診療放射線技師の乳腺診断検査への取り組み

医療法人藤森医療財団 藤森病院様 前編

「マンモグラフィに痛みはつきもの」とお考えではありませんか?
必要最小限の痛みで精度を担保。検査時の患者さまのご負担を減らします。

藤森病院様:前編

|2020-04-29

<p>関山 史織 技師</p>

前編

藤森病院は病床数100床未満の病院ですが、内科、外科など主要な診療科がそろい、地域のかかりつけ医として患者さんには通院しやすい病院だと思います。乳腺に関しては外科医が診察を行っており、乳腺専門医も外部より診察に来られます。

装置の更新にあたり、トモシンセシスの導入についてはとても悩みました。話で聞いていても未知の検査でしたので、「トモシンセシスの追加撮影で検査時間が増え、今までよりワークフローが悪くなってしまうのではないか」「被ばくが増え、基準値内で撮影できないのではないか」と心配もありました。

画像デモで色々な症例を見ていくと2D画像でははっきりしないけれどトモシンセシスなら病変がわかりやすく診断しやすい症例や、FADの所見が乳腺の重なりだとわかる症例などに出会い、やはりトモシンセシスは必要だと考えるようになりました。乳腺エコーを行っているのは私たち技師なので、この点は強く実感しています。特に乳腺の多い方については、マンモグラフィでは認識できなかった乳がんが、エコーでは見つかったというケースもあります。そこがマンモグラフィの弱点だと思うのですが、トモシンセシスを追加することにより、見つけられる可能性がとても高くなると感じました。

そうですね。被ばくの点が心配でしたが、今までのMo/MoやMo/RhではなくW/Rhで撮影できるので抑えられますし、更にMAMMOMAT Revelationには、より被ばく線量が抑えられるグリッドレス撮影のPRIME機能も搭載されているので、患者さんに優しい装置だと感じました。この機能を紹介された時点で健診で使用するイメージがわきました。

2D撮影だけに比べると、撮影が増えるので検査時間は長くなります。そこで患者さんの動線を考えてみました。当院では健診(胸部単純撮影+マンモグラフィ撮影)の割合が多く、また二次精査で元の画像がないケース、経過観察を行うケースなどマンモグラフィと超音波検査の両方を行うことが多くあります。そこで、マンモグラフィ室に一般撮影(胸部)と超音波診断装置を同室に設置し、患者さんの着替えの時間、検査ごとの部屋の移動時間を削減、全体的な時間の短縮が図れるよう考えました。とはいっても限られたスペースですので、一部屋に効率的に収まるよう何度も配置を考えました。

外来患者さんは全件、トモシンセシスを撮影しています。健診の方はオプションでトモシンセシスを選択できるようになっていますが、だいたい半数の方がトモシンセシスを選択されます。一人当たりの検査時間は「左右2方向トモシンセシス有り」で10分かからない程度です。マンモグラフィと超音波の両方の検査がある方はそのまま続けて超音波検査という流れですが、合わせて検査ができるのでラクだと喜んでくださいます。マンモグラフィで待って、超音波で待って、ということがないので待ち時間が短くなり、これは患者さんにとって大きなメリットだと思います。

MAMMOMAT Revelationは2D+トモシンセシスで30秒ほどかかりますが、特に患者さんに長いと言われたことはありません。圧迫圧は100N以下を目安にしており80N前後が多いと思います。圧迫が強すぎると痛みの原因になり、圧迫が弱すぎると動きによるボケや被ばくが増えてしまうので必要以上の圧迫は避け、なおかつ圧迫不足による被ばくの増加を避ける圧迫圧がこのくらいかなと思っています。実際、「前より痛くないです」という方が多くいらっしゃいます。圧迫板が柔らかくしなることや撮影中の辛い息止めをしなくてよいことが検査の負担を感じにくくしているのではないかと思っています。


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