患者中心の循環器医療の一翼を担う
臨床検査科の役割
Atellica Solutionが迅速な診療フローの構築にもたらす効果

 

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小田原循環器病院 様

|2022-06-09
Atellica Solution事例:小田原循環器の皆さま

神奈川県の西部に位置する医療法人邦友会小田原循環器病院は心疾患および腎疾患の予防から、診断・治療・運動療法にいたるまで一貫した医療を提供する専門病院として、地域社会に欠かせない役割を担っています。2021年1月に導入されましたAtellica IM1300(以下Atellica)の導入経緯や患者さんに寄り添った医療サービスを提供するにあたっての検査科の考え方、検体検査体制の構築などについて北村 誠 前技師長、小倉 麻美 技師長代行にお話をお伺いしました。

北村 誠 前技師長
小倉 麻美 技師長代行

北村 前技師長:当院は「地域社会に責任の持てる心のこもった医療を提供する」を理念とした、地域密着型の心疾患・腎疾患の専門病院です。一般病床90床、HCU 7床を有し、心疾患・腎疾患の予防、診断、治療だけでなく、もとの社会生活を取り戻し健康な方たちと同じように過ごせるように運動療法までのトータル医療を地元住民の方々に提供することを大きな目的としています。運動療法を実施している心臓リハビリテーションセンターは、病院の最上階にあり大きな窓に囲まれた解放的な空間です。晴れた日には富士山を眺めながらリハビリテーションを受けることができ、患者さんがポジティブな気分で治療に当たってもらえるよう病院のつくりも考えられており、患者さんに寄り添う医療サービスを大切にしています。(写真:北村 前技師長)

小倉 技師長代行:1日の外来患者数は200~300人ほどです。当医療法人はもともとこの地区に通院型の透析施設がなく困っていた患者さんたちのために開設された腎疾患治療のためのクリニックから始まりました。こちらは、現在でも小田原駅西口にて、新幹線クリニックと名前を変えて医療を提供しています。透析患者さんの合併症として多いのが心臓・血管系疾患です。これらの疾患の診断・治療を主軸として、開院されたのが当小田原循環器病院となります。その後、湯河原循環器クリニックを開院し、これらの3施設で連携を取り地域社会に根差した医療を提供しています。

Atellica Solution事例:小田原循環器北村先生

小倉 技師長代行:循環器専門病院の検査科ということもあり、心臓エコー、甲状腺エコーなどの超音波検査にも迅速に対応できるよう、パートタイマーを含め20名で運営し生理検査を充実させています。当院では24時間体制を敷いており、心腎疾患における二次救急指定を受けておりますので、検査科も2020年6月より当直体制を導入し、24時間、夜間の救急対応においても迅速な検査結果を提供できるよう体制を整えました。(写真:小倉 技師長代行)

北村 前技師長:検査科のモットーとして大切にしていることは、「スピード感」です。患者さんのもとに検査結果を提供しなければ、疾患を診断して適切な治療を進めていくことができません。特に当院のような循環器病院では、胸痛を感じて来院される患者さんが多くいらっしゃいます。検査は、診療フローの上流に位置しているので、少しでも早く結果を返すことで、患者さんは、より早く診察を受け、より早く診断され、より早く治療に進むことができます。わたしたちが臨床検査技師としてできることは、患者さんが不安や苦痛からできるだけ早く解放されるよう診察までの待ち時間を軽減することであると考えています。そのため、常に「スピード感」を意識して業務に当たっています。一つの工夫ですが、採血時間、検体到着時間および結果報告時間を表示した大型のモニターを検査科の出入り口の上部、検査室のどこからでも見える位置に掲示しています。採血室での検体滞留時間、検査科に検体が到着してから結果報告までの所要時間を常時モニタリングして、滞留時間や所要時間が設定した時間を超えると表示されるアラートにより、検査科の全員が気付くことができるシステムにしています。このように、検査工程において対応もれが起きないような仕組みづくりをしています。

小倉 技師長代行:生化学検査は1日平均100検体、免疫検査は1日平均 50検体ほどあり、その中の外来検体はほぼすべて診療前検査の依頼です。そのため、迅速な結果報告が求められます。当院では汎用生化学分析装置とAtellicaをそれぞれスタンドアローンで使用していますので、検体の載せ替えや分注で結果報告までの時間をロスしないように装置ごとに別の採血管を用いています。また、外来検体は、ほぼヘパリンやEDTA の血漿用採血管で検査をしています。そのため、採血管は、遠心分離が終わったらすぐにそれぞれ分析装置に搭載され測定に進みますので迅速な結果報告につながり、可能な限り患者さんへ結果をお届けする時間を短くできています。
検査は、大きく検体検査と生理検査に分かれますが、検査科の人員配置を明確に分けているわけではなく、全員が業務に対応できるような体制を構築しています。検査科に到着して放置されている検体があれば遠心機に搭載する、先ほどの説明にもありましたが、検査科の出入り口の上部にあるモニターで滞留時間を確認し、滞留している検体があれば、分析装置を確認するなど検査科スタッフ全員が即座に対応して患者さんの待ち時間短縮に努めています。検査工程の停滞に気づきを得られる仕組みと、採血管種の工夫を行うことで、迅速な結果報告ができる体制を構築しています。

北村 前技師長:次機種の選定に入ったのは分析装置の老朽化で機器更新の時期にきていたのがきっかけです。以前使用していた分析装置は、特に甲状腺項目の結果報告に時間がかかっていました。測定時間自体は30分ほどでしたが、検体が分析装置内で滞留し測定に入るまでに時間がかかり、そのため結果報告までに1時間ほど要してしまうことも頻繁にありました。臨床からの結果報告に関する問い合わせも多く発生しており、迅速性の向上を求めたというのがAtellicaを選択した最大の決め手です。患者さんは体調が悪くて受診されているので待ち時間の間も痛みを感じておられます、この待ち時間を軽減することは患者ケアの向上につながると考えています。Atellicaに更新して以降は、臨床の先生から検査結果の報告が早くなったというコメントも頂けて検査科として嬉しく思います。

小倉 技師長代行:当検査科のAtellicaで測定している項目は、心疾患に特化した項目(CKMB、高感度トロポニンI、BNP、NT-proBNP)や甲状腺3項目(TSH、FT3、FT4)などですが、測定時間がすべて15分以内、特に臨床からの結果問い合わせの多かった甲状腺項目の測定時間が14分というのは以前使用していた機種の半分の時間で結果が得られるのが魅力的でした(図)。病院全体が「スピード感」をもって対応に当たっているので、検査科としても迅速に結果を報告できる分析装置であることが機器選定をする上で重要なポイントでした。当院に導入したAetllicaは処理能力が1時間あたり220テストあるので、機器更新前の機種の1時間当たり100テストと比較して2倍以上になりました。そのため、検体のピーク時でも検体の滞留がなくなり、どの時間帯でも迅速な結果報告ができるようになりました(図)。

小倉 技師長代行:Atellica のシンプルな操作性はとても気に入っています。当検査科は、検体検査と生理検査の垣根を超えて全スタッフが検体検査の業務に携わりますので、誰でも簡単に操作できる分析装置はスタッフからも好評です。
また、測定中でも試薬の補充や洗浄液の交換が可能な点も便利ですし、二次元バーコードを読み取らせてセットするだけの洗浄液交換は慣れない者でも抵抗なくできています。慣れている者が、分析装置に注意を奪われることがなくなり柔軟な検査体制を構築できるようになりました。メンテナンスに関しても、わたしたちは操作画面をタッチするだけで分析装置が自動で実施してくれる内容がほとんどですので、メンテナンス作業にスタッフの手をかける必要がほとんどありません。試薬や洗浄液の交換、消耗品補充のタイミングを見計らうことなく、また分析装置の前にスタッフが拘束される時間を軽減できたことは、限られた人員で検査科を運営していく上で大変助かっています。

北村 前技師長:Atellica 導入前までは、当院では心疾患マーカーとしてBNPを採用しておりました。Atellica 採用時には、結果報告の迅速化を目的として導入したのですが、導入後に臨床からエンレストの投薬を背景として、NT-proBNP の院内測定要望がありました。当時は、BNPとNTproBNPを同時に測定できる機種はAtellica だけでしたので、結果的にはAtellicaを導入して臨床の要望に柔軟に応えることができたと思っています。当院では、通常の心機能評価にはBNP、エンレスト投薬患者さんの心機能評価については、NT-proBNPを用いています。検査室の設置スペースも限られていますので、1台で両方の心疾患マーカーを測定可能なAtellicaを選んでよかったと感じています。

Atellica Solution事例:小田原循環器 小倉先生

北村 前技師長:前述のように当院では、動悸が主訴で受診される患者さんが多く来院されます。この場合、バセドウ病との鑑別が意識されます。そのため、心疾患と甲状腺疾患を切り分けるために甲状腺項目のオーダーが同時に入ることが多くみられます。甲状腺項目の結果を初診の時点で報告することで、当日に甲状腺エコー検査までを実施することができ、診断が行われ治療に入ることもできます。後日再来院となるとその分患者さんの苦しみも長く続き、負担も大きくなります。このように、検査の現場だけでなくさらに視野を広げて診療フローも考えたうえで臨床検査技師として対応する必要があると考えています。そのため、循環器だけでなく甲状腺の測定時間も14分と速いAtellicaは患者ケアに非常に役立っています。採血室から検査科に検体が届くまでの所要時間は平均して3分、検体が検査科に到着してからの結果報告時間は、汎用自動分析装置を使用している生化学項目が平均27分、Atellicaで測定している免疫項目が平均25分とほぼ生化学検査と同じタイミングで報告することができています。導入したAtellicaは検体処理ユニットであるAtellica DLダイレクトローダーが分析装置Atellica IM1300に接続したタイプで、限られた設置スペースに綺麗に収まっています。以前使用していた分析装置より処理能力が上がり、出検のピークタイムでも、分析装置の中で検体が滞留することがないため、分析装置に先に搭載した検体の特定項目の結果が得られず不安になることもなく、今は臨床からの結果報告の問い合わせもありません(図)。

小倉 技師長代行:患者さんの待ち時間が大幅に軽減にされ診療効率も上がっているように思います。以前は検体が検査科に到着してから結果報告までに1時間以上要していたこともありますが、Atellica導入後は患者さんが来院されてから診察までに1時間かからないこともあります。早いときは30分ほどのときもあるくらいです。それでも、どうしても結果を待つ時間がない患者さんは別日に事前に検査にお越しいただくといった患者さんのご要望に応じて柔軟に対応する体制を整えています。

北村 前技師長:日本臨床衛生検査技師会では、検査の工程すべて(検査前工程・検査工程・検査後工程)を含め一貫して臨床検査技師が取り組む必要性を示し、職域拡大を推進しています。臨床検査室で検体を待ち、結果だけを返すという受け身の臨床検査技師から、検査説明・相談ができる臨床検査技師や鼻腔や表在からの検体採取ができる臨床検査技師など、検査工程すべてに責任をもち、患者さん中心のチーム医療の一端を担う能動的な臨床検査技師を目指す必要があると考えています。先般開催された日本医学検査学会で、2024年4月から臨床検査技師の病棟配置に対し保険点数の加算を検討されている話を伺いました。これまでは臨床検査技師は専門性を重視されてきましたが、他の職種からすると臨床検査技師が臨床検査に関わる最低限の能力を身に付けていることが当たり前のことだと認識されていることも忘れてはいけません。わたしたちとしてはこのような広い意味での検査全般について習得できている人材を育成していく体制を整える必要があると考えています。各医療スタッフの専門性を十分に活用しながら患者さんに寄り添った質の高い医療を提供するために、臨床検査技師として研鑽を積んでいくことが大切だと思います。

(取材日:2022年6月9日)

Atellica Solution事例:小田原循環器病院外観
  • 所在地:神奈川県小田原市矢作296-1
  • 病床数:97床
  • お話をおうかがいした先生:検査科 北村 誠 前技師長、小倉 麻美 技師長代行
  • 主なご導入装置:Atellica Solution (Di), ACUSON X300 Premium edition, ACUSON P500