立命館大学主催「異分野・異世代セミナー」に参加

立命館大学が2019年よりスタートした博士課程教育「超創人材育成プログラム」。
知力や技術力だけではなく、既存の枠を「超」えて新たな価値を「創」造できる人材の育成を目指したもので、今の社会に求められる能力を身につけるための様々なカリキュラムが準備されています。昨年(2022年)、私たちSiemens Healthineersは、教育支援活動の一環として本カリキュラムの一部である『異分野・異世代セミナー』に参加し、課題を提供しました。

2023-01-30

支援活動の流れ

学生の皆さんが地域・行政・企業が抱える課題解決のために議論、検討し、異なる分野や特長、思考を組み合わせることで、イノベーションを産み出す素養を身につけることを目的としたセミナーです。毎年新しい課題を提示し、学生たちが分野や世代を超えてその課題に約一カ月取り組み、検討した結果を発表する、という全8回のプログラムで構成されています。

今回、お題として私たちが出した課題は「抗原検査キットのマーケットシェア拡大」。
Siemens Healthineersでは初めての参入となる一般の消費者および企業を対象とする抗原検査キット市場において、新型コロナウイルスの感染状況により予測が大きく左右される難しい状況の中、抗原検査キットのマーケットシェア拡大に向けた最適な戦略の立案を課題として提示しました。また、参加した皆さんにはキットを使用した抗原検査を実施いただき、シンプルな操作方法で迅速に検査が行えることを体験いただきました。
その後、大学院生3名および立命館守山高等学校3年生43名が5つのグループに分かれ、約1ヶ月後の最終提案に向けて数回のグループワークが実施されました。

12月8日(木)、立命館大学 草津琵琶湖キャンパスにて各グループで検討した提案内容の発表会が行われました。少し緊張した面持ちの学生の皆さんと、発表をとても楽しみに待つ弊社からの参加者、そしてそれを見守る先生方と、総勢50名の様々な想いが入り交じる中、発表会がスタート。
抗原検査キットのマーケットシェア拡大」というお題に対して、2032年までのコロナ感染者数、および抗原検査キット市場規模の推移やそれらの予測モデルをベースにした成長戦略や活用すべきチャネルのアイデアなどについて、各グループより順番にプレゼンテーションが行われました。


各グループとも、限られた情報の中で市場予測を立て、より身近なところからニーズを発掘し、そこから出てきたアイデアを形にするまでにしっかりと議論・準備されたことが見て取れる発表内容でした。また、大胆な発想、工夫を凝らしたスライドやユーモアを交えながら会場を巻き込むなど、それぞれのグループの個性や強みが感じられ、そして何より学生の皆さんの熱い想いが強く伝わってきました。
最後に、今回の課題を提示したシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社DX 事業本部長の村田 大、本セミナーにアドバイザーとして参加されていた⽴命館⼤学客員教授(⾼エネルギー加速器研究機構 機構⻑補佐)の今井 寛 先⽣、および本セミナーを担当されている立命館大学スポーツ健康科学部 教授の家光 素行 先生より総評が述べられセミナーが終了。今後さらに飛躍するためのアドバイスに真剣に耳を傾け、これからの未来に目を輝かせる学生たちがとても印象的でした。

立命館大学主催人材育成プログラム
立命館大学主催人材育成プログラム
立命館大学主催人材育成プログラム
立命館大学主催人材育成プログラム

セミナーに参加した皆さんから寄せられた率直な感想コメント

  • 普段の授業では習えなかったことなので、貴重な経験になった
  • 企業からの提案に対して、高校生ならではの柔軟な視点で自分たちにしか出せないアイディアがたくさん出てきて、めちゃくちゃ楽しかった!
  • 感染状況など今まで漠然と見ていた情報を自分たちが実際に数値として扱ってみることで、今まで見えていなかった部分が見えてきて、新型コロナウイルスや抗原検査キットに対する認識が変わり、その変化がおもしろかった
  • 普段のグループワークとは違って、「企業への提案」というのが初めてだったので、どういう手順で進めたら良いのか?という点や、チームの人数も多く、まとめるのが難しかった
  • 感染者推移の予測が難しかった。曖昧なデータではなく、正確な数値を出すために、他に類似したウイルスやパターンを探るなど、さまざまな検証を行った
  • 現実的に可能なプランなのか、実際の社会でも通用するかどうか、というギャップを埋めるのが難しかった
  • 自分たちがおもしろいと思うことは、すでに前例があって、今までにない革新的なアイデアを出すことの難しさを学んだ。また、自分たちがやりたいことと、それが本当に求められていることなのか?という、現実社会での需要と供給のギャップを埋めるのが難しかった
  • 今なぜこんなことが起こっているのか?という現状の課題を分析するのが難しかった
立命館守山高等学校の皆さん

写真左から:立命館守山高校の神嶋なつきさん、吉田朔大さん、中堀有寿さん

立命館大学スポーツ健康科学研究科・博士課程前期:小野さん

写真:立命館大学スポーツ健康科学研究科博士課程前期課程の小野宗隆さん


その他、「見る人を惹きつけるスライド作りやメリハリをつけた効果的なプレゼンテーションといった『伝える力』が身に付いた。」「一見、非現実的に思えるアイデアでも、さまざまな角度から検証し、ブラッシュアップすることで現実的なプランになる可能性があるという新たな発見があった」など、高校生の皆さんから多くの前向きなコメントをいただきました。

また、「普段の研究の中で、分析したデータをどう社会に還元できるか?ということを考えているので、企業が実際に取り組んでいることに対して、それを発展させるために、どういう戦略を立てたら良いか。それをどう社会に発展させていけるか。ということを、既存のプロダクトやデータを使って検証できたことが非常に有意義でした。」といった大学院生からのコメントもあり、課題を提供した私たちも非常に嬉しく思います。


新型コロナウイルスの感染者数の推移予測や抗原検査キットの市場予測など、学生の皆さんにとっては少し難しい内容ではないかと懸念しましたが、各グループ様々な視点で課題解決に取り組み、しっかりとした議論や検討の跡がうかがえました。様々な視点からのデータ分析、そして会議室にいるだけでは決して生まれることのない独創的なアイデアや企業では思いもつかない大胆な発想など、私たち企業にとっても多くの学びや気付きを与えてくれる提案内容でした。今回のセミナーを通して、学生の皆さんが日ごろ馴染みのない課題でもその解決にむけて楽しみながらチャレンジし、価値観や視野を広げて成長していくことに、少しでも寄与できれば幸いです。

限られた時間の中、私たちの課題解決に向けて真摯に取り組んでいただいた皆さんに深く感謝を申し上げるとともに、ご協⼒いただきました⽴命館⼤学、⽴命館守⼭⾼等学校の先⽣⽅や職員の皆様⽅に改めてお礼申し上げます。

学生の皆さんからいただいた提案を活かし、「We pioneer breakthroughs in healthcare. For everyone. Everywhere. ヘルスケアを、その先へ。すべての人々へ。」というPurpose のもと、医療へのアクセスを向上させるために、今後も邁進してまいります。