Radiation oncologists are successfully testing AI-based algorithms to automatically contour organs at risk.

コンツーリング自動化のための

アルゴリズム

Manuel Meyer

|2021/06/09

スペイン・バルセロナのdel Mar病院では、放射線腫瘍医がAIをベースにしたコンツーリング自動化のアルゴリズムをテストしています。目的は迅速かつ正確な放射線治療計画を臨床へ導入することです。

病院の大きな窓から臨む景色にはとても癒されます。海岸には波が穏やかに打ち寄せ、海面には太陽がきらきらと輝いています。スペイン・バルセロナのdel Mar病院は、海岸沿いに建っており、ヤシの木や広い砂浜、地中海など、ここから見える景色はまるで絵葉書のようです。

しかし、放射線腫瘍科部長のManuel Algara氏には、それを堪能する時間がありません。コロナウイルスによるパンデミックが発生して以来、コロナ患者の治療が優先され、多くの手術が延期されています。「コロナ禍にあっても、がん患者の治療を遅らせることはできません」と彼は言います。そこで、耳鼻咽喉科系の悪性腫瘍に対しては、通常の手術の代わりに、まず放射線治療を先行して行うことを検討しました。

Manuel Algara López uses automated organ contouring for treatment planning in radiation therapy,

「コロナ禍にあっても、がん患者の治療を遅らせるわけにはいかない」(Manuel Algara López 部長)

とはいえ、コロナウイルスの感染リスクを考えると、がん患者の通院は最低限に、また可能な限り短時間にとどめなければなりません。このような状況下では、放射線腫瘍科が従来から行ってきた、強力な寡分割放射線治療が有効であることがわかってきました。これは、腫瘍への1日あたりの照射量を増やすものの総線量は下げるという治療で、最終的には治療時間を短縮することができます。「寡分割放射線治療は、乳がん、前立腺がん、そして最近では肺がんに対して行われる、標準的な治療です」と、Algara氏は説明します。

放射線治療を計画するために、患者は通常、治療部位のCTスキャンを受けます。放射線治療チームは、このスキャン画像をもとに、腫瘍とその周囲の臓器の輪郭を定義します。放射線は腫瘍に対して、可能な限り高い線量を照射する必要があります。一方で周囲の臓器はOAR(リスク臓器)として、できる限り放射線から保護しなくてはなりません。「リスクのあるすべての臓器の輪郭を定義するのは時間と手間がかかりますが、非常に重要な作業です」とAlgara氏は言います。「高精度のCTスキャンを実施して腫瘍の輪郭を描出し、OARを定義することは、放射線治療計画と線量計算に不可欠であり、患者の回復を成功させる鍵となります」。

これが、Algara氏のチームが、Siemens HealthineersのCT装置「SOMATOM Confidence RT Pro」と画像解析ソリューション「syngo.via」に信頼を寄せる理由です。「これらのおかげで、Dual Energyによる高品質で正確なCT画像を得られます。ほとんどすべての頭頸部がんに対して行われる、造影剤を使ったスキャンの場合には特に効果的です」。

SOMATOM Confidence RT Pro

del Mar病院では、SOMATOM Confidence RT Proを、放射線治療計画用のスキャンに活用しています。

彼のチームはSiemens Healthineersと共同で、過去1年間、様々な腫瘍、特にdel Mar病院での放射線治療の約10%を占める頭頸部がんに対するDual Energy検査のテストを行ってきました。その結果は心強いものでした。" Dual Energyのおかげで、造影剤を使用してスキャンすると、以前よりもはるかに正確に腫瘍の境界を掴めるようになりました」とAlgara氏は述べています。つまり、SOMATOM Confidenceは高品質で、そして何よりも放射線治療患者一人ひとりに最適化した画像を提供できるのです。さらに、新しい画像再構成技術「DirectDensity」を併用することで線量分布計算の標準化も守られます。

「高精度のCT画像は、AIによるリスクのある臓器の輪郭描出と最適な線量計算のためのスタート地点です。」と、del Mar病院放射線腫瘍科の医学物理士医学物理学者であるEnric Fernández-Velilla氏は説明します。 彼は特に、Dual Energy Imagingによる精密ながん腫瘍の境界線の画像化と、肺がんに対する最新4Dシミュレーションを重視しています。

Algara氏とFernández-Velilla氏は、新しく強化されたソフトウェアが放射線治療の道を切り拓くと確信しています。AIベースのアルゴリズムを搭載したこのソフトウェアは、腫瘍の周囲のOARを自動的に認識、描出できるようになりました。最初のテストでチームは、複雑ながん腫瘍を抱える50人の患者にこの最新のソフトウェアを使用。その後、2人の医師が臓器の自動輪郭描出機能をチェックしました。

「90%以上の輪郭描画は、非常に満足のいくものでした」Algara氏は言います。肺、甲状腺、目の腫瘍では、その精度は特に高いものでした。心臓の輪郭描出精度は低かったのですが、ここで出番となるのがディープラーニングです。del Mar病院は、Siemens Healthineersと共同でこの研究を行っています。

Hospital del Mar is planning a study on automated organ contouring for treatment planning in radiation therapy.

最も精密な、腫瘍輪郭描画のための努力
(医学物理学者Enric Fernández-Velilla.氏)

現在、Siemens Healthineersと協力して、新しい腫瘍患者60人を対象とした2回目の試験研究が開始されています。対象は主に乳がん、肺がん、骨盤内がんの患者であり、画像処理ソフトウェアを用いてレトロスペクティブ及びプロスペクティブに各臓器の自動輪郭描出を行い、最大4人の医師がこのソフトウェアの結果がどれほど正確かを確認します。しかし、1つだけすでに明らかなことがあります。Algara氏は「標準化されたアルゴリズムは常に改善されており、経験豊富な放射線治療の専門家と同じ精度で、常に安定した結果が得られます。手動での輪郭定義は施術者によって精度が異なり、それが治療に影響を与えることがあります。しかし、ソフトウェアではそのようなことはありません」と述べています。

医学物理士のEnric Fernández-Velilla氏によれば、特にソフトウェアは、医師や技師よりもはるかに早く輪郭を描けるということです。平均して、患者一人あたり最大30分の時間短縮が想定されます。これは年間1,200人の腫瘍患者の治療とワークフローを最適化する上で、重要なポイントです。「この時間を、患者の診察や放射線治療の他の段階でのより精密な作業に使うことができます」とVelilla氏は語ります。この時間は研究にも使えます。Algara氏によると、放射線腫瘍科は医師6人、医学物理士3人、看護師2人、放射線療法士15人といった小規模でありながら、大規模病院の研究成果に匹敵する研究成果を上げており、隣接する国際的に有名なPompeu Fabra大学と密に連携していると言います。Siemens Healthineers はdel Mar 病院の継続的な研究と革新的な取り組みに感銘を受け、共同研究を依頼することになったのです。

著者:Manuel Meyer氏について

フリージャーナリスト。ドイツの医療新聞「Deutsche Ärztezeitung」、その他スペインのメディアで活動。