Photon-counting CT - NAEOTOM Alpha
スペクトル解析を用いた石灰化を伴う右中大脳動脈M1の狭窄評価
メディカルスキャニング 黒崎 貴久先生、石坂 友先生

2023-09-04
臨床画像 メディカルスキャニング東京

人間ドックの頭部MRA検査で右中大脳動脈M1部に狭窄を認め、精査目的でPhoton-counting CT「NAEOTOM Alpha」による頭部血管造影検査(CTA)の依頼があった。頭部CTAで同部に石灰化を伴うプラークを認めたが、スペクトル解析による石灰化除去画像(Quantum PURE Lumen)を作成することで、軽度の内腔狭窄と判断できた。空間分解能が向上したスペクトル解析によって血管内腔に相当する造影血管をより正確に描出することができ、狭窄病変の診断精度向上に繋がったと考えられる。


高血圧、糖尿病のため内服加療中であった50代男性。当クリニックの人間ドックで3T MRI装置による頭部MRA検査を受けたところ、右中大脳動脈M1部に動脈硬化による狭窄が疑われた(図1)。この結果を受けて別医療機関の脳血管内治療外来を受診し、CTA検査による精査のため当クリニックに紹介となった。

図2a. 頭部CTA(Cinematic VRT) 頭部血管外観を示す画像。右中大脳動脈M1部に石灰化を認める(→部)。
図2b. 頭部CTA(MIP画像) 両側内頚動脈サイフォン部にも石灰化を認める(→部)。
図2c. 高度の内腔狭窄があるようにも見えるが石灰化のbloomingにより正確な狭窄度評価は困難である(→部)。
図2d. 頭部CTA(石灰化除去 MIP画像) Quantum PURE Lumenによる石灰化除去機能を使用することで内腔狭窄は比較的軽度であることが示された(→部)。
図2e. 頭部CTA(石灰化除去 VR画像) 図2bと同一角度のVolume rendering画像
頭部MRA検査で狭窄が疑われた右中大脳動脈M1部には石灰化を伴うプラークを認め(図2a-c)、Quantum PURELumenによる石灰化除去機能を行うことで軽度の内腔狭窄であることが判明した(図2d, e)。

CTA検査で石灰化が認められる場合、CT装置の空間分解能が不足することでブルーミングアーチファクトが発生し、正確な内腔評価が困難となる。NAEOTOM Alphaは0.4 mmスライス厚による高精細画像を用いたスペクトル解析が可能であり、本症例のようにQuantum PURE Lumenを利用することで中大脳動脈のような細かな血管でも石灰化の影響を受けない内腔評価ができる。本手法は画像から選択的にカルシウム成分を除去するため、石灰化によるブルーミングアーチファクトの発生要因を直接的に抑制することになる。そのため、血管内腔に相当する造影血管をより正確に描出することができ、狭窄病変の診断精度向上に繋がると思われる。また、従来の非造影と造影の2回撮影を必要とするサブトラクション法と比較して、本手法は造影検査による一度の撮影で骨・石灰化を除去したMIP画像を簡便に作成することができる。位置ずれのない骨・石灰化除去が可能となるだけでなく、オペレーターに依存しない再現性の高い解析結果が提供されるため、細かな血管評価が必要な頭頚部の血管評価においても検査効率と診断能の向上に寄与すると考える。

販売名:ネオトム Alpha
認証番号:304AIBZX00004000