地域完結型医療を支える検査室運営搬送を脱却し、自動開栓装置Decapper付きAtellica Solution を活用した効率化

 

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荒尾市立有明医療センター 様

|2026-03-16
Atellica Solution導入事例:荒尾市立有明

熊本県荒尾市に位置する荒尾市立有明医療センター。荒尾市唯一の急性期医療でありながら、熊本県と福岡県の境目に位置しています。2023年8月に「限られた検査スペースで人が動きやすく、より効率化を実現」することを狙いに自動開栓装置 Decapper付きの生化学免疫自動分析装置Atellica Solutionを導入されました。

検査科の西田 志保 技師長、藤原 大也 技師、城門 輝美 技師、高野 愛 技師から荒尾市立有明医療センター様における臨床検査部の役割に加え、導入後のAtellica Solution(以下Atellica)の評価についてお話を伺いました。

西田 志保 技師長
藤原 大也 技師

西田 技師長:長当院は一昨年の10月に病院の名称を有明医療センターに改名しました。また、駐車場の完備が整う10月に再オープンを計画しています。当院は荒尾市で唯一の急性期医療であり、熊本県と福岡県の境目に位置しています。有明海に面していることもあり、山あり海ありという環境です。当院の理念は患者中心で地域住民の健康の維持・増進に努め、患者中心の安全で質の高い医療の提供です。また、地域で発生した病気は地域で治す「地域完結型医療」を目指しております。その他にも、がん拠点病院や脳卒中の拠点病院、心疾患拠点病院、糖尿病や精神病の認定病院としても機能しており、365日24時間体制で医療に従事しています。その中で多くの検査を担う検査部が果たす役割は大きいと思っています。

検査科は26名で構成されています。今後、当院は全室個室になり、駐車場が完成すれば患者数が増えることが予想されていますので、現在そこに向けて検査部の余力を蓄えています。

西田 技師長:求められる業務が多く、複雑化、多様化していますので、それらに柔軟に対応していくために、「機械がやる部分」と「人がやる部分」というのが大きく分かれてくるので、業務量が増えた中で限られた人員で検査業務をこなしていくことに頭を悩ませています。特に荒尾市は高齢化の波があります。その中で自動受付や自動採血機といった自動化が進むと、「冷たいサービス」と患者様が感じる懸念があります。自動化により、人は削減されますが、患者様にとってはそれが本当のサービスかを考えると、やはり自動化では測りしれないところ、そこに一人立つことによって「ここの病院にきてよかったな」と思ってもらえる。そこに私たちの存在意義があると思っています。その為、機器に任せられることは機器に任せようという方針を掲げています。また、検査室外の業務拡充として技師たちのニーズに応えられるように、今後はAtellica により余力が生まれたリソースで採血業務や検査説明業務を検査部で担う方針で運営をしています。

限られたスペースで人が動きやすく、より効率化を実現できる装置を導入したいと考えていました。以前は搬送システムで運用していましたが、ワークフローの複雑化という難点があり、スペースとコストの最適化を考慮すると搬送システムを脱却することが必要だと考えました。また、2台体制のミラー運用をとり、動きやすい検査室の構築や精度管理やメンテナンス業務、試薬交換業務といったマニュアルで実施している作業を自動化できる機械というのも導入の選定基準にしていました。そういった中で今回導入した自動開栓装置Decapper 付きのAtellicaは搬送システムで自動化されていた開栓業務を引き続き自動化しながら、多くのマニュアル作業を自動化できる装置で搬送システムからの脱却も可能だと考え、導入いたしました。

西田 技師長:当院では、業務に対する専門性(スペシャリスト)が求められる背景があり、生理検査業務は生理部門が実施するといった形で検体検査業務との業務のエリアわけが進んでいます。ただし、専門性だけでなく検査技師は様々な部門を包括的に当直業務等に対応する必要があり、そこでも一定のクオリティが求められます。そのため、検体検査部門から生理検査部門を支援していけるように相互のフィードバックを中心に人材育成をしています。

藤原 技師:以前は搬送ラインを組んでいましたが、実際はルーチン時間帯のみ稼働させ、夜間休日は搬送を稼働させていませんでした。その為、検体の載せ替えが発生していました。検体検査に慣れない技師にとっては検体の載せ替えが煩雑であり、乗せ忘れのヒューマンエラーが発生していました。また、搬送に接続していない装置もあったため、ルーチン時間帯においても載せ替えが発生していました。実際に乗せ忘れが発生すると結果報告に遅延が発生しますので、「検体フローをシンプルにする」という課題があると考えていました。生化学機器の運用においても、以前は汎用機で運用しており交換のために停止する必要があったため、ワークフローが複雑化していました。メンテナンスに関してもキュベットリングを二ヶ月一回交換していたため、2台分を実施するとなるとかなり時間を要していました。精度管理業務に関しても業務開始前に30分早くスタッフが出勤して、実施していたのもスタッフの負担になっていました。また、人件費といった観点でも精度管理業務を自動化できれば時間を削減することができると感じていました。

機器選定にあたり、技師長から検体検査のスタッフ数を最適化するように依頼がありました。そのため、運用を効率化させることが今回Atellicaを導入した目的でした。そういった中でAtellicaは生化学免疫の連結器に加えて、開栓装置を付けることが可能であり、搬送システムや分注機を導入しなくても、より省スペースで効率化できると考えAtellicaを選定しました。また、メンテナンスの自動化、QCの自動化をサンプルハンドラーで実現できる点も選定の理由です。

藤原 技師:メンテンナンスに関して以前はマニュアルで実施するメンテナンスが非常に多かったですが、Atellicaは日々のメンテナンスをスケジューリングすることができ、自動で実施するためメンテナンスに要する時間は一時間以上短縮されました。精度管理に関してはAuto QCにより、以前までの早出業務が30分削減されましたのでスタッフが非常に喜んでいます。早出業務削減以外にも再度QCを実施する際もボタン一つで実施できるので非常に簡素化されました。以前はマニュアルでQCを分注していましたので分注間違いといったヒューマンエラーが発生して、無駄な再検が発生していました。Atellicaは、QC保冷庫からボタン一つで自動実施できるのでヒューマンエラー防止につながりました。また、試薬交換もAtellicaは測定中でも機器を停止することなく、交換可能なので試薬量を頻繁に確認する必要がなく、いつ機器を止めて交換をすることができるかといったヒリヒリする雰囲気はなくなりました(図1)。

また、効率化以外でもTATが生化学は5分程短縮されました。緊急項目のBNPも搬送システム運用時は最初に生化学の測定をしてから免疫の測定という順番になっていたため、検体が渋滞してBNPの測定時間が40分程かかっていたのが10分程に短縮されたのでドクターからの問い合わせがほとんどない状況になりました(図2)。

城門 技師:Auto QC 機能は、これまで早めに来て実施していた分注作業がなくなり、結果を確認するだけになったので勤務時間という視点でもいい機能だと思います。検体の自動仕分け機能についてもコロナ測定用検体の振り分けも実施してくれるため、乗せ忘れは減っていると思いますので自動仕分け機能は助かっています(図3)。

高野 技師:自動開栓装置Decapper については、以前、夜間休日帯は搬送システムを停止しておりマニュアルで開栓していましたので、夜間帯に一人で実施していた作業が自動化できるのは助かっています。

Atellica Solution 導入事例:荒尾有明レイアウト図

藤原 技師 導入前は生化学免疫で3.5名のスタッフを配置していましたが、搬送システムを廃止してもAtellica Solutionの様々な機能により2名に削減することができました(図4)
検査スタッフの動線についても以前は限られたスペースで搬送システムを導入してたので、検体の載せ替え等で出口と真反対に検体を運ぶ必要があったので動線が非常に長かったです。搬送システムや分注機を廃止したことにより、機器のレイアウトが柔軟に対応できたことで動線は短くになりました。また検査工程に関しても自動仕分け機能を活用することにより搬送運用時よりもシンプルな検査フローを実現することができました。

Atellica導入により、年間約700時間の作業時間を削減することができ、生化学免疫において約1.5 名のリソースを創出することができました(図5)。今後はタスクシフトへ向けた人員配置の再編に取り組みたいと思います。

Atellica Solution 導入事例:荒尾有明外観
  • 所在地:熊本県荒尾市荒尾2600
  • 病床数:274床
  • お話をおうかがいした方:西田志保 技師長、藤原大也 技師、城門輝美 技師、高野愛 技師
  • 主なご導入装置:Atellica Solution