業者に外注しています。在宅医療の診療報酬は、算定方法が複雑で特殊なため、院内で対応しようとすれば教育の労力もかかるうえ、クオリティの担保も容易ではありません。しかも、各項目の点数が比較的高いため、もし請求業務にミスがあればクリニックの収益にダイレクトに大きく響きますから、担当するスタッフには重い心理的負担がかかる業務になりかねません。それらを勘案すると外注にするほうが、医療事務スタッフの働きやすさにつながる面も含め、コストに見合ったメリットがあると考えています。
人材紹介会社と関係性を築きフル活用することで
優秀なスタッフを安定的に確保
こうした働きやすさの醸成もあってか、最近よく言われる看護師の採用難にはあまり直面していません。人材紹介会社と丁寧にコミュニケーションを取り、関係性を構築していることも非常に大きな要因の1つと考えており、当院では、紹介会社の方々に目指している医療や欲しい人材像について理解してもらうための労を惜しみません。資料を提供したり、職場見学にも足を運んでもらったりしながら、“採用を担当してくださる仲間”と認識していることを伝えています。紹介手数料をお支払いする分、それに見合った働きをしてもらえるよう当院からも積極的に情報提供などを行うことで、ミスマッチが起こりにくくなり、結果的に人員体制の安定、ひいては経営の安定につながっていると考えています。
販売名: エポック測定カード BGEM 届出番号 13E1X80031000052




