ペイシェント・エクスペリエンスを向上する取り組みは、ケアの質を高めたり、病院の効率を向上させたり、患者ロイヤリティを向上することにつながるでしょうか?
これまで医療機関のベンチマークには、在院日数や死亡率など標準化された指標が用いられていました。医療機関が優れているかどうかの測定基準として、「ペイシェント・エクスペリエンス」を用いるのが包括的なアプローチとされています。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットは最近の研究や事例を調査し、ペイシェント・エクスペリエンスを改善するための取り組みが、臨床アウトカムや病院の効率性、患者ロイヤリティをも改善するという根拠を見出しました。
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レポート:ペイシェント・エクスペリエンス (英語)
定義
ペイシェント・エクスペリエンスの一般的な定義は、The Beryl Instituteによって定義された「患者の認識に影響を及ぼす、ケアの流れのあらゆる点においてなされた、組織文化的なやり取りのすべて」というものです1。
ペイシェント・エクスペリエンスの改善はすべてを解決できる万能なソリューションではないものの、介入対象を検討することで患者とスタッフ双方に利益をもたらし、財務業績を改善することのできる、補完的なパッケージだと捉えることができます。また、他のシステムと同じく考えるだけでなく実施に移すことが重要です。そのため、実施するにあたっては以下のようなことが推奨されています。
主な取り組み
- 病院は、入院中のみならずケアの流れの間ずっと、ペイシェント・エクスペリエンスの向上に焦点を当てるべきである(入院前及び退院後に患者とその家族に関わり合うことも含む)。このようなアプローチはアウトカムを改善し、患者ロイヤリティを維持することができる
- ポジティブなペイシェント・エクスペリエンスは、財務業績2、臨床アウトカムおよびケア・デリバリーに加え、スタッフのモラル向上や生産性の向上を含む全方位的なアウトカムの改善につながる。たとえば、ある病院でペイシェント・エクスペリエンスを向上する取り組みを行ったところ、スタッフの離職率が4.7%低下した 3
- 病院の内外に関わらず、患者、スタッフ、システムやケアの接点など、さまざまな対象に向けて施策を練る必要がある
- 病院の制度・設備設計について検討することは、ペイシェント・エクスペリエンスに対する取り組みが職場に根付き改善が持続的に行われるという意味で役に立つ 4。ペイシェント・エクスペリエンスを改善する取り組みと並行して、その影響を測定し定期的に進捗状況を確認するメカニズムを導入することが重要である
- ペイシェント・エクスペリエンスを改善する取り組みを行う際には、経営陣とスタッフの間でその目的や意義をきちんと共有し、合意しておく