つがる西北五広域連合 つがる総合病院10 年以上前の装置が最新機器となり、良い装置は機能強化して長く使うという発想が病院に浸透。

2017-10-11
Tsugaru-General-Hospital-mr.funamizu_mr.kan
左から:船水 技師長、神 係長
Let's fit Together! Seminar(ITEM2018)にて船水技師長に使用経験についてのご講演をしていただきました。ご講演ビデオはページ下リンクよりご覧いただけます。

[取材にご協力いただいた先生方]
診療画像情報部 船水 憲一 技師長
管理課 用度管財係 神 秀則 係長

Avantofit バージョンアップ:2014年4月

病院の移転と同時にバージョンアップを実施しましたが、当初病院としては移転前に稼働していた他社1.5T装置とMAGNETOM Avanto(以下 Avanto)の2台を1.5Tと3Tへ新規更新することを計画していました。
その中で、脊椎コイルがテーブルに一体化され、コイルを広く置くことで腹部から骨盤までコイルの付け替えをすることなく撮像できるというTim機能は、身体が不自由な高齢者の多い当院では必須の機能となっていました。そのため1台は必ずシーメンスという要望があり、そのような状況でAvantoの利点を継承して機能を強化し、最新の装置として使い続けられるAvantofit バージョンアップは、当院の要望に合致したため導入を決断しました。
新規更新ではなくAvantofit バージョンアップを実施したことで、10年以上前の装置が現在も最新装置として稼動しており、病院として良い装置は機能強化をして長く使うという考え方ができるようになったと思います。その結果、バージョンアップ後も機能強化の延長として新しいオプションの購入をすすめられています。


  • 装置の特性を活かして検査を振り分けている。
  • 2014年の移転とともにAvantofit と他社3Tの2台体制となり、さらに脳外科が常勤となったことで頭部検査が増加。
  • Avantofit は、救急や複雑な検査、所見に応じて柔軟なシーケンスの変更が想定される検査、広範囲の病変検索など、対応検査が拡がっている。
  • 全脊椎検査は、バージョンアップ後画質を確保しながら時間を短縮できた結果、これまで頸胸腰椎単体(セパレート)であった術前検査を全脊椎に拡げることで、患者にとっても臨床的な点でも大きな利点となっている。

 

全検査数推移
2014年にfitバージョンアップ実施

右総腸骨動脈の口径不整が強く、起始部に高度狭窄が疑われる。外腸骨動脈から足部の血流が保たれている。左骨盤内動脈には有意狭窄は認めない。左SFA起始部から完全閉塞している、DFAからの側副路により、膝上部から再描出しており下腿の血流は保たれている。
バージョンアップにより描出能が向上し、末梢まで評価が可能。全下肢でも15分で終わるので、体動などによる描出不良にも再撮像で対応しやすくなった。

  • Peripheral Angio 36ch Coil
  • QISS
QISS 非造影MRA

CTにて左鎖骨下動脈分岐部付近から腹腔動脈分岐部よりやや近位レベルの腹部大動脈にいたるStanford type Bの大動脈解離あり。解離腔は、まだほとんど血栓化していない。慢性腎不全のため非造影のMRAでフォローされる。

胸腹部大動脈かい離

子宮全摘後。左骨盤に8 cm程度の多房性cyctic massが認められる。内溶液の信号強度はT2強調像でHighとややLow signalの部分からなり、壁や隔壁は整、骨盤内にリンパ節腫大は認めない。

  • BLADE
  • FREEZEit - StarVIBE
左卵巣腫瘍

左下肢痛主訴で救急搬送されMRIを施行。アキレス腱周囲発赤あり、左大腿背側~左アキレス腱に腫脹圧痛熱感著明。PAコイルとSpineコイルを使用し、FOV 450mm x 2ステップで全下肢をカバーすることができ、救急でも容易に対応することができる。

  • Peripheral Angio 36ch Coil
  • Large FOV 450mm
左下肢蜂巣炎

CTで左肋骨・Th9・右腸骨に腫瘤性病変を認める直腸腫瘍が指摘され、転移性骨腫瘍を疑いMRIを施行。C2、Th3、Th9椎体にSTIRで高信号、T1強調画像で低信号を示す病変がみられ、後方要素、肋骨にも病変の連続がみられ骨転移を疑う。DWIでの高信号がみられ、造影後の増強効果も顕著。Th9レベルでは脊柱管内への伸展は見られず。左下位肋骨外側部にも5 cm大の腫瘤が見られ骨転移を疑う。右腸骨に2ヶ所の骨転移を認める。Set-n-goプロトコルで複数シリーズをまとめてスキャン計画ができるので、計画時間が短縮し容易になった。Calculated ImageのHigh-b 値画像の活用も検討している。

  • Wholebody Diffusion
  • Set-n-go
多発骨転移

FLAIR、DWIで左側頭部シルビウス裂に高信号、DIR(Double-IR)で範囲が明瞭化された。

  • DIR – Double Inversion Recovery
脳梗塞、脳炎疑い