臨床検査技師のさらなる飛躍のための検査業務改革免疫生化学統合分析装置Atellica Solutionによる検査業務の効率化

 

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浅ノ川総合病院 様

|2021-09-01
Atellica Solution導入事例:浅ノ川総合病院の皆さま

医療法人社団浅ノ川 浅ノ川総合病院は、石川県金沢市において5病院1施設、合わせて2,000床を有する病院グループである医療法人社団浅ノ川の基幹病院(499床)として金沢市北部の地域医療において中心的な役割を果たしています。2021年4月に導入したAtellica Solution(以下Atellica)の活用状況、地域医療における検査部の果たす役割について、駒井啓吾 事務長、元地進 検査部長代理、佐藤雄亮 技師、松井杏沙佳 技師にお話を伺いました。

駒井 事務長:浅ノ川総合病院は20の診療科と14の診療センターをもち、850名のスタッフで毎日540名の外来患者さんの診療にあたっています。救急から在宅まで地域を守り支える病院をめざすことを病院理念としており、地域の中核病院として選ばれ、ぬくもりのある病院でいなければならないと考えています。特に力を入れているのは、救急医療、がん医療、地域連携の三つの柱です。このほかにも民間病院で唯一、てんかん地域診療拠点機関の指定をうけるなどしております。近年は、急性期から在宅まで切れ目のない対応が求められており、関連施設との連携がますます重要になってきています。当院が定期的に主催する施設間の交流会を通じて、当院の役割や特徴の周知、新任の医師や導入機器の紹介を行って施設間の連携を深めています。(写真:駒井 事務長)

Atellica Solution導入事例浅ノ川総合病院:駒井事務長

元地 検査部長代理:検査部全体としては21名のスタッフがおり、検体検査のフロアは一般検査を入れて5人体制で運営しています。通常は6人なのですが、1人は現在産休を取っています。完全に縦割りで業務をしているというわけではなく、必要に応じて部門間でサポートしあう体制を作って柔軟に対応しています。検査部の方針としては、知識と技術の習得、思いやりのある優しい接遇、24時間の迅速検査体制、安全性の担保の4点を意識しています。特に当院では救急検査に力を入れている背景もあり、生化学検査は、先々代の技師長の時代から30分以内での結果報告を一つの目標として迅速検査に力を入れています。(写真:元地 検査部長代理)

Atellica Solution事例浅ノ川病院:元地部長代理

駒井 事務長:採算は当然考えます。一方で、昔のように検体検査だけで利益を上げられる時代でないのも事実です。ですので、地域における当院の役割に合致するかをしっかり見極め、医師や技師の意見を勘案して導入を検討します。患者さんや診療を行う医師の立場を考えて、「有意義であれば、マイナス採算でなければ導入を進める」というのが基本的な考え方です。まったく採算を考えないわけではないですが、その機器が院内にあることで、医師や患者さんのためになり、結果として当院を選択してくれる患者さんが増えればよいと考えています。当院では、創設以来アジア初、日本初、中部初、北陸初などの新しい機器を導入してきました。革新的な装置を率先して導入していくことも当院の伝統です。Atellicaも例外ではありません。Atellicaの導入に関しては、COVID-19の蔓延が背景にありました。受診控えによる外来患者の減少、それに伴う入院患者の減少、COVID-19の対応があり、このような状況下での増収策、コストダウン策を病院全体で検討しました。その中で真っ先に浮かんだのがAtellicaの導入です。コストの削減と技師の作業時間の捻出(早出削減、精度管理の自動化など)を狙いとしていました。わたしが検査部長だった時代に初回の厚労省の検体採取講習会を、スタッフ全員で受講しました。過去にインフルエンザの検体採取を検査部で行おうと考えた際は、「検体採取は医師・看護師の領域」との認識が強く実現できないでいましたので、今回のCOVID-19の検体採取はぜひ検査部がその役割を果たしたいとの思いがありました。そのための時間と余力の創出にAtellicaが役立つと考えました。

元地 検査部長代理:選定の際には他社の統合機も見たのですが、オートQCができる統合機はAtellicaだけだったのが一つの決め手になりました。当直者は検査部全体でローテーションなので、生化学免疫の分野に詳しいスタッフばかりが対応できるとは限りません。そのような状況でオートQCを活用して、装置にQC試料の管理を任せれば、当直時でもルーチン下と同じ条件で精度管理が可能になると考えました。あとは1本検体搬送も魅力的でした。優先的に測定したいSTAT検体がある場合、通常検体を搭載したキャリアがバックしてSTAT検体が先に処理される、こうしたキャリアの双方向の動きで個別に検体をコントロールできるのは迅速性を重視している当院の検査部の方向性に合っているかと思いました。

元地 検査部長代理:使い勝手は当初想定した通りでした。Atellica を導入してから産休者が2名出たにもかかわらず、それでも問題なく業務をまわせているのがAtellica の効果の一つだと感じています。昨今は、臨時の職員を募集してもなかなか採用することも難しくなってきているので、業務の効率化が活きた例だと感じています。生化学免疫担当者の早出を30分遅らせることができたことも大きいと感じています。当院は降雪地域にあるため、特に冬期は、午前中の30分の余裕は、出勤時の安全面でも大きな安心だと考えています。

佐藤 技師:生化学の運用が大幅に改善しました。当院では、検体数の多い生化学検査は1日に3回精度管理を実施しています(図1)。この測定業務が自動化されることは非常にインパクトがありました。また、これまでは汎用生化学自動分析装置を使用しており、メンテナンスや試薬補充などで測定ができない時間が発生することから、メイン機とサブ機に分けて検体の多い朝のピーク時は2台運用、それ以外は1台運用としていました。Atellica の導入で、試薬管理(試薬搭載、キャリブレーション、ロット管理など)、コントロール測定、メンテナンスなどの業務が改善され、メンテナンス時間を除けば、24時間2台体制での生化学検査ができるようになりました。(写真:佐藤 技師)

松井 技師:試薬をいつでも補充できるのもいいですね。当院では免疫分野ではCentaur XPTを使っていたので、試薬消耗品をいつでも補充できるメリットを感じていたのですが、それが生化学でも実現できるようになったので非常に運用しやすく感じています。

佐藤 技師:これまで使用していた汎用の生化学試薬ではR-1試薬とR-2試薬の減り方が異なる項目は、間違えないように注意しながら足りない方の試薬を補充していました。加えて試薬搭載時は、測定を5~6分間停止しなければなりませんでした。精度保証の面では、R-1試薬とR-2試薬のロットの組み合わせにも注意を払い、試薬交換時は必ずブランクキャリブレーションをし、項目によっては交換時に毎回キャリブレーションを実施したうえで、コントロール測定をして使用していました。今回Atellicaでは専用試薬になったので、試薬の性能がしっかりと担保されているうえ、測定中でも試薬交換ができるようになりました。それぞれの試薬ごとに適したキャリブレーション間隔が設定されているので、これまで実施していた毎朝のブランクキャリブレーション作業を削減できたことも大きなポイントです。いつでもボトルを搭載し、そのまま使用することができるので、運用が非常にシンプルになり、精度保証の面でも安心感が増したと感じています。

松井 技師:どんどんメンテナンスが簡便化されていく点もいいと感じています。当院では先々代の免疫分析装置は、Centaur XPを使用していました。Centaur XP からXPT になったときにボトル交換が必要な月次クリーニングがなくなって利便性が上がったと感じていましたが、Atellica になり、さらに自動洗浄の時間が短くなり、進化して便利になっていっていると感じます。

佐藤 技師:生化学もメンテナンスの大幅な自動化が進みました。これまでは洗浄液を自分で調製して、補充していたのが、Atellica の場合は洗浄液のボトルをそのままセットするだけでよくなりました。人が行わなくてはならないメンテナンス作業が大幅に軽減されました。

Atellica Solution事例浅ノ川病院:佐藤技師

松井 技師:正直、結果報告の時間についてはそこまで早くなったとは感じていないです。というのも、Atellica 導入前から、生化学は30分以内での結果報告を目標にしているため、もともとかなり早く結果を返すように心がけていたこともあるかと思います。一方で、検体搬送部であるマグラインによる検体の取り回しが凄く速いな、と感動しています。当院では現在、免疫はAtellicaを含めて3台、生化学はAtellicaの1台(生化学モジュールCH の2台連結)を使用しており、迅速な結果報告をするために、装置の検体載せ替えの手間やサンプリングの順番待ちを考慮して、装置ごとに別採血を行っています。Atellicaでは、マグラインの検体の取り回しの速さから、生化学検査と免疫検査で共通の検体を用いることにしました。通常の統合機ではラック渋滞が発生し、サンプリングまで時間がかかってしまうことがあると思いますが、Atellicaは素早い1本検体搬送のおかげでラック渋滞がなく、統合機なのに個々の分析機の処理能力を100%発揮できていると感じます。また、1本検体搬送であるがゆえに何らかのエラーがある検体についてはすぐに戻ってきて、検体を確認することができます。以前はラック方式の生化学分析装置を使っていたので、ラックの最初の検体でエラーが出ると、最後の検体のサンプリングが終わるまで検体を確認することや、次の工程へ進めることができなかったので、はらはらすることも多かったです。(写真:松井 技師)

佐藤 技師:これまでも検体前希釈方式の分析機を使用していたので、検体離れは悪くはなかったのですが、前の機種では30μLを5倍希釈して使用していました。Atellicaになってからは最初に50μLを5倍希釈して用いるので、親検体からのサンプリング回数が少なくなったと思います。これも検体離れの向上に寄与していると思います。

松井 技師:当院では透析も行っており、100本ぐらいの検体を透析の前後で一気に測定します。約100本の検体が一気に順番待ちをしますので、その間に依頼が来た外来検体にはSTATラックを使って優先処理をさせています。1本検体搬送なので、外来の検体を割り込ませて、サンプリング待ちの最初にもっていってくれるので報告が遅れることもありません。外来が最優先なので、そうした優先順位づけが誰でも簡単にできるのがありがたいです。

Atellica Solution事例浅ノ川病院:松井技師

駒井 事務長:石川県で初めての患者が2020年2月に見つかりました。検査部としては極めて早期から院内検査に取り組み、4月上旬から院内でLAMP法を実施、短時間に院内でNATを実施できたことが大きいです。検査部では検体採取についても早期から積極的に関与し、病院全体から絶大な評価をうけています。2年前に近隣の小学校で発生したはしかへの対応、昨年は大雪の対応に見舞われましたが、このような事態に全職員で対処してきた経験から、院内では職種を超えた非常時のチームワークが醸成されてきたかと思います。これらの経験を経て、今回の世界的なCOVID-19の蔓延でしたので、ある程度災害に対する経験値が高い中で臨機応変に対応できたかと思います。たとえば、近隣の老健施設でクラスターが発生した際に、当院の検査技師や看護師でチームを作って老健施設へ訪問し入居者さんたちの検体採取を行いました。行政の方からも施設の方からも非常に喜ばれました。この非常事態の初動対応に率先して貢献できたことを、誇りに思っています。

元地 部長代理:現在も検査部として、検査の実施はもちろん、術前および入院前の鼻咽頭での検体採取を行っています。検体採取は10人ぐらいで対応しています。

駒井 事務長:病院の理念を理解し、検査技師が患者さんのQOL向上にどのように貢献できるのかを自分で考え、行動していく、そのような形があるべき姿ではないかと考えています。多職種連携・協働と言われてそれなりに年数が経過していますが、いまだに検査技師の存在は薄いように感じています。大げさに言えば、加算がついていなくても検査技師が協働参加することで、医療の質を高めることができ、患者さんの健康や治療の成果に資することが多くなり、のちに加算が認められるというようなことを絵に描いた先駆的な活動も必要だと考えています。検査結果や検査機器に対する知識が豊富なので、看護師など他の職種からも頼りにされることも多いかと思います。臨床検査技師には素晴らしい人材がたくさんいると感じています。Atellica導入により生み出された時間を有効活用し、検査技師として培った能力を検査室の外でも発揮し、ぜひ活躍の場を広げていってもらいたいと考えています。

Atellica Solution 事例:浅ノ川病院外観
  • 所在地:石川県金沢市小坂町中83番地
  • 病床数:499床
  • お話をおうかがいした先生:駒井啓吾 事務長、元地進 検査部長代理、佐藤雄亮 技師、松井杏沙佳 技師
  • 主なご導入装置:Atellica Solution(SccI), Atellica 1500, ADViA 2120i, Rapid Point 500, MAGNETOM Sola, MOBILETT Plus E, SIREMOBIL Compact L, UROSKOP Omnia, ARCADIS Orbic Gen2