Photon-counting CT - NAEOTOM Alpha
肺野末梢領域のpart-solid nodule の性状評価と流入気管支同定
大阪大学大学院医学系研究科 放射線統合医学講座 放射線医学教室 助教 秦 明典 先生

2023-10-10
臨床画像 大阪大学 肺野末梢領域

肺結節の精査目的でPhoton-counting CT 「NAEOTOM Alpha」による、UHR modeを用いた胸部CT撮影を行った。part-solid noduleを呈し、充実部の存在や正常肺との明瞭な境界が描出されており、肺癌が疑われた。さらに、末梢病変であるにもかかわらず、結節内に流入する気管支が中枢側から連続性をもって追跡可能であった。


70代男性。心筋梗塞後の経過観察中に、胸部単純X 線写真にて左下肺野に結節影を指摘され、胸部CTが施行された。胸部単純X 線写真で指摘された結節は過誤腫を疑う所見であったが(非提示)、同時に左肺上葉に結節影が指摘された。経過観察されていたが、増大傾向を認めたため、精査・加療目的で当院を紹介受診され、胸部CTが施行された。


すりガラス影を伴う肺結節の重要な鑑別診断が肺癌であるが、充実部を伴わないpure ground glass noduleの多くが上皮内癌であるのに対して、充実部を伴うpart-solidnoduleでは微小浸潤癌や浸潤性腺癌が多く、充実部の評価は重要である。また、非特異的な炎症性病変も鑑別に挙がるが、すりガラス影の境界が明瞭なものは肺癌が多いことも知られており、境界の評価も重要である。本症例では、他院CTと比較して、結節の境界・辺縁や内部性状が明瞭に描出されており、詳細な評価が可能であった。
さらに、肺結節の診断に気管支鏡検査による組織採取は臨床的に重要であるが、末梢の小さな病変では気管支鏡で直接腫瘍を見ることができず、誤った気管支に生検鉗子を挿入してしまう可能性がある。そのため、事前にCT画像を詳細に検証して結節にたどり着くための気管支のルートを把握したり、CT画像から仮想気管支鏡画像を作成してナビゲーションにする、といったことが行われている。本症例では、末梢病変であるにもかかわらず、結節内に流入する気管支が中枢側から連続性をもって追跡可能であった。NAEOTOMAlphaの高い面内空間分解能、頭尾方向空間分解能がこれを可能にしているものと考えられる。このようにNAEOTOMAlphaは肺結節の診断や気管支鏡検査前評価に有用であると考える。