SOMATOM World Summit
14th SOMATOM World Summit 開催

somatom_world_summit_2019
SOMATOM World Summit
 
Eニュース購読

Siemens Healthineersでは、2年に1度、世界中のSOMATOMユーザーを対象としたCutting Edge seminar 「SOMATOM World Summit」を開催しています。14回目となる今回は、2019年6月26日~27日の2日間、「Today is about Tomorrow. Together in Toronto」というメインテーマで、カナダ トロントにて開催されました。

  • Together with you, Siemens Healthineers is setting new trends in healthineers and Computed Tomography.
  • Together with you, we want to continue our journey towards expanding precision medicine, transforming care delivery, and improving patient experience, all enabled by digitalizing healthcare.

全世界より約400名の参加があり、日本からの演者として、野口 京 先生(富山大学医学部 放射線診断・治療学講座 教授)が”Neuro & Emergency” sessionにおいて、”Detection of Acute Ischemic Stroke with DE”というテーマで最新の研究成果を発表されました。
野口先生をはじめ、各講演者から最新情報や研究内容が紹介され、聴講した全世界のSOMATOMユーザーがその内容に触発され、現状の到達点を共有し、さらに今後の発展について実感できるような充実したコンテンツとなっていました。
2019年 14th SOMATOM World Summit, トロント 講演動画

会 期: 2019年6月26日~27日
会 場: Westin Harbour Castle Toronto, Canada
参加者: 約400名
演題数: 8セッション、51演題

プログラム: Session 1: Innovation and Digitalization in medical imaging
       Session 2: Precision Imaging
       Session 3: Pediatrics
       Session 4: Neuro & Emergency
       Session 5: Functional Imaging with CT
       Session 6: Oncology
       Session 7: Cardio Vascular
       Session 8: Hot Topics

参加報告

日本から参加された先生方よりご寄稿いただいた参加報告をご紹介いたします。

市川 泰崇(三重大学医学部附属病院 中央放射線部 准教授)

SOMATOM World Summitに今回私は初参加であったが、特にDual Source CTによる先進技術の臨床活用を知る上で大変貴重な機会となった。Deep learningや脳神経、骨軟部など多岐にわたる多くの講演があった中で、個人的には腹部と心血管領域の講演が特に印象深かった。
“Oncology” sessionにおいて、Peking Union Medical CenterのHua Dan Xue氏からは、パーフュージョンCTによって膵インスリノーマの検出率が有意に向上し、その血流定量値が、膵インスリノーマの血管新生程度や予後と関連することが示された。第3世代Dual Source CTを用いると、6-7mSv程度の比較的低被ばくで膵パーフュージョンCTが撮影可能とのことであり、今後、膵NETにおけるパーフュージョンCTの臨床活用が期待されると思われた。Gottingen大学のLorenz Biggemann氏からは、Dual Energy CTから得られる40-50keV画像が、膵管癌の描出性の向上に繋がることが示された。Duke大学のMatian Meyer氏からは、GISTにおけるDual Energy CTの活用法の紹介があり、ヨード密度画像上でGIST内部の造影効果を定量解析して得られるvital iodine tumor burden(ViTB)という指標が、GISTの薬物治療の効果判定に有用で、従来のRECIST評価やChoi criteriaよりも優れていることが示された。GISTにおけるViTBの有効性に関しては、現在、多施設共同研究が進んでいるとのことであった。今後、GISTだけでなく、他の腫瘍での活用も期待できる手法と思われた。
“Cardio Vascular” sessionでは、Erasmus大学のArdiaan Coenen氏からのOn-site FFRの開発状況に関する報告や、Queen Mary大学のFrancesca Pugliese氏からの心アミロイドーシスにおける細胞外分画量評価の有用性に関する報告が特に興味深かった。
本会は休憩時間などで他施設のユーザー同士や講演者らと意見交換しやすい雰囲気があった。私も海外講演者の方と直接お話しをしたり、日本からご参加の他の先生方と率直な意見交換ができたりと、有意義な時間を過ごすことができた。
 

福田 健志(東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 助教)

今回で14回目となったSOMATOM World Summitに関し、担当セッションを中心にレポートする。 
 “Pediatric” sessionでは、小児領域における低管電圧撮影、Tin filter technologyの使用、high pitch撮影といった被ばく低減技術の有用性を主体に紹介されていた。中でも低管電圧撮影はヨード造影剤のコントラストが増強し、造影剤量も抑えることができるため小児領域で重宝される。また、小児の肺高血圧症や肺血栓塞栓症に対してはDual Energy (DE)によるperfusion Imagingが診断に有用であることが強調され、動静脈瘻では術後の治療効果判定に利用されている。形態学的な評価と同時に、臓器血流を鋭敏に評価できることがマネージメントの決定に大きく貢献するという。一方、DEの画質は体動によるアーチファクトに影響されるため、協力が得られるような年齢かどうかを見極める必要があるとも言及されていた。Siemens Healthineersが提供するDual SourceタイプのDECTは、他社のものと比べspectral separationやrotation timeといった性能の比較から、最も被ばく量少なく有効なDE画像が得られるため、小児に最適なDECTであると紹介されていた。今回、複数のセッションで紹介されていたFAST 3D Cameraによる正確なautomatic isocenter positioningは小児に対しても有用で、manualでisocenterを決定するより腹部CTにおける被ばく量が低減したというデータが示されていた。一方で、同技術は乳幼児程の小さな体格に対しては未だ満足のいく動作には至っていない現状も指摘されていた。
 今後、放射線科医をサポートするAIの開発において、正確で再現性のある画像の定量化は重要な要素である。CT画像は元来Hounsfield unit (HU) による定量化が容易で、診断や治療効果判定のbiomarkerとして利用できる。しかし、造影効果に関してはDECTによるiodine quantificationの方がHUより信頼性の高いbiomarkerであることが、腎腫瘤やCrohn病などの疾患を用いて複数の演者から発表があった。“Precision Imaging” sessionの中でMSK Imagingについて講演された先生より、関節炎に対しiodine mapを使用した我々の研究も紹介されたが、治療効果判定にヨードの定量値を使用する試みを行っており、我々もその有用性を感じている。
 “Hot Topics” sessionではAIをはじめとする先進技術の紹介があったが、中でも今後の展望として紹介されたDigital Twinは新たな医療の形を具現化するような興味深い内容であった。Digital Twinは画像、採血、心電図など医療機関で受ける様々な検査を経時的に自分のアバターにuploadし、今後どのような疾患が起き得るかといった健康事象の予測や最適なfollow up時期の予測などを行うものである。他には、急性期脳梗塞に対するRoyal Melbourne Hospitalの試みが興味深かった。急性期脳梗塞のtPA利用にはgolden time内の早期投与と出血の除外が必須である。同病院ではCTを搭載した救急車が待機しており、脳梗塞が疑われる症例に対し出動し、車内でスキャンを行いtPA使用症例が増加したとのことである。
 最後に、1講演が15-20分程度でテンポ良く進むこともあり、飽きることなくCTに関する幅広い知見を多くの演者から聞くことができ、とても有意義な2日間であった。

髙橋 哲(愛仁会高槻病院 イメージングリサーチセンター 主任部長)

前回、2年前の開催地シンガポールは、赤道直下を感じる気温と湿度でした。今回会場となったトロントは、オンタリオ湖のほとりで美しく、心地よく乾燥したほどよい気温と、夜21時までの明るさは、高緯度を感じて最高の季節でした。もっとも会場から出ることがないので、窓越しと夜の感想ですが・・・・。
今回のWorld Summitは非常に幅広い分野が対象となり、1人15分の講演が朝8時半から夕方17時過ぎまで2日間まるまる続くという、濃密(過酷)なスケジュールでした。私はその中で“Precision Imaging”および“Functional Imaging with CT”と題されたセッションを報告します。14回目と成熟した会となってきたため、聞いたこともない新しい話ではなく、これまで言われてきたことについて時間・症例が積み重なり、より高いエビデンスとして蓄積されてきた、という印象でした。
“Precision Imaging”では、特に造影剤をいかに適切に(最小限で)十分な診断能を保ちつつ、安全に使用するか、と言う観点と、Siemens Healthineersがここ数年CTに導入した技術・機能の日常臨床への落とし込みを、個別化の観点からみた、ということがテーマだったように感じます。
オランダMaastricht大学のWildberger教授は、急きょ参加できずビデオレターでの発表がご愛敬でしたが、2017年にLancetで発表されたAMACING trailの1年後の経過を報告されました。AMACING trialは前回のシンガポールでも報告されていましたが、eGFR 30〜59程度の腎機能低下患者では、予防的点滴が造影剤腎症の予防に有用でないばかりか、心不全などの合併症を増やすというもので、漫然とした造影前の水負荷に警鐘を鳴らしました。その後の経過においても、予防的点滴の有無で1年後の死亡率にも差がないことが示されていました。さらにeGFR<30の症例は予防的点滴でも造影後腎症は防げず、合併症も同様に発生したと報告していました (Invest Radiol. 2018;53:616-622)。前向き試験ですが単一施設報告であり、多施設による更なる症例の積み重ねが必要ではありますが、漫然とした水負荷には注意する必要があると思われます。低管電圧によるLow kVp、Dual EnergyとMono+の組み合わせによる Low keV、いずれの低エネルギー撮像も造影剤の減量に有用です。これは日本でも広く認識されてきたと思われますが、CT angiographyや腎臓造影CTなどの応用が報告されていました。Siemens Healthineersの最近のハイエンド機器で導入されているCT table上のFAST 3D Cameraを使用することで、位置決め画像を2方向から撮像しなくても、患者を確実にFOVの中心にセッティングでき、被ばくの低減、撮影の効率化に有用であることが改めて示されていました。また、大規模画像診断クリニックグループで、teamplayを活用して検査の効率化を図ったとの報告もありました。多数の機器、人員を抱える施設では、人員配置や検査プロトコルの見直しなどで有用かもしれません。
個人的に興味深かったのは、オランダGroningen 大学のVliegenthart教授が示された、一般住民16.7万人に対する、肺癌、冠動脈疾患、肺気腫の有病率とバイオマーカーを検討する疫学研究 (Imaging in Lifelines trial) でした。撮影自体は単純なものですが、低線量かつ高速撮像を可能とするSOMATOM Forceの本領を、極めて有効に発揮した疫学研究と感じました(European Journal of Epidemiology. 2019 Apr 23)。
“Functional Imaging with CT”のセッションは、続く“Oncology”のセッションも含め、Dual Energy CTによる造影効果の定量化を、様々な分野・領域で、様々な診断、治療に応用するという報告に終始していました。”MSK Imaging”について発表されたFrankfurt大学のAlbrecht先生が、東京慈恵会医科大学、福田健志先生の「乾癬性関節炎のDual Energy CT による評価」 (Radiology 2017;284:134-142)を紹介しており、本邦のCT研究の先進性・独創性を感じました。

尾尻 博也(東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 教授)

2019年6月26~27日、カナダのトロントで開催された14th SOMATOM World Summitに参加した。全体は8つのsessionより成り、51名ものfacultyが各専門領域での最新の知見について15分と短い時間に凝縮して次々と講演する構成となっており、約400名の参加者は熱心に聞き入っていた。以下に代表的なsessionでの講演内容の概要を記す。
“Innovation and Digitalization in medical imaging”のsessionではSiemens HealthineersのCTの最新のトピックとして、”Tin filter technology”を用いた被ばく低減、AIによる読影とレポーティングを支援する”AI-Rad Companion”、さらにphoton counting CTの現状が示された。
AIでは診断(diagnostic)、予測(predictive)、運用(operational)の3つの側面が紹介された。診断面では病変同定、正診率向上に向けた技術(肺結節の同定・測定、カルシウムスコア、大動脈径測定など)に加えて、radiomicsとの組み合わせにより、現在の「CT、生検、診断」から「CT、radiomics、診断、生検による確定診断」へのアルゴリズム変更が想定されることが印象的であった。予測面では新たなバイオマーカー同定による治療反応性の判断、再発・残存病変の診断、生存率の推定、さらに医療経済的に効率の良い診断アルゴリズム(digital ecosystem)の作成など、運用面ではプロトコルの適正化、ワークフロー改善による検査効率向上、患者待ち時間の短縮などについて述べられた。
一方、photon counting CTについては、electronic noiseの軽減、被ばく低減、ヨード造影コントラスト・SNR向上、空間分解能の向上、Multi Energy Imagingの実践などが可能な革新的な技術として導入施設から報告があり、注目されていた。
“Neuro & Emergency”のsessionはより実践的内容であり、外傷例に対してはsliding gantry conceptによる撮影・治療時間短縮、Dual Energy non-calcium imageによる骨挫傷の同定、AIでの骨折同定など、また急性期脳梗塞に対しては「CT・CTA・CT perfusion」というmultimodal CTによる血栓除去術の患者選択などが示された。さらに、同治療までの診断アルゴリズムとしてDual Energy bone removal CTでの出血の否定、”X-map”による早期虚血部位の同定、”HAS-map”によるhyperdense signの同定など、CTAを省略可能とするnon-contrast Dual Energy CTによる1 stop diagnosisの流れについて、富山大学の野口教授よりご発表があり、大きな注目を集めていた。いずれも実臨床での有用性が高く、今後の臨床への反映が期待される。
最後にこのような大変貴重な機会をいただいたSiemens Healthineersに深謝する。トロントはちょうど初夏・・・といっても日本よりも当然過ごしやすい時期であったが、大変充実した内容でのプログラムであったため、トロントの街を楽しむ時間をほとんど取れなかったことが多少残念であった。
 

More Information

これまでに開催されたSOMATOM World Summitの講演が動画でご覧になれます。

2017年 13th SOMATOM World Summit, シンガポール
日本人演者: 髙橋 哲 先生 神戸大学医学部附属病院 放射線部 部長(現:愛仁会高槻病院 イメージングリサーチセンター 主任部長)

2015年 12th SOMATOM World Summit, ミュンヘン
日本人演者: 北川 覚也 先生 三重大学医学部附属病院 中央放射線部 准教授
*2019年 14th SOMATOM World Summitについては更新され次第掲載させていただきます。


このページをシェアする