"専門"という壁を越えた円滑な検体検査室運営とは免疫生化学統合分析装置Atellica Solutionが実現するシンプルな検査体制

 

|

森之宮病院 様

|2022-01-18
Atellica Solutionを導入事例:森之宮病院検査室の皆さま

社会医療法人大道会 森之宮病院は、大阪府大阪市城東区、大阪城の東側に立地し、355床を有しています。大阪府の中心部で地域医療において欠かせない役割を果たす森之宮病院は、業務の自動化による検査の効率化を期待して、2019年11月免疫生化学統合分析装置Atellica Solution(以下Atellica)(ScI)を導入されました。これまでの活用例に加え、2年を経た現在のご評価を弘中大作 検査科長、阿部明裕美 技師にお伺いしました。

阿部 明裕美 主任
弘中 大作 検査科長

弘中 科長:当院は一般病床159床、回復期リハビリテーション病床151床、地域包括ケア病床45床の合わせて355床を有する地域密着型の病院です。病床の届け出からも見ていただけるように、特に急性期医療と脳卒中の回復期リハビリテーションに力を入れており、地域からも信頼されている施設だと自負しています。また、24時間、1次~2次の救急患者を受け入れています。検査もそれに合わせて、24時間緊急の検査依頼に対応できるよう体制を整えて取り組んでいます。

弘中 科長:当院の特徴として、検体検査と生理検査が部門として分かれており、検査科は検体検査のみを取り扱っています。12名のスタッフで検体検査を実施しており、免疫・生化学検査、血液検査、一般検査、輸血検査、各種用手法検査を担当しています。細菌検査や病理検査は外注しています。規模感としては、免疫・生化学検査の依頼が月間で約2,500件といったところですが、最近ですとCOVID-19の蔓延の背景もあり、抗原検査、PCR検査といった新型コロナ関連検査も院内で実施しています。

検査科の方針としては、常に職場環境を改善していき、働きやすい職場を構築することを目指しています。私も含めたスタッフ同士が、きちんとしたコミュニケーションを取り円滑に結果を出していくことが重要だと考えています。検査科の職務に関していえば、検体検査における専門分野の壁をなくし全体でローテーションを組むことで、風通しのいい組織運営をしています。これは、当院で実施している検体検査業務のすべてにおいて、全員が高いレベルで対応できることが重要だと考えているためです。組織の運用資源について考えるときに、「ヒト・モノ・カネ」といったように分類して考えることがあります。このなかでヒトの力を大きくしていくためには、人材育成が欠かせません。たとえばAtellicaのような分析装置で運用が改善され、自主的な自己研鑽に充てられる時間が増えれば、検査科全体としてもさらに生産性がよくなっていくのではないかと考えています。(写真:弘中 検査科長)

Atellica Solution導入事例:森之宮病院弘中検査科長

弘中 科長:当院では、Atellica の前は他社の分析装置を使用しており、免疫と生化学がそれぞれ独立したスタンドアローンの分析装置でした。Atellicaの選定を進めた理由としては、自動化機能により運用コストが削減できるのではないかという狙いでした。私自身、他の施設に勤めていた際に、ディメンションシリーズを使用していたことがあり、Siemens Healthineersの生化学自動分析装置のイメージはありましたが、生化学検査と免疫検査の統合機がどのようなものなのか、想像がつきませんでした。最初にSiemens Healthineersの担当者からAtellicaの映像を見せていただき、オートQC機能、スケジューラー機能を有したオートメンテナンス、マグラインによる検体搬送システムなど、これまでの分析装置とは異なる近未来的な印象を持ちました。展示会で実機を見ながら説明をきき、そして実際に運用されている導入施設へも見学に行きました。そのうえで、信頼に足る分析装置であるというイメージが具体化し、Atellica(CH930 1台、IM1600 1台を連結したScI)の導入に至りました。

弘中 科長:検体検査業務としては、精度はもちろんのこと、患者さんに結果を迅速に報告することが重要だと考えています。免疫生化学検査では1時間以内、多くは40分以内で報告をしたいと考えています。分析装置の進化によって、検査結果の待ち時間がどんどん短くなってきました。

阿部 技師:全体的に結果報告時間が早くなったと思います。特に腫瘍マーカーの測定時間が非常に早くなったと感じており、短時間化されているだけでなく、全体的に報告時間のばらつきが減っています。これはAtellicaを導入した結果、各検査項目の測定時間が短くなったことだけでなく、検体一本一本の運用が効率化されている効果であると考えています。

阿部 技師:オートQC機能が非常に便利だと感じています。当院では、病棟検体が午前6時に検査室に届きます。これまでの運用では当直者が午前4時から、QC試料を測定し、そのデータを確認したうえで病棟検体の測定に着手していました。オートQCを活用することで、自動でQC試料の測定ができるようになったので、検体測定が始まるまでに行う作業がQC結果の確認、必要に応じての再測定やキャリブレーションをするだけになったので、夜間当直者にかかる負担が大きく減りました。加えて負担軽減になっているのは、試薬や消耗品の補充交換がいつでもできることです。これまでは、検体の出検数が緩やかになる午後2時から4時の間に、試薬交換やメンテナンスを実施していました。Atellicaの場合は、試薬消耗品交換やキャリブレーション作業が、装置稼働中でも可能なので、主に担当者が出勤時に翌日の使用分を見越して試薬を追加するなどの作業ができています。時間に余裕があるので、作業を当直者へ引き継ぐことがなくなり定時で帰れるようになりました。(写真:阿部 技師)

弘中 科長:慣れている担当者はルーチン検査に対応しながら試薬を入れてキャリブレーションをするなど、どんどんスキルが上がっていっています。検査の実施と同時にこれらの作業ができるので、業務の密度が上がっていると感じます。これまでの機種ではメンテナンスのために夕方の時間を使っていましたが、今後はこの時間を勉強時間にあてたり、委員会への参画などより一層検査室外の業務へも携わっていくことができると思います。

阿部 技師:当院では若い技師が多いので、Atellicaが装置の操作に詳しい技師でなくても使いやすく設計されている点もいいと思います。検体架設箇所のドロワーを引く、検体を入れる、ドロワーを閉める。スタートボタンを押す必要すらなく、これだけで測定が行われるので、機器の操作に慣れていない新人技師でも安心して検査を実施することができます。以前はターンテーブル方式の生化学分析装置を使っていたのですが、そちらは検体プローブがむき出しになっていたので、慣れてない技師が検査を行うと検体プローブに手があたってしまい、プローブが折れてしまうなどということが1年に数回ありました。Atellicaの場合は新しく入職してきた1年目の検査技師にも「とりあえずこのドロワーに検体を入れて測定をしてみて。間違えてもエラー扱いのポジションに帰ってくるから大丈夫だよ(図)」と伝えることができているので、片時も目を離さなくてはいけないような状況がほとんどなくなったことが大きいです。エラー検体が返ってくるポジションも事前に設定しているので、装置のモニター上は勿論、外から見てそこに検体が返ってきていれば、なんらかのエラーがあったということが一目でわかるのも有難いです。

弘中 科長:検体の搭載に関していえば、55本ラックというのが特徴的でいいと思います。従来の分析機の5本ラックや6本ラックなどと異なり、ラック自体が安定して自立しているので、安心して検体の扱いができます。ラックからロボットアームで検体を移送したあと、検体バーコードを360度から読み取るので、装置にセットする際のバーコードの面出しをしなくてよくなった、というのも誰でも使いやすいという評価に寄与していると思います。

阿部 技師:Atellica の自動仕分け機能も便利です。分析後の検体の返却ポジションを血清検体、血漿検体、尿検体、エラー検体、キャリブレータ、QC試料で分けています。サンプルハンドラーに検体種別ごとに分かれて返却されてくるので、冷蔵庫で検体を保管する際の検体仕分けでも手間が省かれています。(図)
再検査に関しても手がかからなくなりました。陽性やレンジオーバーしたような検体は、初検であれば再遠心して再検査を行っています。一方で、連携施設の情報や前回値から、陽性や高値が予想されるものは、再検や希釈再検のオーダーをLISから指示して行っています。Atellicaでは分析後の検体をサンプルハンドラーで保持しておけば、LISからの指示のみで再検処理ができるので再検が必要な検体を探す手間も省け効率的な検査ができていると感じます。(図)
また、Atellica のオートメンテナンスはとても魅力的だったので、導入当時はメンテナンスの自動化を考えていました。実際に運用してみると、当院ではAtellica 1式で24時間の検査体制を敷いているので、決まった時間のメンテナンスで装置が使えなくなるよりも検体の出方の多寡を見て、救急外来とコミュニケーションを取り毎日違う時間に担当者が判断してメンテナンスを実施するといった方法が当院にあっていると考えています。

弘中 科長:Atellicaは、これまでは人が実施していたQC試料の測定や分析前に実施する工程、分析後に実施する仕分けなどの工程を装置が自動で実施するので、装置の扱いを短期間で習得できます。こういった点も、仕切りがなく、メンバー全員で検体検査に対応する当院に合っていると感じています。

Atellica Solution導入事例:森之宮病院阿部検査技師

弘中 科長:当院の検査科では検体検査のみを担当としておりますので、検体検査について広く知識を持ってもらうことが重要であると考えています。2カ月おきに機器担当のローテーションを組んでおり、管理責任者として機器のメンテナンスだけでなく試薬在庫管理、メーカーさんとの対応業務、気づいたことがあれば他のメンバーへの情報共有を任せています。メンバー全員が主体性を持って業務に取り組み、また検体検査業務に広く習熟できるような環境を構築しています。

阿部 技師:全員がジェネラルに検体検査業務に習熟しているので、たとえばある装置でメンテナンス業務が長引いてしまった際や、翌日の準備などが長引いてしまいそうになった時も当直者に引き継ぐことで、定時を超えて業務することが防げていると思います。

弘中 科長:まず、検査の自動化はさらに進んでいくのだろうと思います。私自身30年ちかく検体検査に携わっていますが、昔は当院ぐらいの規模の施設でも生化学検査だけで3人の臨床検査技師が業務にあたっていましたし、電子カルテのようなものもなかったので紙伝票で検査の依頼、結果報告をしていました。それがいまでは、検査の機械化が進み、自動化され、情報はデジタル化されるといった波がどんどん押し寄せていることを肌で感じます。また、COVID-19で注目されましたが、遺伝子検査もさらに多くの領域で発展し、コンパニオン診断も普及していくのだろうと感じています。激しい変化の波の中で、対応し乗り切っていくためにも臨床検査技師として研鑽を積んでいくことが大切だと考えています。

(取材日:2022年1月18日)

みたき総合病院
  • 所在地:大阪府大阪市城東区森之宮2丁目1-88
  • 病床数:355床
  • お話をおうかがいした先生:弘中 大作 検査科長、阿部 明裕美 臨床検査技師
  • 主なご導入装置:Atellica Solution(ScI), SOMATOM go.Top, teamplay