部門の枠を超えた協力体制で医療現場を支えるAtellica Solution を活用した免疫検査体制の効率化

 

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青森市民病院 様

|2022-12-06
Atellica Solution導入事例:青森市民臨床検査部

青森市民病院は、「安全で良質な医療の提供と、みなさまに信頼される病院を目指します」という理念の下、幅広く地域医療の充実・発展に取り組んでいます。検査結果報告の迅速化を狙い、2022年4月に免疫自動分析装置Atellica Solutionを導入されました。臨床検査部 技師長 齋藤 浩治 先生、副技師長 野坂 亨治 先生、三上 悠輔先生から青森市民病院における臨床検査部の役割に加え、導入後半年を迎えた現在のAtellica Solution(以下Atellica)の評価についてお話を伺いました。

野坂 亨治 副技師長
三上 悠輔 技師

齋藤 技師長:当院は20の診療科、459床の総合病院です。青森地域二次医療圏の基幹病院として、地域医療支援病院の承認や青森県がん診療連携推進病院の指定を受け、がん診療推進室を設置し、一般診療から高度医療まで広く担当しています。そして、急性期疾患や各種がんに迅速かつ適切な医療を提供すべく、情報収集や最新医療技術の習得に努め、地域医療の充実と発展に向けて、職員一丸で取り組んでいます。また患者さんに安心して診療を受けていただくためには接遇力も重要と考え、病院を上げて取り組んでいます。外来患者は1日約750名、救急車の受け入れは年間約2,500台になります。
(写真:齋藤 技師長)

Atellica Solution導入事例:青森市民齋藤技師長

齋藤 技師長:臨床検査部は医師1名、臨床検査技師31名、看護師2名、検査補助者4名で構成されています。臨床検査部が属する医療技術局全体の基本方針は4つあり、「1. 患者の安全を第一に考え、高度な医療技術を提供します」、「2.ライセンスに自覚と責任と誇りをもち、たえず自己研鑽に努めます」、「3. 互いのライセンスと専門技術を尊重し、各部門の連携を密にし、部門の枠を超える強力な協力体制を作ります」、「4. 診療支援の充実と効率的な病院運営に積極的に取り組みます」。これらの4点を大切にして、運営を行っています。
チーム医療としては主に脳神経外科、整形外科、心臓血管外科の手術の際の術中モニタリング、糖尿病療養指導士によるSMBG,糖尿病教室の開催、心臓カテーテル検査時の心電図モニタリングなどを行っています。

齋藤 技師長:専門分野だけではなくいろいろな業務ができる必要があると考えています。当院では、たとえば、生化学・免疫部門配属のうち3名は超音波検査にも行きますし、心カテや手術室業務に行く技師もいます。ほかにも血液・輸血管理部門、一般検査部門、細菌検査からも心カテや手術室業務、脳波検査に行きます。臨床検査部は女性が多い職場であり、産休育休などで担当の技師が休暇に入った際でも、柔軟に対応可能な体制を敷く必要があります。一人の患者さんを見るために一人の技師がつきっきりで検査を行う生理検査はシフトの影響を大きく受けます。
そのため、より流動的にシフトを組めるようにするために、特に超音波検査を始めとした生理検査の習得を重視しています。この生理検査分野への検査部内でのタスクシェアは、現場からのボトムアップの提案でした。手技の習得への時間もかかるので、全員というわけではありませんが、これからも垣根を越えて広げていけたらいいと思っています。そのような背景もあり、検査部全体の業務を考えた際に、検体検査の分析装置は非専任者でも使いやすく、手のかからない装置が望ましいと考えています。

野坂 副技師長:私自身、2000年ごろ、当時の技師長から言われて脳神経外科の手術室に行った時に、これは視野が広がるいい活動だ、と感じました。このころから当臨床検査部でもチーム医療への関わりを増やしていきました。そこから少し後に、心臓カテーテル検査の分野に、さらにその後各種超音波検査へと関与する領域が拡大していきました。臨床の現場へ出ていくことで、病院や疾患の治療の全体像を実感として感じることができます。単に臨床検査技師の仕事をするという意識ではなく、病院の仕事をするという意識をもって取り組むことが重要だと思います。青森市民病院は縦のつながりだけではなく、横の連携をとりやすいフラットな組織です。部門間でいろいろな情報が交換される文化が「必要なところにはサポートに行く」という意識の下地となっていると思います。

野坂 副技師長:Centaur XPT(以下Centaur)2式からAtellica(SII: サンプルハンドラーとIM1600を2台連結した方式)へと機器更新を行いました。選定の際に重視したことは2点であり、データの継続性と結果報告の迅速性です。データについては、Centaurのときから信頼しておりましたが、機器更新前は腫瘍マーカーのCA19-9などの測定時間が長いことが気になる点でした。その点、Atellica は測定時間がCentaur に比べて大幅に短縮されており、データについてはCentaur の良さを継承しているということで期待ができました。加えて、Atellica の独自の構造であるマグラインが非常に魅力的に映りました。この機構により、サンプリングが終わった検体をすぐに取り出せるというのが、より効率的な検体運用を可能にすると感じました。マグラインに期待をしていたので、それを活かすという意味でもSIIという2台の分析装置を接続した装置構成にしました。(写真:野坂 副技師長)

齋藤 技師長:提案内容については、他機種を含めた総合的な提案を提示してくれたことも重要な評価のポイントになりました。これまで用手法で鏡検していた尿沈渣検査の分析装置を予算枠に収め、今回の機器更新で導入することができました。これにより尿沈渣業務が効率化されたこともあり、そのリソースを活用して、外来採血の一部を担当することができるようになりました。実際、本年の3月から5台の採血台のうち1台を臨床検査部にて受け持って外来採血に取り組んでいます。分析装置の導入のタイミングで、新しい業務に活動を広げることができ、臨床検査部としても、とてもよかったと考えます。

Atellica Solution事例:青森市民病院野坂副技師長

野坂 副技師長:Centaur の時はスタンドアローン2台で運用していましたが、Atellicaでは、1つのシステムとして2台の分析装置を運用できているので非常に便利だと感じています。たとえば、以前は1号機と2号機を1日おきに交互に使用していました。現在は、2台の分析装置の試薬をバランス良く試薬を消費するようにAtellicaが検体搬送を行います。そのため、片側だけ試薬が一方的に減ってしまうという不安もありません。以前はオーダー数の少ない項目は、両方の分析装置に試薬を載せるとロスが多くなってしまうので、残テスト数に注意を払い日ごとに試薬を載せ替えるなど、手が取られていました。また、片方の分析装置にトラブルが発生すると慌ててもう一方の分析装置に試薬を搭載し、測定可能にする必要がありました。
Atellica はマグラインにより2台の分析装置が繋がれており、その時に測定可能な分析装置に自動的に検体が振り分けられるので、検体を搭載するときに迷うことがなくなりました。加えて、1つのモニターで2台の分析装置の状態が確認できるのも管理が容易になったと感じています。連結機であるにもかかわらず、片方の分析装置のメンテナンスを行っていても、もう一方では測定が可能なので、午後の検査依頼が少ない時間帯に検査と並行してメンテナンスを行うことができています。統合機とスタンドアローンの分析装置の良い点が融合している装置だと感じます。

三上 技師:オートQCが非常に便利ですね。朝に出勤した段階でコントロールが測定されているので、業務が効率化されていると感じます。コントロールをAtellicaに入れたままにしておけるというのがいいですね。以前は毎朝、分注して凍結したコントロールを溶解し、その間に液状コントロールを測定するなどの作業を行っており、最も検体が集中する早朝の時間帯にこのような業務が重なっていました。8時30分には検体が到着し始めるのですが、コントロール測定の業務が重なる場合が多くあり、煩雑な平行作業となっていました。それが自動化され、現在は8時までにはコントロールの測定が終わっています。精神的にも非常に余裕をもって業務に当たれるようになったと感じています。(写真:三上 技師)

野坂 副技師長:検体検査を担当した当初からオートQCのような機能があればいいとずっと感じてきました。運用の手間の改善に加え、子分注して保存する際のデッドボリュームがなくなったのもコストの削減に貢献していると感じます。テクノロジーが進む世の中なので、分析装置やAI などに任せられることはそれらに任せ、その中で現場の検査技師でなければできないこと、気づけることをデータに活かしていけたらいいと感じており、これもその一端であると感じます。

三上 技師:オペレータータブレットも活用しています。検査システムの端末の横において使用しており、機器の前に行かなくても分析装置のキャリブレーション状況、再検査の状況、試薬の残数の確認などができて非常に便利だと感じています。

野坂 副技師長:検体の搭載に関してもよく考えられていると思います。Centaur の時は検体を搭載してからスタートボタンを押す必要があったのですが、Atellica は分析装置に搭載して、ドロワーを閉めるだけで測定に進みますので、慣れていないスタッフでも検体を測定し忘れてしまうということがなくなりました。また、Atellica は検体を個別に管理しているため、何かが起きたときにスムーズに対処ができるということもいい点です。通常の分析装置ではエラーが発生した検体のラックを分析装置の排出口から探し、検体IDを見ながら検体を探しますが、Atellica はサンプルハンドラー内で検体が個別に管理されているので、エラーが発生した検体がどこにあるのか、モニタで一目瞭然に分かります。マグラインによってその検体のサンプリングが終わったら、すぐにサンプルハンドラーへ帰ってくるので、他の分析装置に比べて迅速な対処ができると感じています。

三上 技師:通常は、Atellica の55本ラックが埋まってから検体を取り出すようにしています。こうすることで、再検査が必要になった時も、ほとんどの場合、検体の再投入をせずに自動で再検査を行うことができます。

野坂 副技師長:1つ1つは細かなことですが、Atellica には検査技師の介入が発生するリスクを事前に減らす工夫やどうしても発生した場合には介入がしやすくなる工夫が各所に施されていると感じます。

Atellica Solution導入事例:青森市民三上技師

野坂 副技師長:やはり測定時間が短くなったことは大きいですね。当院ではAtellicaで測定している項目は、循環器、甲状腺、腫瘍マーカー、性腺ホルモンと多岐にわたります。採用している項目のすべてが30分以内の測定時間になり、早いものでは10分で測定が完了します。なお、テスト数は月間4,700テストほどになりますが、95%が迅速性が求められる外来からのオーダーになります。Atellica 採用前は検査結果の報告時間に関する問い合わせが毎日のようにあったのですが、Atellica に更新してからは月に1件あるかないかといった頻度になりました。

齋藤 技師長:TSHのハーモナイゼーションのときが印象的でした。Centaur とAtellica の試薬はハーモナイゼーションの際も係数をかけたりすることなく、対応ができたので院内での周知もスムーズに行うことができました。また、Atellica に切り替えてからNT-proBNP を院内導入しました。発端はエンレストを投薬した患者さんの検査に使いたいという診療科からの要望でしたが、NT-proBNPも院内検査で測定できることが周知されると順調に検査依頼も増加してきました。

齋藤 技師長:20年後の医療がどうなっているのか、想像もできませんが、どう変革しようとも、その変革に柔軟に対応できる人材を育てることが大切だと思います。分野でいえば、遺伝子領域の発展が著しいかと思います。人口の変動、AI 技術の導入、それに伴う医学の進歩や方向性の変化、検査の変革、医師を含めた医療技術者全体の動向などを踏まえて考える必要があります。そのためには、医学の知識や技術習得は当然のことながら、コミュニケーション能力や交渉・折衝能力を高めることが必須であると考えます。固定観念にとらわれず臨機応変に対応し、その時々に必要な人材になれば生き抜いていけるのではないかと考えます。

(取材日:2022年12月6日)

Atellica Solution 導入事例:青森市民外観
  • 所在地:青森県青森市勝田1頭目14-20
  • 病床数:459床
  • お話をおうかがいした先生:臨床検査部の齋藤浩治 技師長、野坂亨治 副技師長、三上悠輔 技師
  • 主なご導入装置:Atellica Solution, SOMATOM Definition Flash, SOMATOM Definition Edge, MAGNETOM Skyra, Cios Alpha, Cios Fusion, Artis zee, ARTIS icono, syngo.via, teamplay