地域包括ケア病棟・回復期リハ病棟から読み解く入院料機能分化シリーズ Vol.4


入院料の比較(2024年度改定)

地ケアと回リハの入院料点数の比較です。上半分、地ケアの点数は4本立てで、1~4に共通の施設基準に加えて、在宅復帰率と部屋面積が高いレベルのものが上位2本の入院料1と2です。上位、下位の2本それぞれについて、濃い色で示した実績部分をクリアすればより高いランクの1や3となるのですが、それは許可病床200床未満の病院に限られています。下半分の回リハの点数は5本ですが、入院料5は1~4で必要となる「実績」のない新規届出の施設が2年間のみ算定できるものです。共通の施設基準に加えて人員配置がより厚ければ上位の1、2の点数になります。1~4すべてに重症患者の割合、回復した患者の割合、自宅への退院率などの実績要件があり、さらにあとでお話しする「実績指数」によってより高い点数が設定されています。入院料に対する加算は地ケアが点数・種類とも多く、初期加算は点数に大きな幅があります。これはのちほどお話しします。出来高で算定できるもの、算定可能日数など、図の通りです。

今さら聞けない医療情報:入院料分化Vol4
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点数の変遷と改定ポイントの比較

地ケアと回リハの点数の変遷と、改定のポイントを比較のために並べてみました。点数はごらんのとおりで、どちらも徐々にあがりつつ、細分化してきています。地ケアは2014年に新設で、次の2016年には点数据え置きで手術麻酔が包括外となりました。
地ケアの改定のポイントを見ていくと、2016年には500床以上病院での届出を1病棟に制限、2018年に200床未満でないと高い点数をとれなくして、2020年には400床以上では新規届出を不可にするなど、病院規模に関する改定と、院内転棟患者の率の制限が2020年、2022年に、また在宅からの入院や緊急入院の実績要件を引き上げるなど、患者の流れに関する条件が増加・強化されてきています。いっぽう回リハでは、2020年改定でADLの改善の実績による評価が入り、診療報酬で初めてアウトカムが条件に入ったと話題になりましたが、その後もあとで紹介する「実績指数」など、実績に関する要件や、人員配置、管理体制など医療の質に関わる改定が続いています。重視するものが、地ケアは病院の規模や患者の流れ、回リハはリハビリの質や効果・実績、という違いが見えます。

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地域包括ケア病棟入院料 初期加算点数の変遷

地ケア病棟入院料の初期加算について、さきほど点数にずいぶん幅があるとお話ししましたが、その経年変化をご紹介します。2016年には1種類だけで150点だった「救急・在宅等支援病床初期加算」。それが2018年に一般病棟からの転棟(ポストアキュート)の場合は「急性期患者支援病床初期加算」の150点と、自宅や介護施設からの入院(サブアキュート)の場合の「在宅患者支援病床初期加算」の300点、の二つに分かれました。後者は点数倍増です。こちらに力を入れてほしい、というメッセージです。

図の上段の急性期患者支援病床初期加算のほうは、2022年に病院の規模が400床以上か未満かで二つに分かれ、400床未満のほうの点数を高くして、さらにそれぞれについて、他の病院からの転院を高い点数、院内転棟を低い点数としました。ポストアキュートについては、400床未満の病院で他の病院からの入棟を点数で最も優遇する形になりました。
図の下段の在宅患者支援病床初期加算については、2022年に点数を大幅アップし、その中でも老健からの受け入れの点数を高くしました。さらに2024年改定では、新設された「救急患者連携搬送料」を算定して高次救急病院から「下り搬送」された患者を受け入れた場合により高い点数がつく形になりました。サブアキュートについては、老健の入所者の救急搬送、中でもどこかの基幹病院に搬送され、軽症・中等症で転送されてきた場合に最も高い点数がつく、すなわちそのようなケースを優遇する、という点数設定になったわけです。

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回復期リハビリテーション病棟入院料 対象患者と算定日数・FIMと実績指数

回リハ病棟入院料の対象となる患者の状態と算定上限日数、施設基準におけるFIMと実績指数について、それぞれまとめたものです。対象となる疾患は脳血管系と整形外科系、廃用症候群、心臓血管系、に限られており、疾患によって算定上限日数もこのように決まっています。FIMは日本語では機能的自立度評価法と言い、〇〇ができる、できない、という評価項目が運動系で13項目、認知系で5項目あり、その得点が患者のADLの指標となります。このFIM得点が一定以下の(=ADLが悪い)患者が新規入棟患者に占める割合や、退院時に一定以上改善した患者の割合などが、入院料1~4の施設基準に含まれています。実績指数とは、FIMのうち運動項目の得点合計について、各患者の退棟時と入棟時の差、つまり何点改善したかを、その病棟の患者全体で合計したものを指数化したもので、この数字が一定期間連続して27を下回ると、1日6単位を超えるリハは入院料に包括となってしまう、また27以上であれば1日9単位までは出来高で算定できる、という形が2016年改定で導入され、診療報酬で初めての「アウトカム評価」として注目されました。また、実績指数35以上と40以上が、より高い入院料の要件になっています。

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