地域の救急医療を支える臨床検査技師救急検査に適したAtellica Solutionの迅速検査

 

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名古屋掖済会病院 様

|2022-05-17
Atellica Solution 事例:名古屋掖済会検査室の皆さま

公益社団法人日本海員掖済会名古屋掖済会病院は、602床の病床を有し愛知県名古屋市に位置し、地域医療を支えています。特に地域の救急医療の最後の砦として、重要な役割を担っていることでも広く知られています。2021年8月にADVIA Centaur XPT(以下Centaur)からAtellica IM1300(以下Atellica)へと機器更新が行われました。中央検査部技師長の堀出剛 先生、技師長補佐の鈴木一光 先生、主任技師の岡本明紘 先生に地域における名古屋掖済会病院の役割とAtellicaの現段階でのご評価についてお話を伺いました。

堀出 剛 技師長
岡本 明紘 主任技師

堀出 技師長:当院は34の診療科を有する602床の総合病院です。1日あたり平均1367人(平成31年)の外来患者さんが来院されます。特長的な指定としては、DPC特定機能病院群、地域医療支援病院、愛知県がん診療拠点病院、災害拠点病院などが挙げられます。掖済会は非常に歴史が古く、明治13年に船員に対する支援を目的として設立されました。全国に8施設の病院を有しており、それぞれの病院が地域の主要な港近辺に立地しています。すべての施設に通じるのは “掖済の精神” です。“掖”という字は身体の腋(わき)に通じる言葉であって、掖済とは腋(わき)に手を添えて救い導くことを意味します。

各病院ごとに特色があるのですが、名古屋掖済会病院は特に救急医療に力を入れております。昭和53年5月、東海地方で最初の救命救急センターを設立しました。それ以来名古屋南西部の基幹病院として24時間365日の救急対応にあたっており、現在は年間1万台以上の救急車を受け入れています。新しい取り組みとしては、クラウドファンディングによりドクターカーの導入を試みています。幸いにも地域の皆さまから、多くの温かいご支援をいただき近く実現できると感じています。病院がドクターカーを導入し活用していくことで地域の救急医療に、よりプロアクティブな貢献をすることができると考えています。(写真:堀出 技師長)

Atellica Solution導入事例:名古屋掖済会病院 堀出技師長

堀出 技師長:中央検査部は非常勤職員を含めて53名で運営しています。当検査部では、2つの理念を大切にしており、1つは精度管理、1つは接遇です。精度管理に関して外形的には、各種精度管理に参加するだけではなく愛知県臨床検査技師会の精度管理事業を構成するメンバーとして、地域の精度管理にもオーナーシップをもって活動を行っています。私たちは患者さんから血液を採取する検査前工程も精度管理の一部ととらえています。最近ではタスクシフトとして話題の病棟採血ですが、当院では30年以上前から臨床検査技師の手で行っています。

鈴木 技師長補佐:多い時は臨床検査技師一人あたり10人ぐらいの病棟採血を行います。朝8時15分ごろから、20名ほどの臨床検査技師が病棟採血にあたりますが、採血依頼が多い時はそれでも10時近くまで時間がかかります。同じ時間帯に外来採血も検査部で受け持っているので、8時半から9時半の検査室内は必要最低限のスタッフで対応にあたっています。

堀出 技師長:中央検査部の採血室では、午前中だけで300名以上訪れる外来患者さんの採血を、私たち臨床検査技師がメインで担当しています。採血業務を通して、いろんな場面で患者さんと接する機会が多く、接遇もたいへん重要になってきます。私達は精度の高い検査データを提供することと、ご来院いただいた患者さんに気持ち良く検査を受けていただけるように接遇面を充実させることの2つを柱に取り組んでいます。そのような目標のなかで、接遇とは、患者様及び患者家族への理解や気配り、心遣いに留まらず、検査技術の研鑚を重ね精度の高い検査データを迅速に報告することも接遇のひとつと考えています。

鈴木 技師長補佐:生化学免疫の検体数は1日あたり約500本です。この件数の80~90%は、診療前検査の依頼になります。当院における検体検査の結果報告時間ですが、救命救急センターの生化学検査は30分以内、一般外来の生化学検査は60分以内、免疫検査は90分以内といったルールで運用しています。免疫検査に関しても90分とは言っていますが、実際は機器の進化や検体前処理装置の導入により、レンジオーバーや再検査が発生する場合以外は、ほぼ生化学と変わらず60分以内の報告ができています。

鈴木 技師長補佐:臨床検査技師が救命救急センターの業務に本格的に携わったのは、2006年に新しく救命救急センターが建て替わった際の要望として、臨床検査技師への参画依頼があったのがきっかけです。救命救急センターには血液ガス、血糖、心電図などの迅速性を必要とする最小限の検査機器が設置してあります。臨床検査技師の業務としては、これらの分析装置の操作だけではなく、必要な採血管への分注、オーダーを確認してバーコードを貼付してエアシューターで検査部に送るなどの支援業務を実施しています。

堀出 技師長:救命救急センターに臨床検査技師がいる価値は、単に検査を行うことだけではなく、部門間のコミュニケーションを円滑にすることが大きな目的です。患者さんを目の当たりにしているので、胸痛があれば心筋マーカーが必要だとか、交通外傷で多量の出血があれば輸血の準備が必要だとか先を読んだ動きができます。また、検査値に関しても臨床検査技師がその場にいて患者さんの状態を確認できているので、データの読み方に迷って対応に遅れが生じることが少なくなります。

鈴木 技師長補佐:救命救急の現場は極限の状況のもとで緊急対応をしているので、臨床検査技師が常駐するまでは検体不良や検体の名前が異なる、採血の不備などがあり、それに由来する問い合わせの電話が非常に多く発生していました。臨床検査技師が常駐することで、そのようなミスや問い合わせは、かなり減りました。加えて、救命救急センターは様々な職種が協働する場なので、臨床検査技師が中に入り込むことで、検査部の意図を組んでもらえるようになりましたし、救命の場で何を考えているのかということが検査部としても理解ができ、相互理解が深まったと思います。救急医療に力を入れている特性上、休日・夜間の時間外もルーチン帯とほぼ同じ検査を実施できるように検査体制を整えています。

岡本 主任技師:当院では、エキサイネットという医療情報連携システムを構築し、地域医療における医療連携を支えています。電子カルテ端末は通常院内でしか参照できないのですが、エキサイネットはWeb型医療情報連携システムであり、登録している医療機関と紹介患者さんの患者情報を相互参照することを可能として紹介・逆紹介を円滑に行うことに貢献しています。

堀出 技師長:加えて、診療所の先生が、当院のCTやMRIなどの検査予約もエキサイネット経由で重なうことができる地域密着型のシステムです。このエキサイネットは臨床検査技師の資格を有するスタッフが中心となって、情報管理センターを立ち上げ構築しました。

Atellica Solution事例:名古屋掖済会 岡本主任技師

堀出 技師長:当院では、24時間365日救命救急センターの対応が必要という特性上、とにかく迅速性が重要です。迅速性というのは、ただ早く結果を返すだけではなく、装置がノントラブルで安定して稼働できることも重要だと考えています。以前はCentaurを採用していたのですが、メンテナンスにかなり時間がかかっていたのが救急医療体制を維持するにあたり不満なポイントでした。

岡本 主任技師:以前は毎日のメンテナンスで70分から80分ほど検査を止めてしまっていたので、検体の少ない午後のタイミングで救命救急センターの状況を見て、心筋マーカーの測定が必要かどうか状況を慎重に把握しながらメンテナンスを実施していました。

鈴木 技師長補佐:臨床医も装置の流路洗浄に時間が必要だということは理解してくれるのですが、メンテナンスに必要な洗浄液の不足などがあった際には、もう一度最初からメンテナンスを実施しなければならず、検査体制に大きな影響を与えてしまうのが問題でした。

堀出 技師長:一方でCentaurを導入してから、まだ4年半ほどしか経過していなかったので、機器の更新には早い時期でした。そんななかSiemens Healthineersから機器賃貸プログラムのEMP(Equipment Management Program)によるAtellica導入の提案をうけ、結果報告のさらなる迅速化とメンテナンス時間の削減、装置の安定稼働による救急医療体制の充実を目的に導入に踏み切りました。また、EMPには保守費用も含まれているので、装置の定期点検や修理対応に関して得られる安心感も導入を決めた判断材料の1つになりました。

堀出 技師長:導入の狙いは無事達成されました。Atellicaの導入は当院が愛知県における初号機ということもあり、思い切った決断でしたが、導入してよかったと思っています。

岡本 主任技師:メンテナンスに関しても改善した点が非常に大きいです。メンテナンス時間が短くなっただけでなく、緊急の検体が来た場合は、メンテナンスを中断し、測定に移ったとしても、中断したところからメンテナンスを再開することができるので、非常に融通が利く分析装置になっていると思います。また、当院で採用している循環器項目は測定時間が10分と、これまでのCentaurの18分に比べても40%以上短くなっており、非常に短時間で結果が出るので、メンテナンスを中断してから測定を始めても臨床の求めるスピードで検査結果を報告できるようになりました。メンテナンス途中で消耗品がなくなってしまった場合にも中断した箇所からメンテナンスを再スタートできることも非常に助かっています。

堀出 技師長:Atellicaを導入してから結果報告に関する診療科からの問い合わせは皆無になりました。さらに、Siemens Healthineersのサービス対応を高く評価しています。24時間の時間外保守契約があるメーカーは多いですが、修理訪問に関しては翌営業日に訪問という対応をされるメーカーも多いなか、夜中でもサービスエンジニアがかけつけ、復旧対応を行ってくれるので万が一のトラブル時も非常に安心です。

鈴木 技師長補佐:当院では、これまでディメンション Vista, Centaur CP, Centaur XPTとSiemens Healthineersの免疫分析装置を使用してきましたが、Atellicaはなかでも非常に完成度の高い分析装置だと思っています。測定の迅速化が進んだだけでなく、装置の安定性が非常に高く常に安心して使用できることを高く評価しています。データに関していえば前の機種のCentaurのころから非常に精度高く安定しているので、その安定したデータがAtellicaでも継承されていることを実感しています。なおかつ測定時間がより一層早まり、生化学検査とほぼ同じスピードで結果報告ができているので、臨床医もいい意味で驚いているかと思います。

堀出 技師長:非常に完成度の高い分析装置ですが、欲を言えば100Vで動くようになるとさらに利便性が増すかと考えています。当院は災害拠点病院です。名古屋港から比較的近い場所に位置しており、南海トラフ地震の被害想定によれば浸水地域にあります。来るべき災害時に病院機能を維持するためには、災害発生時を見越して体制を整えておく必要があると考えています。

鈴木 技師長補佐:そういう意味では災害対策用分析装置としてディメンションEXL 200(以下Dimension)を導入していますが、こちらはキャスターで動き、100Vで駆動するので非常に重宝しています。災害時には水の使用も制限されますので、Dimensionのような水の使用量が少ない分析装置は有用です。Atellicaも機能を維持したまま、100Vでコンパクトになるとさらに汎用性の高い分析装置になるのかと思います。

堀出 技師長:当院は24時間365日 救急患者を受け入れており、時間外業務においては、自分の担当部門だけではなく網羅的なスキルが求められます。新入職員は約1年弱をかけてすべての部門を担当してもらうようにしています。各部門の細かなマニュアル、チェックシートがあり、検査の解釈ができるかどうか、などの習熟度の確認を行っています。

鈴木 技師長補佐:時間外業務を一人でできるようになるために、1年かけて研修を行うという目的で実施しています。すべての検査を詳細に研修するというわけではなく、時間外の業務で求められる領域、そこまでの緊急性が求められない領域といった具合に各分野で濃淡をつけて実施しています。

堀出 技師長:病院の統合に合わせて地域の検査センターのような役割が基幹病院には求められるようになるのか、と考えています。また、AI技術の発達により臨床検査技師は要らなくなるのではというような声もありますが、私は全くそうは思っていません。臨床検査技師は非常に守備範囲の広い専門職であるというのが大きな特徴であります。そもそも一口に臨床検査技師といっても、検体分析、細胞診などの形態、遺伝子、システム管理、生理機能など活躍の場は無限大に広がっています。現在の病院の中においても臨床検査技師は、どの分野においても必要とされる立ち位置にあり、医療だけでなく機械やシステムに関する幅広い知識が様々な分野で役立てられると思います。当院においても検査部から情報管理センターや臨床工学部門など様々な部署へと活躍の場を広げていった人材がいます。臨床検査技師の守備範囲の広さから今後も活躍の場が発展的に広がっていくと私は考えています。

(取材日:2022年5月17日)

Atellica Solution導入事例名古屋掖済会病院外観
  • 所在地:愛知県名古屋市中川区松年町4-6
  • 病床数:602床
  • お話をおうかがいした先生:中央検査部 堀出剛 技師長、鈴木一光 技師長補佐、岡本明紘 主任技師
  • 主なご導入装置:
    Atellica Solution (Di), ディメンションEXL 200, SIREMOBIL Compact L, Rapid Point 500, Rapid Comm