東京都心に位置するJR東京総合病院は急性期から回復期リハビリ、地域包括ケアと地域医療において中核的な役割を果たしています。今回は、2019年3月にAtellica Solution(以下Atellica)を導入してから約2年が経過した同病院を訪ね、選定時の検討、現在のご評価、コロナ禍における新規検査業務の拡充、検査室外業務の推進について、
土田 一樹 技師長、舩山 英明 副技師長、大野 順司 副主任、小野寺 涼 技師にお話を伺いました。
当院では外来迅速加算を算定するために必要になるのが内分泌の項目ですので、そこが早くなったのは非常にありがたいと感じます。外来迅速加算に含まれる消化器系の項目は、当院では継続的にフォローしている患者さんが多く、次回来院時に検査結果を伝えるため、やはり内分泌検査の速さのインパクトが強いですね。
Atellicaが導入され項目を集約できたので検体投入に関するルールがシンプルになり、誰もが検体投入することができ、生化学免疫の担当者は結果の確認、承認の業務に集中できるようになりました。結果が出ていても未承認で報告が遅れてしまうといったことがなくなりました。
図1-1:検討条件
図1-2:結果報告時間の比較
図1-3:各検査項目のTAT
土田 技師長:COVID-19はかなり早い段階で装置の申請ができ、2020年の5、6月ぐらいにはPCR検査の装置を導入し、2021年9月末までにはトータルで20,000件ほど実施しています。全国的にもPCR検査のニーズが高まり、技師を募ってもなかなか技師の供給が追い付かない状況でした。そこでAtellicaの導入により余力が創出された生化学免疫のメンバーを中心にPCR検査の拡充に対応できたのは非常に良かったです。人員面で考えると、数年前の検査体制ではPCR検査を実施するのはなかなか厳しかったと思います。現在は万が一検査科でクラスターが発生した時のリスクを考え、ある程度、部門をまたがって対応したほうがいいという考えを持っており、私も含めて6名の技師が持ち回りで担当しています。
小野寺 技師:PCR検査は現在1日に2バッチかけるルールになっていて、朝11時に締め切りの第1便と、15時に締め切りの第2便があります。第1便は15時までに、第2便は19時までに結果を報告するといった感じです。1回で最大96テストあると3時間ぐらいかかります。検体検査はPCR検査にスタッフを派遣している時は1名減で対応しています。生化学免疫も多い時で3人いるのですが、そのうち1人は採血と兼務、1人は耳鼻科と兼務しています。Atellica導入による効率化によって、PCR検査体制の確立を円滑に進めることができました。
大野 主任:PCR 以外のところで言うと、COVID-19でKL-6の依頼が増えました。それをAtellicaに載せて測定できるようになったので結果が早く出るようになり、臨床から喜ばれています。
舩山 副技師長:耳鼻科関係の検査業務サポートが特徴的かもしれません。聴力検査(毎日)とめまいの検査(週2日)、新生児の聴力検査(週2日)などをサポートしています。新生児の検査は生理検査部門の技師にも手伝ってもらっています。めまいの検査はさまざまなプロセスがあり、患者さん1人の検査をドクター含めて3人で行い、2-3時間かかります。11時からスタートして、2人目の患者さんの検査が終わるのが17時過ぎぐらいになるので、ほぼかかりっきりになりますね。最近は、耳鼻科の顔面神経の手術にも立ち会うようになりました。顔面神経に触れるとストレスがかかり聴力が落ちるため、手術中は聴力を測定し術中モニタリングをします。聴力が落ちてくると、その神経への処置は一旦中断します。10-15分ほど待っていると、聴力が戻ってくるので手術再開の判断の補助になります。他のスタッフにもこのような経験をしてほしいと思っています。
その他に現在は耳鼻科の業務をもっと増やせないかと検討しています。例えば、現在当院ではインフルエンザ検査のスワブによる検体採取も医師が行っています。ですので、診療のフローは先生が患者さんから検体を採取して、検査にかけ検査結果が出て、その後診察するといった形です。呼吸器も耳鼻科もインフルエンザの流行時期は外来の同じ場所で検体を採取して、結果だけ持っていくようなシンプルなフローにできないか考えています。もちろん、検査だけではなく看護師や医師と一緒に手伝ってもらいながら、より良い形を模索していけたらな、と思っています。個人的にはできることはまだまだあると感じています。
土田 技師長:現在は、どのメーカーも装置の質が上がってきていると感じています。装置の信頼性が低い時代は、どの領域にもスペシャリストが配置され、データのチェックをしていくというのが当然でした。現在は時代が変わってきており、自分の仕事以外にも幅広く対応できる能力が求められてきているように感じています。当検査科では、全員が自分の専門業務以外でも2つか3つぐらいの業務をこなせるようになってきています。例えば、生理機能のエコー検査を担当しながら一般の受付や採血の対応をします。バックボーンをしっかりと持ちつつ、専門以外の業務も幅広く対応できるようにしたいと思います。そういった臨床検査技師をどんどん増やすことで、検査科としてもより高いパフォーマンスが出していけると感じています。
舩山 副技師長:普段から検査室の外に出て医師や看護師と話していると、今以上に臨床検査技師に対応できることはたくさんあり、看護師の方たちからも期待されていると感じることがあります。そういうこともあって私自身、外来に積極的に行くようにしていますが、日々の会話からヒントが得られることも多いです。検体についての疑問など検査に関わることで力になれることも多くあり、日ごろからのコミュニケーションで自然とやれることが見つかってきます。検査科の多くのスタッフに、臨床の場での更なる活躍に期待をしています。
(取材日:2021年11月4日)
- 所在地:東京都渋谷区代々木2-1-3
- 病床数:425床
- 取材にご協力いただいた先生:
臨床検査科 土田 一樹 技師長、舩山 英明 副技師長、大野 順司 主任、小野寺 涼 技師 - 主なご導入装置:Atellica Solution (Sccl, Scl), ADVIA2120i (x2)






