Dual Energy撮影線量 ― Japan DRLs 2025との比較
当院ではDE 撮影を日常的に活用しており、Japan DRLs 2025 の基準を下回る線量で運用しています。これは、Dual Source 特有の独立した管電圧・管電流制御や、Tin Filterによる十分なエネルギースペクトル分離が可能であることによるものです。 画質を損なうことなく、DE 解析で得られる機能情報が加わることで診断精度が向上しています。
例えば、腎・尿管結石では結石の性状やサイズ(長径・短径・体積)を、痛風では尿酸結晶の有無を高精度かつ再現性高く評価することが可能です。特に、DE 解析の自動化は人為的なばらつきを排除し、結果の安定性を確保するうえで大きな効果を発揮しています。これは、Dual Source CTの強みに加え、DE 撮影を標準化・自動化できるmyExam Companionの特長が相乗的に作用している利点だと考えています。
放射線部 斎藤 亮 副技師長
DE Kidney Stones ~ 膀胱結石の成分分析
従来、腎・尿管結石などの成分分析は外注検査(赤外線スペクトロフォトメトリー)に依頼するため、結果判明まで約1 週間を要していました。しかし、Dual Energyでは撮影直後に尿酸結石と非尿酸結石の識別結果を提供できます。これにより、臨床医は治療方針を速やかに考えることができ、業務効率と診療精度の双方で大きなメリットをもたらしています。
放射線科 渡邉 順久 部長
DE Gout ~ 発作前の初期段階で尿酸結晶を特定できた症例
当院ではDE撮影を用い、痛風の初期段階から尿酸結晶を可視化し、診断に活用しています。本症例では右示指に腫脹と発赤を認め、DE Gout解析によりMP関節腹側に尿酸結晶と考えられる所見を描出できました。2015年 の 痛 風 分 類 基 準 にもDual Energyが診断手段として明記されており、その有用性は国際的にも認められています。従来、痛風結節は進行後に診断されることが多かった中、発作初期での発見は治療開始の迅速化に直結し、予後改善にも寄与すると考えられます。
放射線科 渡邉 順久 部長
認証番号:306AABZX00010000



