安佐市民病院

脊椎手術におけるCios Spin の新たな可能性、その未来像について

安佐市民病院は広島県北部の地域医療において中核を担う医療機関であり、その役割を果たすべく手術支援ロボット、カテーテル治療室、AI診断対応型内視鏡センターなどを積極的に導入されています。その中でも整形外科は2018年の整形外科・顕微鏡脊椎脊髄センターへの改称に伴い、伝統的に行ってきた顕微鏡視下脊椎脊髄手術に加え、膝関節手術にも注力、2022年5月には最新の顕微鏡および手術支援ロボットシステムを導入、現在、モバイルCアームイメージングシステム CiosSpinとナビゲーションシステムを連動させた顕微鏡視下手術に取り組まれています。今回は、同センター主任部長の藤原 靖先生に、Cios Spinを他の機器と連動させた手術の現状と将来展望についてお話をうかがいました。

2022-08-08

azusashiminHP-Dr.Fujiwara

ロボットアームを使用されるメリットや、今後の課題点についてお聞かせください

ナビゲーションシステムを使った脊椎手術では、術者がモニタを見ながら手元を操作しなくてはならない瞬間がどうしても出てくるため、その時ばかりは視線を術野から外すしかなく、それが潜在的に危ないと感じることがあります。ブレインラボ社製「Cirq®ロボットアームシステム」を使用することによって、これまで画面を見ながら行わなくてはいけなかった手元の調整を、ロボットが代わりに行ってくれるようになります。ですので、術者は術野に視線を集中させたまま操作を続けることができ、安全性が向上しました。ロボットアームはセッティングに多少の時間を要し、さらに細かいことを言えば、プランニングされた骨の位置が傾斜面だとスクリューが滑ってしまう時があるなど、今後の課題はありますが、それでも良いシステムだと思います。

AzusashiminHP-brainlab

ロボットアームとCios Spinを連携させるメリットは、どのような点でしょうか

従来では術前のCTをベースにして手術を行っていましたが、どうしても患者さんの体位は術前(仰臥位)と術中(伏臥位)とで異なるため、二椎体以上が対象となるとレジストレーション時の正確性において問題がありました。しかしCios Spinとの連動によって、患者さんの「術中の」体位で3Dイメージを取得できるようになり、また位置情報を含めたデータをナビゲーション側へ転送することで、結果として複数椎体の位置関係を正確に突合できるようになったため、精度と実用性において変化を感じています。また、2D透視をしながらスクリューを挿入する従来の方法は、手術のスピードが早い一方で、術者被ばくの問題もありました。手術を受ける患者さんはもちろんですが、特に毎日手術を行う度にX線被ばくが避けられない手術チームのスタッフにとって、ナビゲーション・ロボットを連携していくことで被ばく量を低減できることは、大きなメリットと言えます。