地域医療の将来を考え、進化する臨床検査Atellica Solution, Atellica 1500を活用した検査室の効率化

 

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住友別子病院 様

|2022-07-14
Atellica Solution導入事例:住友別子病院スタッフ

愛媛県新居浜市に位置する医療法人 住友別子病院。古くは住友家事業の従事者とその家族の診療を目的として開設され、現在は新居浜・西条医療圏の地域医療において欠かせない役割を担っています。2022年3月に免疫自動分析装置Atellica Solutionおよび全自動尿統合型分析システムAtellica 1500を導入され、検体検査業務の効率化を図っています。臨床検査部技師長の岡田 正則 先生、検体検査部門主任の菅原 美香 先生、白石 健起 先生、黒河 雅文 先生に住友別子病院の地域における役割とAtellica Solution、Atellica 1500のご評価についてお話をお伺いしました。

菅原 美香 主任技師
白石 健起 技師

岡田 技師長:医療法人住友別子病院は、1883年5月に住友家が経営する別子銅山の従業者を診療する施設として愛媛県で初めて設立を許可された病院です。その後、2009年には企業立病院から医療法人へと移行しました。地域の中核病院として地域貢献を果たすべく、2016年10月には新病院を開設し、救急機能の強化および地域がん診療拠点病院として医療機能の向上を図っています。360床の病床、31診療科、807名の病院スタッフを有し、毎日の外来患者数は約900人ほどになります。現在は特に救急医療にも力を入れており、年間の救急車の受け入れ台数は、約2,500件です。
(写真:岡田技師長)

Atellica Solution導入事例住友別子病院:岡田技師長

岡田 技師長:臨床検査部は臨床検査センターと病理診断科で構成されており、臨床検査技師26名(2022年4月)が配置されています。そのなかで検体検査部門は11名で運営を行っており、特に免疫検査業務は4名で担当しています。臨床検査部の目標は『専門職としての矜持をもち、臨床検査の質および効率のさらなる向上を目 指す。』であり、これのもとチーム一丸となり業務改善や精度向上に積極的に取り組んで、迅速かつ正確な検査結果を提供しています。なかでも特に次の3つの方針を重視して業務にあたっています。「正確精密な検査結果を迅速に報告」については、精度向上とTATの改善、「装置の性能・操作性の向上」については、業務フローの改善による作業効率化および人的資源の最大活用、「経費削減」については収支把握、採算性調査、試薬厳選や購入工夫、在庫管理の徹底などの推進、をそれぞれ具体的な取り組みとして注力しています。

人材育成としては、各スタッフが配属された部門における認定資格の取得に力を入れており、専門分野における知識、技術を磨いています。検査室外業務についても、積極的に取り組んでいます。午前枠で外来エコー1名、中央採血室1名、ドックエコー2名、ドック 心電図1名、ドック肺機能1名、ドック採血1名、ドック業務1名と合計8名を派出しています。

岡田 技師長:当検査部の機器導入に関する考え方は、精度を前提にしたうえでの採算性の重視です。当院が立地する新居 浜市は今後の人口減少が見えている地域ですので、将来的には入院患者も外来患者も減っていくことが想定されます。そのなかで安定した病院運営をしてくためには各部門のコスト削減、業務の効率化に対する努力が非常に大切になります。検査部は、多くの消耗品を使用して検査結果を臨床に届けています。そのためコストの削減は強みを発揮できる場所だと考えています。今回のような、検査部の分析装置の更新は収益性を再検討するとてもいい機会です。今回の免疫自動分析装置の更新では4社比較検討を行い、現場担当者が選定を行いました。

白石 技師:Atellica Solution導入の発端は、以前使用していた免疫自動分析装置 が更新時期になったことです。当院では1 日に約170検体の免疫検体を測定しており、以前は処理能力が1時間当たり200テストの分析装置を2台使用していました。選定に際して大きなポイントとなったのは測定時間の短縮と検体処理能力の向上でした。4社の分析装置でこれらのポイン トと採算性(機器費用、試薬消耗品ランニングコスト、保守費用)を詳細に検討し、最終的にAtellica SHサンプルハンドラー、 Atellica IM1600 2式を接続したAtellica Solution(SII)を選びました。時間当たり880テストと従来の2倍以上の処理能力を1台の分析装置として運用できるという利便性に加え、測定時間もBNPなど短い項目では10分とこれまでの1/3の時間で測定が可能になりました。(写真:白石技師)

Atellica Solution導入事例住友別子病院:白石技師

菅原 主任技師:当院では前述のように2台のAtellica IM1600を繋いだAtellica Solutionを導入しており、免疫検査項目16項目を搭載しています。ほとんどの項目の試薬は両方の分析装置に搭載していますが、検体数の少ないプロカルシトニン、高感度トロポニンIは1号機、シクロスポリンは2号機と片方の分析装置に搭載しています。(写真:菅原主任技師)

白石 技師:以前の分析装置を使用して いたころから、試薬ロスや運用コストを考 えオーダーの少ない項目については片方 の分析装置に試薬を搭載していました。 このときは、スタンドアローンで2台の分 析装置を運用していたので、検体を搭載する際に検査オーダーや測定状況によっ て、どちらの分析装置に搭載すべきか、担当者が判断しなくてはならなかったことが運用を煩雑にしていました。Atellica Solutionはサンプルハンドラーに検体を搭載すれば、依頼項目を認識し、依頼のある項目が測定でき、かつより早く結果報告できる分析装置へ自動で搬送するので、検体運用が非常にシンプルになりました。

菅原 主任技師:使い勝手という意味では、バーコードの面出しをしなくても検体を搭載するだけで測定を行うことができるという分析装置自体がヒューマンエラーが起こらない設計になっていることが、従来よりも簡単な運用を実現していると感じています。また、メンテンスも大きく簡素化されました。以前は、ルーチン帯にタイミングを見て2台の分析装置のメンテナンスを実施していましたが、Atellica Solutionでは、メン テナンスのスケジューリング機能を活用しています。1台は夜間に自動でメンテナン スを行うように設定しており、もう1台はルーチン帯にタイミングを見てメンテナンスをするといった柔軟な対応ができるようになりました。実際のメンテナンスも以前の機種では30分かかっていたのですが、Atellica Solutionはメンテナンス時間が20分に短縮されたうえに、メンテナンス自体もボタン一つで自動的に行われるので人手を取られることはありません。以前行っ ていた10Lの緩衝液の調整や緩衝液タンクの交換などの作業がなくなったのも大きな改善点です。

白石 技師:測定時間もほとんどの項目で短時間化され、前述の通り早い項目は以前使用した機種の1/3の時間で測定が完了するので、結果報告にかかる時間も非常に早くなったと実感しています。当検査部では基本的には生化学・免疫項目は1時間以内、急ぐものは30分以内を目標に結果報告をしているので、以前は再検査が発生すると、どうしても結果報告の遅延が発生していましたが、Atellica Solutionでは再検が発生しても迅速に結果報告ができるようになりました。

菅原 主任技師:オーバーレンジなどで再検査が発生した際にはLISから再検指示を行うことで、サンプルハンドラー内で保管された検体が自動で再検査に移るので、検体再投入などの介入が削減されたことも迅速な対応に繋がっていると思います。

白石 技師:設定した時間に自動的にコントロールを測定するオートQCもAtellica Solutionに特徴的な機能です。当院では免疫項目の精度管理に7種類のコントロールを使っています。生化学項目に比べて免疫項目は項目毎やカテゴリー毎の専用コントロールとなる傾向が高いので、測定が自動化されることで業務が効率化される割合が大きいと感じています。

菅原 主任技師:Atellica Solutionのオー トQCの運用は、コントロール保冷庫内での開封後有効期限やコントロールのロスを考えて運用しています。多くの項目は金曜日に翌週測定分を架設して、月曜日の朝からは、出勤時にはコントロールが測 定された状態にありますので、結果の確認から始めることができます。この際に、コントロールが外れていれば再測定やキャ リブレーションなどの対応を行います。以前は出勤してからコントロールの測定をしていましたので、全体的に朝の業務を30分前倒しにすることができました。コントロールの測定は早出勤務の技師が行っていましたので、午前中の業務が集中する時間帯での効率化はありがたいと感じています。

Atellica Solution導入事例住友別子病院:菅原先生

図1:住友別子病院のAtellica Solution(SII)導入による効果

Atellica Solution導入事例住友別子:図1グラフ
Atellica Solution導入事例:住友別子病院効果図

黒河 技師:当院では、尿定性は1日140件、尿沈渣は120件ほどの検査を実施しています。Atellica Solutionを導入したタイミングで、全自動尿統合分析装置Atellica 1500を導入しました。以前も尿定性と尿沈渣を接続した分析装置を使用しておりましたので、Atellica 1500を導入したあとも自動化の程度は変わっていないのですが、検査の運用は大きく変わりました。これまではフローサイトメトリー法の尿沈渣分析装置を使用していました。ある程度、情報は得られるのですが、より精度を高めるために、フローサイトメトリーの情報を参考としたうえ、全例目視鏡検を実施し検査結果を報告していました。Atellica 1500では撮像方式のため、数値情報だけでなく撮影された15枚の有形成分画像をモニタで確認することができます。そのため、モニタ上で検査結果を判断できるので、鏡検を行う割合は劇的に少なくなりました。どの程度少なくなるかはAtellica 1500の画像に慣れる必要がありますが、導入して3か月ほど経過した現時点でわたしは約1-2割、主任は毎日数枚だけ鏡検を行うといった頻度になってきています。また以前の分析装置では、濃尿や血尿などで濁っている場合はフローサイトメトリーでうまく測定できないことがあり、その分時間や手間がかかっておりました。Atellica 1500では、そのような検体も区別することなく架設可能となり業務が改善されました。尿定性部分についてもカートリッジ方式の試薬は湿気による試薬劣化への対策として有用だと思います。以前の尿定性分析装置は、ボトルから試験紙を投入するタイプでしたので、湿気で試験紙が変色してしまうこともあったのですが、そういった心配がなくなり、より安定したデータ報告ができると感じています。(写真:黒河技師)

Atellica Solution導入事例住友別子:黒河技師

図2:住友別子病院におけるAtellica1500導入前後の検査フローの変化

Atellica Solution導入事例住友別子:導入前尿検査フロー
Atellica Solution導入事例住友別子:導入後尿検査フロー

岡田 技師長 当検査部ではPCR検査を5台の装置(POCT式のものを3台、バッチ処理式のものを2台)により実施していましたが、現在はAtellica Solutionに搭載したSARS-CoV-2抗原定量検査に切り替えました。PCR検査は検査技師2名がつきっきりで検査を行っていたので、抗原定量検査への切替で大きな業務改善が実現できました。SARS-CoV-2抗原定量検査はデータも良好で、臨床的にも安心して活用できています。院内感染対策も大きな労力を割いています。COVID-19が蔓延した初期とは異なり、いかに院内に入れないかではなく、感染を院内で蔓延させないためにどうするか、と着眼点が変わってきています。間接的な影響ですが、検査材料の調達についても影響が出ています。採血管や検査試薬など様々な物品の調達が困難になってきています。常日頃から心がけているコスト削減とこのような非常事態での安定した物品の調達を両立するのも重要なポイントだと再認識しました。

岡田 技師長:タスクシフティングについては、当院のスタッフも100%の受講率を目指して講習を順番に受けています。病院から要望されている業務もあり、スタッフの人数や余力とのバランスを取りながら進めていくのに苦慮しています。その点は、Atellica SolutionやAtellica 1500のような新しい分析装置を導入し、従来業務の効率化を行うことで、地域医療において求められる新しい業務にも対応できるような土壌が形成されると考えています。これからも臨床検査技師として専門性を活かして臨床の現場で活躍して行きたいと思っています。

(取材日:2022年7月14日)

Atellica Solution 導入事例:住友別子病院外観
  • 所在地:愛媛県新居浜市王子町3番1号
  • 病床数:360床
  • お話をおうかがいした先生:
    臨床検査部:岡田 正則 技師長
    検体検査部門:菅原 美香 主任、白石 健起 技師、黒河 雅文 技師
  • 主なご導入装置:Atellica Solution, Atellica1500, CTK ADVANTUS, MOBILETT Plus HP, MOBILETT XP Hybrid 2台, SIREMOBIL Compact L, ARCADIS Varic Gen2, Cios Select, ACUSON Sequoia