期待を凌駕する高性能な治療サポートシステム多目的活用も実現するARTIS icono D-Spin 
医療法人 医仁会 武田総合病院様

6室のSCUを有する医仁会武田総合病院の脳卒中センターでは、令和5 年9月に京都府下第1 号機となるインターベンションシステムARTIS icono D-Spinを導入。脳血管内治療のみならず、他領域でも有効に活用されています。導入の経緯、導入後の使用感や評価、今後の展望などについてお話をうかがいました。

医仁会武田総合病院様

|2024-04-09

川西 先生 現在7人の脳卒中専門医が診断・治療を担当しています。そのうち2人は脳血管内治療専門医、1人は脳血栓回収実施医ですので、開頭手術と血管内治療は同等に扱っています。時代の流れとして脳動脈瘤コイル塞栓術や頸動脈ステント留置術が主流となってはいますが、症状や病態によって最適な治療法を迅速に判断し、タイムラグなしに自己完結できるというところが当院の特徴といえるでしょう。(写真:川西 昌浩 先生)

FoH11武田総合病院川西先生

川西 先生 各医師がかなりの症例を蓄積しているため、全員でディスカッションしながら、あくまでもエビデンスに基づいた治療の提供を心がけています。開頭手術が適応だと思われる症例でも、患者さんやご家族が血管内治療を希望される場合は、丁寧に十分な説明を行った上で「どうしても」ということであれば、血管内治療で対応するようにしています。

山田先生 地域密着型の血管内治療を行っていますので、脳動脈瘤や、脳虚血疾患に対する血栓回収・血管形成術といった症例が多い傾向にあります。それらに対し、奇をてらった治療ではなく、標準的な治療を丁寧・確実に提供したいと考えています。

川上先生 放射線科としては、画像診断で体内の異常を見つけて病気を診断するだけでなく、その後の治療方針を決定する際に各科の担当の先生方に役立つような正確な臨床情報を画像から引き出し、提供するということを一番に考えています。IVR に関しては、肝細胞がんに対する肝動脈化学塞栓療法は減少傾向で、現状では透析シャント閉塞に対する血管形成術が中心となっています。
(写真 上:山田 誠先生、下:川上 光一 先生)

FoH11武田総合病院山田先生
FoH11武田総合病院川上先生

川西 先生 頭蓋内ステントまで視野に入れていたので、最高の画質を得られる装置が必要でした。いくつか候補に挙がっていたのですが、ARTIS icono D-Spin(以下ARTIS icono)はその中でも一番優れていました。脊椎領域や他科領域にも対応できるため、より高精度な診断・治療が可能になるという点からもARTIS iconoが最適であるという判断になりました。さらに、ARTIS iconoを設置した血管撮影室に高性能フィルタを配置して手術室と同等の空気清浄度を保てるようにしたことで、ハイブリッド治療室としての役目も果たしています。

山田 先生 ARTIS icono は脳虚血疾患に対して行える検査の幅が非常に広いのが決め手でした。使い勝手もとてもいい。当初は他施設の使用方法を参考にして、できるだけ標準的に使用していこうと考えていましたが、導入してみるとあまりにも高性能で多機能な装置だったため、「何か発信していかないといけないのでは」と思うようになりました。当院はSpine 治療が多いので、その領域にARTIS icono をどのように生かしていくか、ハイブリッド治療室での使い方や画像の設定値なども含めて検討し、提言していきたいと考えています。

東郷 技師 複数の技師によるローテーションでサポートしています。ARTIS icono になってからは操作室側からでも十分なサポートが可能になりましたので、まずは、先生方が見たいと思われる画像を、手技を邪魔せずに、遅延なくスムーズに提供することを心がけています。ロードマップに関しては、より積極的に介入してサポートしていきたいと考えています。(写真:東郷 祥大 技師)

FoH11武田総合病院東郷先生

川西 先生 3D撮影時にオイフをどのようにするかなど、運用面での細かい課題はありますが、ARTIS icono自体にはとても満足しています。とくに画像が高精細です。先日もAcomの未破裂動脈瘤の治療を行っていましたが、今まで見えなかった穿通枝が全部見えて、安心して治療を行うことができました。

山田 先生 DynaCT の画質もいいですね。自然な画像で綺麗です。操作性に関しては200 点です。とくにメモリー機能が秀逸で、ロードマップの位置情報やFD視野サイズを瞬時に前に戻してくれます。同じ画像を同じ条件で、同じ角度情報で残せるため、ゆくゆくは学術的にもクオリティの高い画像の残し方ができるのではないでしょうか。診断時や治療時のアンギオの時間短縮やそれに伴う被ばく線量の低減は群を抜いていると思います。ただし、ワークステーションは少し使い勝手が悪く感じます。まだ使いこなせていないというのもありますが、原画も含めた画像の解析がどこまで出せるかが課題です。

川上 先生 画面が大きくてとても見やすいです。リファレンス画像も大きく見ることができるため、非常にありがたいですね。画像のクオリティも十分です。

東郷 技師 ARTIS icono には多くの機能が搭載されていますが、まだ知識が追い付いていない段階です。早く使いこなしていきたいので、現在はいろいろと試行錯誤しているところです。また、ボタンやスイッチが多いという印象ですが、使い勝手はとてもいいと思います。画質も以前の装置に比べると格段に綺麗になっています。

川西 先生 さらにコンパクトになって設置性が向上すれば完璧ですね。また、矛盾する命題ではありますが、より一層被ばく線量を低減させながらも画質のクオリティを高めることを、今後も目指していってほしいと思います。

山田 先生 AI を活用すれば将来的には可能なのかと思いますが、リアルタイムでのカテーテル操作のナビゲーション実現でしょうか。ガイドが正確にしっかりとできるようになれば、より迅速で的確な診断・治療が可能になるのではないでしょうか。

東郷 技師 同じくAI を活用して患者さんの身長・体重から体型を計算し、FD が自動的に近づくようになってくれれば、より一層の被ばく低減につながると思います。


FoH11武田総合病院ARTIS icono D-Spinと先生方
  • 所在地:京都府伏見区石田森南町28‐1
  • 病床数:500床
  • 主なご導入装置:
    ARTIS icono D-Spin, MAGNETOM Skyra, ARCADIS Avantic, ARCADIS Orbic 3D, MOBILETT Plus HP
  • お話をおうかがいした先生
    脳卒中センター / 脳神経外科 副院長:川西 昌浩 先生
    脳卒中センター / 脳血管内治療部 部長:山田 誠 先生
    放射線科 主任部長:川上 光一 先生
    放射線科 主任:東郷 祥大 先生