2019年9月20日から22日にかけて、第47回日本磁気共鳴医学会大会(JSMRM、大会長:山下康行先生 熊本大学大学院生命科学研究部)がホテル日航熊本/くまもと県民交流館パレアで開催されました。Siemens Healthineersは、9月20日にイブニングセミナーを、9月22日にランチョンセミナーを共催し、機器展示会場では3T MRIシステム「MAGNETOM Lumina」のイメージをブースの中心に展示し、最新のソリューションをご紹介しました。
イブニングセミナーレポート
演者に田岡 俊昭 先生(名古屋大学医学部 放射線医学教室 診療教授)、座長に阿部 修 先生(東京大学大学院医学系研究科 生体理医学専攻放射線医学講座 教授)をお招きし、「MR Fingerprintingのコンセプトと臨床応用」をテーマに最新の定量マッピング技術であるMR Fingerprintingについてご講演いただきました。
ご講演の中では、はじめに、従来のMRIのイメージング手法とは全く異なるMR Fingerprintingの原理について詳細にご紹介いただきました。
続いて、MR Fingerprintingの特徴として、これまでのMRIによる定量画像と異なり、装置や施設、検査室内の環境等が異なっても同じ値を用いて評価ができること、各パラメータを同時に取得可能であることから、動きの影響等による位置ずれがなく、そのためMulticomponent analysisが高い精度で行えることをご紹介いただきました。
最後に、MR Fingerprintingの臨床応用として、組織性状のセグメンテーションに用いる試み、脳血流量や血管の直径、酸素飽和度、血流の情報を得る試み、MRSへの応用、腹部や乳房、心筋、前立腺での応用の取り組みなど数多くご紹介いただきました。
ランチョンセミナーレポート
演者に永田 幹紀 先生(三重大学医学部附属病院 放射線科 助教)と石田 正樹 先生(三重大学医学部附属病院 放射線科 講師)、座長に佐久間 肇 先生(三重大学大学院 医学系研究科 放射線医学教室 教授)をお招きし、「Driving the innovations for the precision medicine : Cardiovascular and Abdominal MRI」をテーマに三重大学病院様で2019年4月より稼働を開始したMAGNETOM Vidaの初期使用経験についてご講演いただきました。
永田先生からは、「膵Perfusionを診療に活かす」のタイトルで、膵癌の治療方針の決定や予後の予測に有用な膵癌の定量的血流評価についてご紹介いただきました。
膵Perfusion MRIの評価にはSiemens Healthineers独自の撮像法であるGRASP-VIBEを活用されており、息止めすることなく時間分解能の高い造影ダイナミック画像が位置ずれを少なく撮像でき、正確な膵の組織血流の計測が可能になることをご報告いただきました。
また、局所励起(ZOOMit)により得られる拡散強調画像は、高分解能で歪みも少ないことから、IVIMによる膵癌の微小循環評価にも有用であることをご紹介いただきました。
石田先生からは、「MAGNETOM Vidaによる最新の心臓MRI検査 XD-GRASPを含めて」のタイトルで、MAGNETOM Vidaによる心臓検査についてご紹介いただきました。
MAGNETOM VidaではシネMRIにCompressed Sensingが併用可能であり、これまで呼吸停止4回で撮像されていた左室短軸像に、左室長軸像2枚を加えて、呼吸停止1回かつ1心拍でリアルタイムに撮像でき、患者様の負担の少ない検査が行えるとご報告いただきました。
さらにMAGNETOM Vidaに搭載された心臓MRI撮像用の最新技術は、呼吸を含めた被検者の体動に対する補正効果が高く、遅延造影MRIや負荷心筋Perfusion MRIに有用性が高いことを症例とともに示していただきました。
また、ローザンヌ大学とのXD-GRASPを用いた最新の研究成果もご紹介いただきました。