MRIガイド下乳腺生検 -保険収載によりどう変わる-第26回 日本乳癌学会学術総会 モーニングセミナーレポート

2018-05-25

平成30年度診療報酬改定においてMRIガイド下乳腺生検が保険適用となりました(K474-3 乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術・MRIによるもの)。これをうけて、国内で最も多くのMRIガイド下乳腺生検症例数を経験されている戸﨑先生にご講演をいただきました。

朝一番のセッションにもかかわらず230席の会場は満席となり立ち見となってしまう先生方も多くいらっしゃるほど盛況で、このテーマに対する関心の高さをあらわしていました。ご講演は、①現状、②読影方法および適応例、③必要なデバイス、④実際の手技について分けて分りやすく解説されました。

第26回 日本乳癌学会学術総会モーニングセミナー2
座長:中島康雄 先生
聖マリアンナ医科大学 名誉教授

①現状では、保険適用となる施設基準や点数、適応症例がMRIでのみ検出できたものが対象であること、施設基準では日本乳癌学会に認定された施設であることなど実施にあたっての留意点も詳しく説明されました。
MRIガイド下乳腺生検におけるこれまでの戸﨑先生の取り組みやご経験から、MRIガイド下乳腺生検適用となった患者のうち約38%が悪性であり、そのうちの約80%が非浸潤性乳管癌、約20%が浸潤癌であったことを紹介されました。

②読影方法および適応例では、MRIでしか検出できなかった非浸潤癌と浸潤癌の画像例を紹介されました。また事前のMRI検査では造影剤に濃染した組織が生検当日のMRI検査では濃染せずに急遽キャンセルになった事例もあり、MRI実施は生理周期に留意することが重要だと強調されました。
また過去10年間で画像や診断詳細とともにMRIガイド下乳腺生検の相談をうけた38例のうち実際にMRIガイド下で生検となったのは18例とのことで、MRIを診ることで生検不要、または超音波やマンモグラフィでの生検が可能と判断されることが少なくないとのことです。

第26回 日本乳癌学会学術総会モーニングセミナー2
演者:戸﨑光宏 先生
相良病院附属ブレストセンター 放射線科部長

③必要なデバイスでは、乳腺生検対応MRIコイルの種類や特徴、グリッド法とポスト&ピラー法で使われる固定プレート、吸引のための器具について紹介されました。
ひと口に生検対応コイルといってもその構造によって乳房内側からのアプローチが困難なものとやりやすいものとがあるようですが、Siemens Healthineers の4ch BI Breast coil は生検手技がしやすいとコメントされました。

④実際の手技では、生検をしている場面の写真やBreVis Biopsyによる穿刺位置と深さをガイドする画面などを表示しながら実際の手順を解説されました。

セミナーのアンケートでは、「非常に参考になった」、「MRIガイド下乳腺生検を検討したい」とお答えになった先生が多数で、すでにMRIガイド下乳腺生検の予定があるとの回答もありました。

また実施に当たっては「経験者による指導」を求めるとともに「MRIメーカーの情報提供」が必要という回答も多かったので、今後Siemens Healthineers からの情報発信を積極的に行いたいと思います。