FLAIR Fusion in Multiple Sclerosis Follow-up: An Indispensable Tool in Clinical RoutineFLAIRフュージョンによる多発性硬化症のフォローアップ:臨床ルーチンの必須手段

MAGNETOM Flash 翻訳版 Vol.15より|2018/06/01

Stéphane Cantin1; Thomas Troalen2; Emeline Lamain1; Melisa Bakir2
1 Groupe Clinique du Mail, Grenoble, France
2 Siemens Healthineers, Saint-Denis, France

要旨
世界では多発性硬化症(MS)のフォローアップとして何百万例もの脳MRIスキャンが行われる。炎症性病変の数やサイズによっては、連続する検査を比較して経時的な広がりを評価することは困難で時間がかかるものになることがある。本稿ではsyngo.viaによるFLAIR画像の融合(フュージョン)について述べる。従来の3D FLAIR画像をフレーム毎に対比する方法と比較し、新規病変の検出能力および読影所用時間の短縮における有用性をクローズアップする。

使用機器
画像は全てsyngo MR E11ソフトウェアを搭載した1.5T MAG-NETOM Aeraシステムで20チャンネル・ヘッドコイルを用いて撮像した。後処理はsyngo.via VB10ソフトウェアで行った。

はじめに
多発性硬化症(MS)は中枢神経系(脳、脊髄、視神経)における免疫応答の異常が見られる免疫介在性疾患である。MRIはMS患者の非侵襲的診断およびフォローアップに革命を起こし、世界で何百万例ものMRI検査が行われるようになった〔1, 2〕。MRIは臨床的な対応を変える前、治療中の治療効果の評価や、新規MS病変の時間的多発性の経時的評価を目的として行われる。通常、経時的な広がりの評価にはMAGNIMS 2016基準を用い、特にFLAIR画像に新規の高信号域が出現することにより評価する〔3〕。場合によっては、新規病変の検出がやや困難で不確実になることもある。一般に、新規のFLAIR高信号域を特定するには連続するFLAIR画像をフレーム毎に比較する。しかしこの方法は時間がかかり、画像上の病変量(lesion load)が大きい患者では特に問題になる。さらに、孤立した複数の新規病変に比べ癒合性病変では微妙なサイズ増大が検出しにくくなるので比較が非常に困難になる。
文献によると、連続するFLAIRシーケンスのサブトラクションが最良の方法であると思われる〔4-5〕。しかし、異なる時点で行われたMRI検査どうしの位置合わせと減算を行うツールや、さらには自動セグメンテーションを行うツールは臨床環境で必ずしも利用できるとは限らない〔6-7〕。

第3の方法がFLAIRフュージョンで、これはsyngo.via後処理ソフトウェアを用いて簡単に実行することができる。MS患者のフォローアップでは高い空間分解能、薄いスライス厚、多断面再構成(MPR)が可能という理由から、3次元の等方性データセットが推奨される。また、病変部の高信号をより増強するために、7,000msを超える長いTRが推奨される。表1に至適プロトコルパラメータを示す。

Parameters

Plane

TR
ms

TE
ms

TI
ms

FOV
mm

Matrix

Slice
thickness
mm

Slice
resolution

Inter-
polation

Fat
saturation

3D SPACE FLAIR

Sag

7000

401

2300

270x236

256x180

0.6

50%

On

On

図1
図1:syngo.via後処理ソフトウェアによる画像フュージョンの基本原理
(1A)最も古いシリーズにカラーLUTを適用した正しい処理。新規病変が白色、既存病変が青色で表示されている。
(1B)最も新しいシリーズにカラーLUTを適用した誤った処理。両病変とも青色で表示され解析できない。

ワークフロー
第一段階として、異なる時点で行った2件の検査を読み込む。これはPACSシステムに接続されたsyngo.viaのautofetch機能を用いれば自動的に行うことができる。CTRLボタンを用い、まず最も新しいFLAIRシーケンス(Currentシリーズ)を選択し、次に最も古いFLAIRシーケンス(Priorシリーズ)を選択する(両シリーズが青色の枠で囲まれる)。Currentシリーズのコンテキストメニューの左下にあるMPR/MPRを選択し、読み込んだシリーズを融合させる。できる限り正確にデータを一致させるために、syngo.viaではAutomatic Registrationオプションを用いて2つのボリュームの位置合わせを行うことができる。このオプションは融合した画像の左上のメニューにある。システムによるモーション補正が正しく行われない場合は、手動の位置合わせを選択して回転およびx、y、z方向の平行移動を補正することができる。MPR/MPRフュージョンおよび位置合わせツールはsyngo.viaの一般的な機能である。syngo MR B10にはEasy Reading Modeがあり、全てのsyngo.viaワークフローにおいて画像のフュージョンと位置合わせを簡単に行うことができる。例えば、シリーズナビゲーターのサムネイルモードを選択し、右クリックしてコンテキストメニューから‘Fuse(MPR/MPR)’ を 選択することで、PriorシリーズをCurrentシリーズ上に直接ドラッグ&ドロップすることができる。ドロップしたシリーズは‘overlay'になり、デフォルトで ‘body-heat'カラー・ルックアップテーブル(LUT)が使用される。

図5
図5:病変量(lesion load)が大きい臨床例
(5A)点状病変
(5B)癒合した大きな病変

これまでの経験では、単色LUT(例えば、青色のparathyroid-blue LUT)を用いた方が病変を容易に検出できることが示されている。当院では、Priorシリーズを青色で表示し、Currentシリーズはグレースケールのままとしている。生成された画像の右側にマウスを動かすと、カラーLUTで最も古いシリーズのコントラストを調整することができる。コントラストは青色と白色の病変を識別できるように調節される。ただし、Currentシリーズのコントラストは変更しないよう注意が必要で、マウスを画像の左側に動かしてはいけない。融合したMPR画像では新規病変は白色、既存病変は濃青色で表示される(図1A)。
ここで強調すべき重要な点は、シリーズを選択する順序である。誤った順序で選択すると不適切なカラーLUTによる誤った融合画像になる可能性がある。新規病変と既存病変が同じ色になり、偽陰性所見につながる可能性がある(図1B)。

図6
図6:患者21例によるFLAIR Fusionとフレーム毎比較の結果〔8〕

ワークフローの説明ビデオがhttps://www.healthcare.siemens.com/magnetic-resonance-imaging/magnetom-worldで公開されている。このワークフローは当院の画像センターでも用いているもので、あらゆる局所領域の新規病変(脳室周囲病変、深部白質病変、皮質下病変、後頭蓋窩病変)を検出することができる。図2~図4に臨床例を示す。さらに、本法は病変部が多い患者において特に有用である(図5)。2017年の第55回米国神経放射線学会議(ASNR)で発表された患者21例による後ろ向き盲検試験〔8〕では 、FLAIRフュージョンによって読影所用時間が大幅に短縮され、新規病変の検出数はフレーム毎比較による検出数を決して下回らないことが示された(図6)。ノンパラメトリックなMan-Whitney検定を用い、2種類の方法における読影所要時間と神経放射線科医が検出した新規MS病変の数を比較した結果、FLAIRフュージョンでは約60%の大幅な読影時間短縮となり、病変の検出は25%向上した。

結論
当院の放射線医学センターでは、MS患者のフォローアップを目的とするFLAIR画像のフュージョンは臨床ルーチンに不可欠なツールになっている。本法は非常に簡単に実現することができ、費用対効果が高い。より迅速で正確な患者ケアを可能にし、新規病変の検出を向上させる。その他の臨床応用の可能性もあり、特に微小血管障害、全身性疾患、膨張性脳病変の周囲の浮腫の範囲をFLAIR高信号域により評価できる可能性がある。

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