第5回 Advanced Breast Conference レポートトモアドバイザリーミーティング関東 2019

2019-08-29

8月2日シーメンスヘルスケア株式会社 大崎本社にて、第5回 Advanced Breast Conferenceを開催いたしました。
乳がん診断がマルチモダリティ化する中、マンモグラフィ装置も進化を続け、新しい技術が誕生しています。その代表的な技術「トモシンセシス」は実臨床に応用されていますが、その範囲は検診や精密検査など多岐にわたり、運用方法もさまざまです。今後、どのように活用していくべきかを検討していくために、まずは、実際の運用についての情報交換、意見交換をするため、トモシンセシスを日常診断にご活用されていらっしゃる医師7名にパネラーとしてご参加頂き、「トモアドバイザリーミーティング関東2019」と題し第5回Advanced Breast Conference(以下、ABC)を開催しました。

Ms. Tsunoda
司会進行:聖路加国際病院 角田 博子 先生

聖路加国際病院 角田 博子 先生の司会進行のもと、他6名の医師の方々を交え討論会のような形式で行われました。
第1部では各施設におけるトモシンセシスの運用を中心に症例紹介を交え、ご発表いただきました。精密検査でのトモシンセシスの在り方として、既知病変の明瞭化により確信度を高めるだけでなく、癌の範囲診断や超音波画像による局在確認時の参考、類似する多発病変の確認、FADなどの確認に有用であるなどのメリットが挙げられました。課題としては精密検査におけるトモシンセシスの役割をさらに明確化する必要性や、2Dとの比較読影ではデータ量が多くなるためデータ保管の問題などがあげられました。また、任意型検診にトモシンセシスを用いることで精度の高い検診が確立しその後の精査がスムーズにいくというメリットがある一方で、検診の段階での読影医の人数や高精細診断用ビューアなどの診断媒体設置環境を整える必要があるなどの意見もありました。
 

Ms.Ban
東京都予防医学協会 坂 佳奈子 先生

第2部では第1部の意見をふまえ、トモシンセシスの課題や今後のさらなる診断の可能性を話し合って頂きました。トモシンセシス検査の対象者をどのようにしていくか、データ量についての課題がある中、過去画像比較読影をトモシンセシス画像ではなく、合成2Dで行っていけるのではないかというご意見や、トモシンセシス画像における診断カテゴリーの必要性についても意見が交わされました。
これまでのABCは全国規模のイベントとして開催しており、今回のように限局的な開催は初めてでしたが、そのぶん自由闊達な意見交換の場となりました。このような意見交換の機会をはじめ、今後も乳がん診断に有用な情報を提供していきます。