FLAWS and MP2RAGE Sequence at 3T for Surgical Localization in Pre Deep Brain Stimulator Patients深部脳刺激装置の挿入位置特定のための3T FLAWSおよびMP2RAGEシーケンス

MAGNETOM Flash 翻訳版 Vol.15より|2018/04/01

David Shipp1; Tobias Kober, Ph.D.2
1 Monash Medical Centre, Clayton, Victoria, Australia
2 Advanced Clinical Imaging Technology, Siemens Medical Solutions-CIBM, Lausanne, Switzerland

図1
図1
1A:視床下核(STN)のコロナル解剖図
1B:コロナルFLAIR MPR画像

はじめに
術前計画のための3D MRIシーケンスは日常的に用いられる。Siemens Healthineersの新しい3DシーケンスであるMP2-RAGE*(Magnetisation Prepared 2 Rapidly Acquired Gradient Echo)およびFLAWS*(FLuid And White matter Suppression)では、神経内科疾患および神経外科疾患の患者に対する深部脳刺激装置(DBS)の正確な挿入に必要な深部灰白質構造をよりよく描出できるようになった。

* 本製品は開発中の段階でまだ市販されていない(WIP)。今後の販売は未定。

図2<br />
図2
2A:淡蒼球内節(GPi)のコロナル解剖図
2B:コロナルFLAWS MPR画像

臨床応用、手術方法および適応
DBS療法が必要になるのは運動障害を有する患者で、①パーキンソン病、②重度のジスキネジアを伴うパーキンソン病、③本態性振戦またはジストニアの3群の分類される。
パーキンソン病患者は大部分が多年にわたり薬物療法を受けている。主な治療薬はL-DOPA(L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)で、ドパミン受容体を通してシグナリング経路を活性化させるドパミンアゴニストが用いられるケースもあるだろう。しかし、5~10年後に投薬の有効性が低下することがあり、この段階になると外科手術の候補になる。この時点までに治療薬の副作用(筋肉の不随意運動であるジスキネジアや精神神経学的副作用)が患者と家族にとって耐えられないものになっている可能性もある。また、振戦優位型パーキンソン病の一部はこれらの治療薬に抵抗性を示すため、DBS療法が治療選択肢になる。これらのパーキンソン病患者において正確な描出が求められる解剖学的領域は視床下核(STN)である。図1Aにコロナル解剖図 、図1BにコロナルFLAIR MPR画像を示す。
重度の認知機能障害または精神疾患の併発例や極めて重度のジスキネジアを伴うパーキンソン病患者では、淡蒼球内節(GPi)の正確な描出が求められる。図2Aにコロナル解剖図、図2BにコロナルFLAWS MPR画像を示す。

図3
図3
3A:視床中間腹側核(VIM)のコロナル解剖図
3B:コロナルFLAWS MPR画像

本態性振戦およびジストニアの治療薬(主にマイソリン、β遮断薬、ボツリヌス毒素)が奏効しなくなったことが確認された場合は、DBSによる外科的介入が治療選択肢になる。この場合は視床中間腹側核(VIM)の正確な描出が求められる。図3Aにコロナル解剖図、図3BにコロナルFLAWS MPR画像を示す。

解剖学的構造
視床下核(STN)、淡蒼球内節(GPi)、視床中間腹側核(VIM)の3つの深部灰白質構造は一般に大きさが10mm×5mm未満である(図4参照)。0.9mm等方性分解能で撮像したデータセットを定位的に用い、刺激電極の位置を正確に特定する。基準マーカーは顔面の標識点で十分なので必要ない。Monash Healthで用いるプローブはMedtronic 3389または3387の4極配列の電極(Medtronic社、アイルランド・ダブリン)で、電極の総直径が1.27mm、長手方向全長が10.5mmである。長さ方向に配列された電極の1極または複数の組み合わせで刺激を送達することができる。したがって、どの撮像でも1mm以下の等方性ボクセルサイズを分解能の目標にすべきである。

図4
図4:視床下核(STN)、淡蒼球内節(GPi)、視床中間腹側核(VIM)の3種類の深部灰白質構造のアキシャル解剖図

撮像シーケンス
Siemens HealthineersのMP2RAGEシーケンス〔1〕は 、2種類の反転時間(TI₁およびTI₂)による反転パルスそれぞれの後に2つのグラジエントエコー・リードアウトトレインを配置し、通常のMPRAGEに比べて灰白質(GM)と白質(WM)のコントラストを大幅に改善している。Monash HealthではTI₁=700ms、TI₂=2200msを用いる。図5にMP2RAGEコントラストの例を示す。
ただし、MP2RAGEシーケンスの標準プロトコルは皮質におけるWM/GMコントラストが最大になるよう最適化されている。2つの反転時間を変更することにより、深部構造におけるWM/GMコントラストを改善することができる。MP2RAGEの特殊な形であるFLAWS〔2〕では、反転後にWM信号が減衰してほぼゼロになる時点(WM null point)で最初の画像を収集するようにTI₁を選択する。TI₂は通常のMPRAGEコントラストを得るように調整することが可能で、1回の撮像で2種類の相補的なコントラストが得られる。Monash HealthではTI₁を409ms、TI₂を1330msとしている。図6にこれら2種類の画像コントラストの例を示す。
スキャナで画像再構成中に行われる単純な後処理において、2種類のコントラスト(WM-nulledおよびMPRAGE)の最小値投影(MinIP)が行われ、いわゆるFLAWSコントラストが得られる。図7A~図7Cにアキシャル、コロナル、サジタルのFLAWS画像例を示す。

図6
図6:第1反転時間409ms(6A)および第2反転時間1330ms(6B)による画像コントラスト

スキャンパラメータ
プロトコル

  • 0.9mm等方性ボクセルのFLAWSを組み込んだMP2RAGE
  • 0.9mm等方性ボクセルの3D FLAIR

全てのシーケンスを3T MAGNETOM Verioで32チャンネル・ヘッドコイルを用いて撮像した。
画像診断を依頼する神経外科医および神経内科医はともに、STNが最も良好に描出されるのはやはりFLAIR画像であると考えているので、3D FLAWS/MP2RAGEシーケンスだけでなく3D FLAIRシーケンスも要求する。その他の領域はFLAWSで最も良好に描出される。
この患者群では振戦がモーションアーチファクトにつながり、5分30秒という撮像時間でも問題になることがある。前処置として普段通り早朝に治療薬を服用させ、午前半ばにMRI検査を行うようにする。ミダゾラム静注も選択肢になる。モーションアーチファクトのない診断画像を得るための最終手段として全身麻酔が必要になることはまれである。

謝辞
Monash Health画像診断部長およびMRI責任者Stephen Stuckey教授(Director Monash Imaging and Head of MRI Monash Health)、Monash Health神経外科部長Andrew Danks准教授(Head of Neurosurgery, Monash Health)、Monash Health神経内科部長Dominic Thyagarajan教授(Director of Neurology, Monash Health)、オーストラリア・シーメンスヘルスケアMRI主幹研究員Sonal Josan氏(Senior Scientist MRI, Siemens Healthcare Australia)に感謝する。

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