AI 技術を取り入れた第5世代デュアルソースCT装置SOMATOM Pro.Pulse 国内第1号機が榊原記念病院に導入循環器領域に特化した同院にて、心血管イメージングの診断精度の向上と業務の効率化を期待

東京

|2024-09-11

シーメンスヘルスケア株式会社(東京都品川区、代表取締役社長: 櫻井 悟郎、以下シーメンスヘルスケア)のAI技術を取り入れた第5世代デュアルソースCT 装置「SOMATOM Pro.Pulse(ゾマトム プロパルス)」の国内第1号機が、循環器専門病院である公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院(東京都府中市、以下榊原記念病院)に導入されました。榊原記念病院は、心臓血管外科、小児心臓血管外科、循環器内科、小児循環器内科、循環器救急科、血管外科など幅広い循環器関連の診療科を持つ、循環器領域に特化した施設です。心拍数に依存しない安定した心血管イメージングを可能にするデュアルソースCTの強みとAI技術を融合させた「SOMATOM Pro.Pulse」を活用いただくことで、診断精度の向上と医療現場における業務の効率化が期待されます。

Somatom Pro.pulse product image
ゾマトム Pro Pulse 認証番号:306AABZX00010000

榊原記念病院とシーメンスヘルスケアは、2013年1月にリファレンスサイト契約を締結し、臨床現場からの声や要請をシーメンスヘルスケアのグローバル本社であるSiemens Healthineersの開発部門へフィードバックするなど、共に循環器領域における医療の質の向上を目指して協働してきました。

Siemens Healthineersは、2005年からデュアルソース CT装置を導入し、医療の現場のニーズに応えながら、当社のイノベーションを駆使した新たな技術や機能を開発、発展させてきました。今回、榊原記念病院が「SOMATOM Pro.Pulse」を日本で初めて導入したことで、循環器領域におけるデュアルソースCT装置の新たな活用方法が再定義されることが期待されます。心臓 CT 検査は撮影者の技量や経験、さらには撮影時の心拍数によっても検査の成功率が左右されますが、AI 技術を取り入れたデュアルソースCTを活用いただくことで、一貫した精度の高い心血管イメージングを体感していただけると考えています。

榊原記念病院の井口 信雄 副院長は、以下のように述べています。「循環器医療の技術が高度化する中で、質の高い医療を提供し続けることが重要です。特に近年は、高齢化社会を背景に弁膜症などの構造的心疾患が増加しており、心臓の形態を4Dで観察するニーズも高まっています。私たちは、SOMATOM Pro.Pulseを活用して、ますます高度化・多様化する循環器診療のニーズに対応した、高水準の医療を提供していきたいと考えています。」

シーメンスヘルスケアは、CT装置における技術のパイオニアとして、循環器領域にブレークスルーをもたらすことが期待される「SOMATOM Pro.Pulse」を通じ、日本の医療従事者の方々と共に、ひとりでも多くの患者さんや検査を受ける方々が質の高い医療へアクセスできるよう引き続き取り組んでまいります。


「NAEOTOM Alpha」で撮影した頭部血管

デュアルソースCTは、X線管と検出器を2対搭載したCT装置であり、世界でもSiemens Healthineersのみが 製品化しています。2005 年に初めてデュアルソース CT 装置の販売を開始し、医療現場のニーズに応えながら、当社の イノベーションを駆使した新たな技術や機能を開発、発展させてきました。 2対のX線管と検出器が同時にデータを収集することにより、シングルソースCTの約2倍高い時間分解能を実現することによって、心拍の影響を受けにくい精度の高い心血管イメージングを可能にしています*1。SOMATOM Pro.Pulseは、第5世代のデュアルソースCTであり、新たに開発した画像補正技術「ZeeFree」により、画像の継ぎ目にズレが生じてしまうバンディング・アーチファクトを解消し、連続性を保ったCT画像を提供することで、高心拍や不整脈が見られる場合でも、信頼性の高い心臓CT画像を実現します。

また、デュアルソースCTとして初めて全自動撮影システム「myExam Companion」を搭載したことで、適切な撮影プロトコルの選択や標準化、さらには複雑な撮影条件の自動設定や高度な画像解析も自動化することで、先進技術のルーチン化に貢献します。




SOMATOM Pro.PulseプレスリリースデュアルソースCT技術1

① 高い時間分解能
CT検査において呼吸や心臓の動きによるモーション・アーチファクトを最小限に抑えるためには、X線管の回転スピードをできるだけ速くすることが大切です。シングルソースCTでは、回転スピードの限界により、時間分解能100msを超えることができませんでした。デュアルソース CTでは、2本のX線管を使用することにより、それぞれのX線管が90度回転するだけで180度分のデータ収集が可能になり、100ms以下の時間分解能の実現が可能です。CT検査において心拍数を下げるために使用されるベータ遮断薬の使用が難しい被検者や、コントロールの難しい高心拍・不整脈の被検者の方に対しても、冠動脈、心筋、弁などの高精度な撮影画像の提供に貢献します。

② 高速な撮影
身体の広範囲にわたる撮影を行う際に、撮影速度が十分でない場合、撮影画像にモーション・アーチファクトが発生する可能性があります。デュアルソース CTでは2つのX線管がそれぞれ異なる軌道を描いて撮影を行う高速2重らせん撮影を行うことにより、高速な撮影を実現します。心臓の動きが静まる一瞬のタイミングを見定めて高速で撮影することや、体幹部を1秒程度で撮影することが可能です。撮影時間を短縮することにより、被ばく量の低減にも貢献します。

SOMATOM Pro.Pulseプレスリリースデュアルソース技術2

③ 高精度なデュアルエナジー撮影
異なる管電圧を使用した撮影方式であるデュアルエナジー撮影では、物理的にはいくつかの撮影方式が可能ですが、当社のデュアルソース CTでは、それぞれのX線管で異なる管電圧(kV)とmAs値(管電流×照射時間)値を設定することで、高速で広範囲なデュアルエナジー撮影 が可能になります。また、X線スペクトルの重なりを防止するフィルタ(錫フィルタ)を使用することで、デュアルエナジー撮影において重要になる精度の高いスペクトル解析 を実現するだけでなく、シングルエナジー撮影 と同等またはそれ以下のX線量で高精度なイメージングが可能なことが報告されています*2

④ 造影剤の投与量低減に貢献するコントラストの高い低管電圧撮影
高齢の方を含め、腎機能が低下している患者さんは、造影剤投与後に腎機能が低下することが報告されており、造影剤の投与量を抑えた検査へのニーズが高まっています。X線管の電圧を下げた低管電圧撮影を行うことで、造影剤のコントラストが向上することが分かっており*3、造影剤の投与量を抑えるために、管電圧を下げてCT検査を実施する重要性が高まっています。デュアルソース CTでは、2つのX線管を搭載していることで、従来の2倍のX線出力が可能なため、低管電圧撮影において、大きな体格の被検者でも造影剤投与量を抑えた撮影が可能となります。

⑤ 4D撮影に対応するテーブル制御技術
テーブルを繰り返し往復移動させてデータを収集する4D撮影は十分な撮影範囲を確保しつつ、往復移動に関わるテーブル制御の精度を高める必要があります。デュアルソースCTの高速撮影で培った正確なテーブル制御技術は、適切なタイミングで十分な撮影範囲を撮影することを可能とし、最大42.5cmの4D撮影を実現しています。CTパーフュージョン(灌流)撮影だけでなく、広範囲にわたる血流の動態評価などをサポートします。


シーメンスヘルスケア株式会社
コミュニケーション部
堀本