検査効率化と高品質な臨床検査の提供Aptio AutomationとAtellica Solution の導入効果

 

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獨協医科大学病院 様

|2021-11-15
Atellica Solution導入事例:獨協医科大学

獨協医科大学病院は、大学医学教育の場として研修を充実させ、高度な専門知識と技術を備えた医師を養成するとともに、最新医療や設備を積極的に取り入れ高度な医療を提供する「特定機能病院」です。2020年4月現在、31の診療科、23のセンターが稼働しており、栃木県内のみならず北関東圏の医療機関とも連携して地域医療の拠点としての役割を担っています。その一員として同院臨床検査センターは診療支援やチーム医療への参加など付加価値のある臨床検査センターを目指し、日々業務改善に取り組んでいます。その取り組みにおいて、さらなる患者サービスの向上と高品質な検査結果の迅速報告を実現するためには、ワークフロー改善によるリソースの見直しが不可欠であったためシステムの大幅な見直しが行われました。そこで今回、臨床検査センターの菱沼 昭教授、堀内 裕次技師長、池田 眞由美副技師長、田中 光昭副技師長、今野 幸浩主任、白石 一正主任に、新システム導入の経緯と成果、課題についてお話をうかがいました。

田中 光昭 副技師長
白石 一正 主任

菱沼 教授:臨床検査センターの目標は、正確な検査結果を迅速に診療科に報告することに尽きます。当臨床検査センターは2017年1月27日にISO15189(認定番号 RML01190)に認定されました。高品質な検査結果を報告できる臨床検査センターとして国際的に認証を受けたわけですが、単にそれだけでは臨床検査センターとしての機能を十分に発揮しているとは言えません。さらなる品質の向上はもちろん、専門性をもった検査技師の教育、チーム医療への参加、診療支援にも注力し、付加価値のある臨床検査センターを目指しています。また当臨床検査センターは、臨床検査医学のみならず感染制御も担っている点が特徴です。そして今後は遺伝子診断のサポート体制を整えるなど、さらなる診療科への貢献を計画しています。(写真:菱沼 教授)

Atellica Solution導入事例:獨協医大 菱沼教授

菱沼 教授:上述の目標を達成するためには人的リソースを確保する必要があり、そのためにはワークフロー見直しによる業務効率化が必須です。その有力な解決策の1つが検査の自動化であり、これを実現するために新たなシステムの導入が必要だと考えました。

堀内 技師長:新たに導入するからには、当臨床検査センターの理念や品質管理目標の条件を満たしたうえで、ワークフロー改善による業務効率化および有効な人員配置が実現し、診療支援および患者サービス向上に貢献できるシステムでなくてはなりません。さらに、当臨床検査センターの場合はISO15189の認定事項を順守する必要があります。これらの条件を満たすことができるのは、検体搬送処理システムAptio Automation(以下Aptio)と免疫生化学統合分析装置Atellica Solution(以下Atellica)であると期待し、導入を決定しました。(写真:堀内 技師長)

Atellica Solutin導入事例:獨協医大 堀内技師長

田中 副技師長:Aptioは生化学分析装置、免疫分析装置、凝固分析装置が接続され、分析前の開栓、分析装置への投入と排出、分析後の閉栓、冷蔵保管、再検時の排出と再開栓、保管期間経過後の廃棄までを自動化しています(図2)。各分析装置はData Management System(以下DMS)を介して接続されており、DMSに通信障害が生じた場合は、LISとAptioが直結される仕組みにカスタマイズされています。また、従来は搬送ラインに接続されていなかった凝固分析装置を組み込むことで、自動化の範囲を拡大することができました。

今野 主任:Atellica導入前は、生化学分析装置を4台、免疫分析装置を5台使用していましたが、これらをAtellica Solution(生化学分析装置2ユニットと免疫分析装置1ユニットの連結)3 台に集約(図3)。
(写真:今野 主任)

堀内 技師長:検査数の日内変動は、病棟が朝6~7時の間、外来は8時からの採血開始によって発生します。当院は都市近郊にあるため、ご家族のかたなどが朝の出勤前に患者さんを車でいっせいに送ってきますので、どうしても8時半から9時半の間に採血がピークとなり、その時間帯には300人ほどの患者さんが採血室に集中することになります。検査結果を迅速に診療科に提出するために、ピーク時に対応できる処理能力をもったシステムの構築を行いました。

Atellica Solution導入事例:獨協医大 今野主任

当臨床検査センター品質管理目標

  1. 高品質な臨床検査を保証
  2. 臨床検査従事者の技術向上
  3. 病院利用者へのサービス向上
  4. 医療安全管理の継続
  5. 臨床検査の情報提供
  6. 健全な業務環境
Atellica Solution導入事例:獨協医大レイアウト

図2:新システム構成

Atellica Solution導入事例:獨協医大装置集約イメージ

図3:分析装置の集約

田中 副技師長:Aptioの導入は2020年10月ですが、ちょうどCOVID-19の流行に伴うPCR検査数が激増する時期と重なってしまいました。病院の方針として「必要な検査は院内で完結する」という目標を与えられていましたし、このような緊急事態に対処するために計画されていたシステムですから、今ではむしろグッドタイミングだったと思っています。システムの入れ替えはルーチン検査を止めないことを最優先に、土日などを活用し段階的に導入を行いました。

池田 副技師長:これまで生化学検査用と免疫検査用の2本に分けていた採血管を、今回の更新時に1本に統一し、またアルミキャップ採血管からオーバーキャップ採血管に変更しました。当初は慣れないオーバーキャップ採血管に対して採血担当者から不安視する声も寄せられましたが、変更検討会議にてコスト面も含めた導入メリットの説明を継続的に行うことで、比較的円滑に統一化ができました。以前のアルミキャップ採血管については救命救急やICU部門から採血後の血液漏れによる感染リスクがあると聞いていたのですが、統一化した後はそのようなことはなくなったようです。(写真:池田 副技師長)

堀内 技師長:AptioとAtellicaは同時期の導入を予定していましたが、COVID-19の影響で、Aptioの搬入が3ヵ月ほど遅れました。しかしながら、このピンチをチャンスに変えることができました。つまりこの期間を、システムダウン時にAtellicaがスタンドアロンになった場合の対応方法など、現場とSiemens Healthineersとの間で入念な打ち合わせの時間に使えたのです。また、当臨床検査センターとして大規模なシステム更新はこれが3回目であり、過去2回の入れ替えの経験をもとに、いずれもルーチン検査業務を止めることなく完遂できました。なお、生化学は専用試薬なので試薬検討が短縮できました。ISO15189で重視されている検査結果の精度保証という観点において、試薬性能の妥当性確認は重要なのですが非常に時間を要します。それが、専用試薬は既にメーカーで妥当性確認が実施されているので、当臨床検査センターでは必要最低限の検討事項である同時再現性と相関性の確認だけですみました。その短縮した時間でISO15189に必要な標準作業手順書(SOP)の改訂も期限内に完了することができ、専用試薬のメリットを感じました。

Atellica Solution導入事例:獨協医大 池田副技師長

堀内 技師長:これまで別採血であった生化学検査と免疫検査を1本の採血管に統合したこと、また分析前の分注を廃止し測定に親検体を用いる運用に変更したことで、測定に必要な検体量を減少させることができました。このことは患者サービスの向上につながったと考えています。

田中 副技師長:測定後の検体が冷蔵保管モジュールに自動搬送され、その後、保管期間を経過した検体が自動で廃棄されることが最も大きな効果だと思います。その結果、保管用の冷蔵室に運び入れる手間と廃棄の手間が削減され、確実にスタッフ1人を担当業務から解放することができました。さらに、検体保存用の冷蔵庫が不要になったため、ISO15189に求められる試薬管理のスペースを活用することができました。今回の業務の効率化により人員配置の見直しが可能になり、検診センターにおける生理機能検査、小児科から要請があった心電図検査、埼玉医療センターへ技師の移動など、検査スタッフに多様な活躍の場を提供できるようになりました(図4)。

池田 副技師長:機会は多くはないですが、何らかのトラブルが生じた場合は測定日時、使用した試薬および消耗品のロット番号、キャリブレーション時期などの詳細データを調べ、是正処置を実施する必要があります。Aellicaはこれらがすべて記録されますので、トラブル時の原因解明速度が向上しました。ISO15189の観点からこのように検査結果のトレーサビリティが担保されることは有用だと考えます。

今野 主任:生化学分析装置の試薬の補充・廃棄が簡略化しました。以前は装置を止めて作業していたのでその時間が非常にロスとなっていました。また、生化学試薬はバーコード管理ではなかったので置き間違いなどのミスがないよう注意を払って作業をしていました。その点Atellicaはノンストップで試薬補充・廃棄が可能となり、専用試薬によるバーコード管理になったので、時間のロスが減り利便性も向上したと感じます。さらに、Atellicaの自動メンテナンス機能も非常に良い機能だと思います。以前は日中に担当者がメンテナンスを実施していましたが、Atellicaではスケジュール機能によって夜間のメンテナンスも可能となりました。これらの機能により装置に携わる担当者の数を6人から3人に減らすことができました(図5)。

白石 主任:オートQC 機能を高く評価しています。あらかじめ設定した日時に自動的に精度管理試料を測定してくれるので、精度管理に取られていた時間を他の業務に充てることができるようになりました。また精度管理試料はバーコードで管理されるので置き間違いがありません。ISO15189の検査結果の品質の確保という観点からも有用な機能であると考えます。また、以前は免疫検査が生化学検査の後に測定される構成であったため、搬送ライン上で測定待ちが発生していました。今回のシステム導入で測定待ちが解消され、免疫検査の結果報告にかかる時間が短縮されました。細かいことになりますが、全血検体でHbA1c を測定できるようになったことも特筆すべき点です。以前のHbA1cの遠心処理にかかっていた時間を削減できたことも報告時間短縮の要因となっています。

Atellica Solution導入事例:獨協医大人員再配置

図4:新システム導入に関する人員配置と診療支援

Atellica Solution導入事例:獨協医大導入前後比較

図5:従来機とのメンテナンス、QCスケジュール比較

菱沼 教授:現在、採血室と当臨床検査センターの間には距離があり検体の運搬に時間を要しています。近い将来、この2つの場所を隣接させ、さらに結果報告時間を短くしたいと考えています。

白石 主任:生化学項目において、外部精度管理で他メーカーと大きな測定値差はみられませんが気になる項目もいくつかあります。今以上に測定値の互換性が向上することを期待しています。

今野 主任:今後予定されているバージョンアップを通しさらなる安定化を期待します。また内部精度管理をLISではなくAtellicaの機能を活用してできないか模索しています。

堀内 技師長:メーカーには今よりもさらに充実したトレーニングやユーザー会を開催していただき、システムの習熟度を上げていきたいですね。今後、当臨床検査センターは遺伝子検査に注力することを計画しています。そのために新システムを活用してさらなる業務効率化を進め、新たな体制を構築したいと考えています。

(取材日:2021年11月15日)

  • 所在地:栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880
  • 病床数:1,195床
  • お話をおうかがいした先生:
    菱沼 昭 教授、堀内裕次 技師長、池田眞由美 副技師長、田中光昭 副技師長、今野幸浩 主任、白石一正  主任
  • 主なご導入装置:Aptio Automation, Atellica Solution (Atellica CH930/Atellica IM1600), SOMATOM Drive, 
    SOMATOM Definition Flash, MAGNETOM Prismafit, MAGNETOM Skyra, MAGNETOM Aera, Biograph Horizon, Biograph mCT, Artis Q, Artis zee i, MAMMOMAT Inspiration, MOBILETT XP Hybrid, MOBILETT Mira Max, Cios Fusion, Cios Select, ACUSON SC2000, ACUSON Freestyle, syngo.via